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両角速監督は退任したほうがいいのか

大波乱が巻き起こった箱根駅伝予選会だったが、何よりも多くのファンが驚いたのは東海大学の予選敗退ではないだろうか。
想定外の暑さ、出走した12人のうち3人の熱中症、ロホマンくんの棄権。本来なら箱根駅伝出場は「ノルマ」ともいえるようなチーム状況の中、東海大の駅伝シーズンは全日本大学駅伝にて終わることとなりそうだ。

おおよそ5年前、3冠を狙う青山学院大学を破って箱根駅伝優勝を手にした学校とは思えないチーム状態、2年前にまことしやかにささやかれたチームの崩壊……。チームを束ねる両角速監督の責任問題も大きくなってくるだろう。

まあ結論から言えば両角さんは退任したほうがいいのかなと思うのですが、そうは問屋も降ろさないし、個人的な心情とかも含めて書いていこうと思います。それではどうぞー。


両角監督が退任したほうがいい理由

以下が両角監督が退任したほうがいいのではないか?と考える理由だ。

①勝負どころのレースを悉く落とす

直近5年の東海大学の駅伝結果を見て行こう。

96回 出雲4位・全日本1位・箱根2位
97回 全日本2位・箱根5位
98回 出雲9位・全日本11位・箱根11位
99回 全日本10位・箱根15位
100回 全日本9位・箱根11位

97回大会では田澤廉選手とのつばぜり合いの末最終区間で2位に、箱根駅伝では石原翔太郎選手の活躍で1位に立つも4区以降が振るわず。98回と100回は最終区間がブレーキとなってシード権を手放す結果に。

レースプランなども含めて同じようなミスを繰り返す……。それは反省を活かしていないのと同じだと言わざるを得ない。

②入学した選手たちが伸び悩む

かつて黄金世代と呼ばれた選手たち、エース格だった三本柱、石原翔太郎選手……。両角監督になってから有力選手が多く入学してきた。

しかし、羽生拓矢選手のように箱根を走ることがなかった人もいれば、關颯人選手のように才能を開花できぬまま卒業していった選手もいる。塩澤選手や名取選手は下級生時代は怪我もあり芽が出なかった。

石原選手は2年からの怪我も尾を引き本来持っているポテンシャルの高さを活かせないまま卒業することとなってしまった。
アスリートは怪我や伸び悩みはあるものだが、ここまで有力な選手たちが伸び悩む様は、かつて山の神と呼ばれた今井正人さんが在籍していた時期の順天堂大学がそうだった。

ダブル佐藤の一角であった佐藤秀和さん、四天王と呼ばれた一人である松岡佑起さん。彼らもまた、高校生としては破格の才能を秘めていた。
だが故障なども含めて大成させることが出来なかった事実から目を背けることは出来まい。結果として、今井正人さん卒業後に順天堂大学は長い低迷期に突入することとなる。
今後、東海大学の育成に強い不信感を持ってしまう指導者も増えてしまうのではないだろうか。

③チームが一枚岩になり切れていないように見える

99回大会を控えた秋、部内での内部崩壊のうわさがまことしやかに流れた。この大会ではエースだった石原翔太郎選手が予選会で全く振るわず、当時2年生だった吉田響くんがチーム内トップだった中で、ガタガタの内情をSNSで暴露した部員がいたこと。

予選会上位で走っていた部員の半数は箱根駅伝本戦で走らなかったこと。吉田くんへのいじめのうわさまでも流れる中で、創価大学に転校してしまったこと。立て直されたように思われた今のチームで、本当の意味で一枚岩になり切れないままそれを引きずり続けているのではないだろうか。

激務の多い監督職であることを差し引いたとしても、チームを指導しきれなかった両角監督への責任問題に発展することはけっして不思議ではないと私は考える。

両角監督が退任できない理由

しかし、その一方で両角さんはしばらく退任することは不可能だと私は考えている。それは彼の立場、そして根本的な問題が解決されていないからに他ならないためだ。

①両角「教授」問題

学生スポーツの範疇内であるということを考えると、決して大きな不祥事を起こしたわけでもない両角監督を解任させる理由が東海大学にはない。そもそも、佐久長聖から引き抜く形で東海大学は監督就任させた彼を無下に扱うと今後の部員入学にまで影響が及ぶ可能性だってある。

ヘッドコーチの西出さんを昇格させる案もあるにはある(というかそれが現実的)が、西出さんは箱根駅伝経験者でないということもまた大きく影響が及ぶだろう。東海大の内部からは誰も両角さんの後任として相応しい人物が出てこないのが実情だ。

②純粋になり手がいない

こういうことをお伝えするのは大変心苦しいのだが、東海大学の系列校含めて「なり手がいない」のだ。今パッと卒業生で誰がふさわしいのかと言われると思いつかないというのもある。

強いて上げるなら佐藤悠基選手ということになるが、彼は純粋にプレイヤー的な人間だし実業団で今活躍している人物ともなるとだいぶ後々になる。村澤明伸選手や早川翼さん辺りは良いかもしれないが、ちょっと監督就任するには年齢的には若すぎる(寺田夏生さんという例もあるにはあるが)。

そうなると、両角さんが監督退任することもできないのではないか、ということも邪推してしまうのだ。

個人的にはどう思うか?

諸々ここまで長いこと書いてきたが、結論から言えば「両角さんが退任したほうがいいよね、でも後任は実際問題誰にするのよ」ということになる。

そうなると、もう2年ほどは両角さん監督というのが一番現実的なのかもしれないとは思う。村澤選手が東海大大学院に入学したという噂もあるし。ただ、あれだけの強いチームを作り上げてきた名伯楽がこんな形で詰め腹を切らされて東海大学を去るなんて寂しくないか?とも思うのだ。

本来ならトップ通過できるだけのポテンシャルと選手の才能を伸ばしてきたのも、他ならぬ両角さんたちはじめとする東海大学のスタッフの成果だろう。何よりも負けて大粒の涙をこぼすだけ悔しがることができているのは本気でやってきたからに他ならない。

確かにチームとして一枚岩になり切れているかと言われるとまだまだだが、この敗戦は選手たちを強くするし両角さん自身もまたより強い選手へと育て上げるはずのばねにしてくれる。

と、私は信じている。


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