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【箱根駅伝】9区の特徴と区間記録【走力<人間力】
花の2区と比較して松の9区。かつては準エース区間と呼ばれ力のあるランナーが揃っていましたが、優勝争いに直結しなくなった今もなお重要区間であることに間違いありません。
シード争いに繰り上げスタート……。箱根駅伝のドラマチックなシーンを様々彩る区間をご紹介。
コースの特徴
戸塚中継所から鶴見中継所までの23.1kmを結ぶこの区間。前半こそアップダウンこそあれど、後半になるにつれて下り基調のフラットなコースとなる。「裏のエース区間」と呼ばれている一方で、ペース配分さえ間違えなければ非常に走りやすい区間であることには間違いはない。
かつてはこの区間での逆転劇も非常に多く、戦術として9区にエースを置くというチームも非常に多く、4連覇を達成していた時代の駒澤大学は西田隆維さんのような実力者を配置することも多かった。
スピード化が進んだ今は優勝争いに直結する区間ではなくなってきていることは事実。
その一方でシード権争い、鶴見中継所での繰り上げスタート回避のためのタイムとの闘いというものはより熾烈化している。そのためチーム状況によってはエース格かそれに準ずる選手を起用することが現在に至るまであることも事実だ。
繰り上げスタート・シード権争いという視点で見ると、現在も見どころの多い区間であることには変わりない。
重要ポイント
チームとしても精神的支柱の選手か実力はありながらもコンディションが整わなかったり、チーム事情から回らざるを得なかった選手が配置されることが多い。また、長い距離を単独で走り切る能力を持った選手たちの起用が求められる。
この区間を走った順天堂大学監督の長門俊介さんを始めとして、駒澤大学で主将を務めた山野力選手のような精神的支柱に怪我の多さと実力の高さから評価された青山学院の岸本大紀選手、現在では学生の中でも最高峰と言ってもいい國學院大學の平林清澄くんもこの区間を走った。
珍しいところでは早稲田大学で走っていた新迫志希選手のようなスピードランナーが走ったということもあり、どちらかと言えば距離の割にスタミナの有無などランナーの特性という点で共通点を見出すことは少し難しい(もちろんある程度のスタミナは必要だが)。
となると、どちらかと言えば「人間力」や「精神力」に長けたランナーが起用される場合が多いと言える。
先述の通り、チーム状況によってはここの区間でレースの趨勢が決まる。シード権争いをするチーム、繰り上げスタートを回避したいチーム……。こうした状況の中でもレースとして結果を出すことができる強さも求められることからも明らか。安心して託すことができるランナーでないと送り出せないというのもあるだろう。
優勝争いには大きく直結しなくなったとはいえ、松の9区と呼ばれるだけに実力者が多く集まる区間でもある。各大学の最後に見せる様々な戦略を堪能しつつ、現地やテレビ観戦をしてもいいかもしれない。
区間記録保持者
中村唯翔
【速報】箱根駅伝9区
— 悪魔たん… (@Broolykakarot) January 3, 2022
青山学院大・中村唯翔、9区の区間記録(84回大会・中央学院、篠藤淳)を46秒(速報タイム)更新!#箱根駅伝 pic.twitter.com/9TDeoo9ieF
9区で驚異的な区間新をたたき出したのは「ピクニックラン」状態だった青学の中村唯翔選手だった。4分32秒のタイム差が付いた中でも快調に飛ばしたままハイペースで単独走のまま押し切って9区史上初の1時間7分台ランナーとなった。
元々は2区での出走経験もある実力あるランナー。先述の岸本選手が故障のため回避した結果97回大会では2区を走るも区間14位となる苦しい経験をした。98回大会では裏返しの9区での快調な走りが評価されて金栗四三賞を1区で区間新を出した吉居大和選手と二人で受賞した。
最終学年となった99回大会は箱根駅伝の出走を回避して悔しい経験こそしたものの、現在もSGホールディングスで競技を継続している。