【箱根駅伝】5区の特徴と区間記録【登る力とプラスアルファ】
箱根駅伝コース紹介、今回は5区。箱根駅伝の花形でもあり、往路のクライマックスを飾るこの区間は海抜0メートルから一気に駆け上るその様は言うまでもなくタフさが要求される区間でもあります。
しかし、ほかにも要求される能力があります。今回はそちらについてもご紹介して参りましょう。
コースの特徴
小田原中継所から芦ノ湖までの20.8kmとなっているが、2006年から2016年までは全区間最長の23.4km、23.2kmを走る区間となっていた。当時「山の神」と呼ばれていた今井正人さんのために区間が延長されたなどとまことしやかに囁かれたこともあるが定かではない。
しかし、長い距離を走ることと海抜0メートルから874メートルまで一気に駆け上がるために低体温症などのアクシデントが頻発。再び2017年からは20.8kmに距離が戻っている。
バスや電車で箱根湯本駅から移動をしてもその傾斜がいかに過酷なのかは説明するまでもなく、急激な気温の変化から距離が短縮された今でも低体温症のリスクがあることに変わりはなく、5区を走る選手の中にはタンクトップではなく、袖のあるユニフォームやアームウォーマーを着用することが少なからずある。
登坂能力の高い選手が積極的に起用される傾向があり、特殊区間と呼ばれる5区と6区の中でも「山要員」として選手層の厚い大学では育成を進める傾向にある。
重要ポイント
標高874メートルまで一気に駆け上っていくため登坂能力の高さやパワーが要求される一方で、残り4kmは下りとなるため、また別の筋肉を使うこととなる。この切り替えの瞬間で筋肉的なトラブルが発生するケースも多く、下りで痙攣して立ち止まることも結構あるのだ。
とはいえ、チームによってはスピードある選手が起用されることも多い。タフさだけでなくスピードが重要なのは上りでしっかりと傾斜がきつい中でしっかりとリズムを作り出すことが重要でもあるためだ。
代表的なのが柏原竜二さんは5000メートルでも13分46秒29で走るスピードがあったし、その後輩の設楽啓太選手・神野大地選手・青木涼真選手・浦野雄平選手・山本唯翔選手と5000メートルで13分を切るランナーが出てきており、当然タフさは必要である一方しっかりとスピードを持った選手が起用されることが多い。
また異色のところでは、忍者走りと呼ばれ活躍した、法政大学の関口頌悟さんは13分ランナーでなかったが、独特な地面をしっかりと捉えられる走りで区間上位で走り切った。ができれば山を耐えきることができるだろう。
最低限のスピード、そして地面をしっかりと蹴り上げるキック力こそが大事と言える。
区間記録保持者
山本唯翔
「神」にはなれなかったが「妖精」として名をはせた区間記録保持者。1年時より箱根駅伝では5区で起用されチームが低迷する中、区間6位と気を吐くと3年と4年でも5区で起用されチームを押し上げる好走を見せた。
3年の時に櫛部監督から言われた「神じゃなくていい、妖精でいいんだからね」と声掛けされて山の妖精のあだ名が定着すると、2年連続区間賞と区間新を樹立し金栗四三賞を受賞した。
大学卒業後はSUBARUに就職、妖精第2章の激走にも期待したい。