【箱根駅伝】8区の特徴と区間記録【意外と地獄】
ヴィクトリーランとなるかそれとも逆転の1手となるか。そんな8区は意外と難関の区間としても知られています。序盤は平坦ですが、後半9kmにわたってやってくる遊行寺坂はまさしくボディブローのように選手たちの体力を奪います。
そんな「隠れた難所」である8区を今回はご紹介します。
コースの特徴
平塚中継所から戸塚中継所までの21.4kmを結ぶこの区間。前半こそフラットで走りやすいが、藤沢を越えると通称「遊行寺の坂」が待ち構えるタフなコース。ここでどれだけ力のあるランナーを置けるかが逆転・シード権獲得への鍵となる。
優勝争いという点ではこの区間で走っている選手に力ある選手がいるかどうかは言うまでもないところだが、9kmにわたる上り坂からまだ力こそ足りないものの将来の5区候補として起用するチームも多くいる。
法政大学の青木涼真選手は1年で8区区間9位をマークし、2年からは5区に回り区間新記録も樹立している。また、駒澤大学の大塚祥平選手も2度8区を経験後、3年より5区で快走を見せたことも記憶に新しい。
チームとしては将来や可能性を見据えた選手起用であることはもちろんだが、選手層の厚さもモノを言う区間であることは言うまでもないだろう。
重要ポイント
決してクローズアップこそされづらく、チェックポイントの多い区間ではないが、復路の難所区間としても名高い8区は決してコースとして極めてタフな選手をそろえることが何よりの条件ともなるのだ。
それは目安となる1km3分というペースをも守ることができたランナーも過去5名しか出なかったことから明らか。先述した上り適性が必要なことはもちろんだが、コースを通して日差しも強くその暑さでやられてしまうということも多々ある。そのためどんな条件でも決してペースを乱さない強さも求められていると言えるだろう。
前半である程度リズムを作り、後半で気持ちそのペースを上げられるだけのペース配分と強さを持った選手が向いていること、将来の山を担う選手を見つけることができるかという点についても注目していくと面白いかもしれない。
また、当日エントリー変更が多い区間でもある。3分の2近くが入れ替わることもあるが、こうした各大学の戦略にも注目したいところだ。
区間記録保持者
小松陽平
箱根駅伝で2000年代に入っても記録更新がされていなかった8区にて区間新記録が叩き出されたのは第95回、東海大学が優勝した年だった。それまで20年以上保持されてきた記録が打ち破られたのは小松陽平さんの快走によるものだった。
東洋大学と並走する形で走っていった小松さんは14.6kmでスパートし差を広げると、終盤の上り坂もハイペースで駆け抜け、大学史上初めて平塚中継所をトップでタスキリレーという形に。
並走したということが良かったのか、その状況を存分に活かした快走もあり東海大学は総合優勝を達成。小松さんも大会MVPにあたる金栗四三賞を受賞した。4年でも8区を走り区間賞を獲得する快走を見せた小松選手は96回大会の東海大学の復路優勝に大きく貢献した。
大学卒業後はプレス工業と日立物流(ロジスティード)と渡ったがモチベーション低下もあり現役を引退。その後もトップレベルでないにせよ走ることは継続しており、市民マラソンに参加しながら社業に専念。故郷の北海道に帰郷している。