【箱根駅伝】6区の特徴と区間記録【下るだけじゃない】
箱根駅伝コース紹介、復路の幕開けを担う6区。そこは2日朝8時にカーニバルのような形からスタートした大手町とは打って変わって芦ノ湖の寒空から号砲が鳴ります。
私個人では「箱根駅伝で最も過酷なのは6区」そう断言してもいいくらいです。では、6区のご紹介。
コースの特徴
芦ノ湖から小田原中継所までの20.8kmを結ぶ、山登り5区の裏返し区間。
俗に「山下り」区間と呼ばれ、下りでの平均速度は時速25kmに達しこの高速で半径の小さなカーブを多く回るため、ひざに大きな負担がかかる。箱根湯本駅前過ぎからの残り3kmのほぼ平坦な道(若干の下り勾配はある)は選手にとって上り坂に感じると言われ、ここから1分以上の差をつけられることもある。
このような事情から、5区の距離延長と同時に6区の距離短縮も検討されたが、中継所の問題等から見送られたというエピソードもある。
朝8時台に高地からスタートする事もあって氷点下まで気温が下がることが多く、山中では降雪することも珍しくない。体温低下を防ぐために長袖シャツのユニフォームを着用、またはTシャツにアームウォーマーを併用して体温調節をする選手がほとんど。
重要ポイント
標高874メートルから一気に駆け下っていくため、膝の負担や下り適正以上に大事になってくるのは「勇気」。急こう配で下り坂のため普通に加速をしてもすさまじいスピードが出る一方でそこで恐怖感を覚えてブレーキになるケースも少なくない。
また、箱根駅伝では恒例の監督からの「声かけ」も6区に限り箱根湯本駅付近から合流することとなるため、選手たちに声かけをすることすらままならない。選手たちは箱根の山中を自らの意志の強さだけで下っていかなければならない、厳しい区間となる。
また、コースとしても極めて難しい。最初の4kmは上りとなり、そこから箱根湯本駅付近まで一気に下る。ラスト3kmで平地のようなコースとなるため、1分以上タイム差が異なると言われるほどの最難関区間なのである。レースを走り切った見返りに、血マメと水膨れ、極度の筋肉痛……これで苦悶の表情で引き上げていく選手たちが多々いるのも事実だ。
ランナーとしてただ「下る」だけではなく、レースプランとしてもリズムを作って一気に下り最後は気合と3つのパターンでレースを構成しなければならない最難関の区間ともいえるだろう。まさに厳しい復路からレースが始まる。そう考えるとこの6区は目が離せなくなるのでは。
区間記録保持者
館澤亨次
前代未聞の区間新記録を叩き出した黄金世代の主将がラストランで見せた走りは衝撃的だった。「下りはあまり得意ではない」という経緯もあって1年では5区でも起用されたことのある彼が、最終学年ではなんとその裏返しとなる6区を担当することに。
この時、彼のコンディションは万全ではなかった。キャプテンでありながらケガもあって調整が遅れていた彼は夏合宿さえも十分にトレーニングできず、ハムストリングスの筋断裂は本来まだ全力を出し切れる状態にはなかったのだ。
それでも主将である意地と気迫の走りが相まって(しかもレース終盤には血豆までできていた)、小野田勇次選手が持っていた57分57秒を大きく更新する57分17秒という驚異的なタイムを叩き出して区間新記録を樹立。下り適正ある選手が多くいる中で「今後しばらくは破られないタイム」として真っ先に上がるのが彼のタイムと言われている。
卒業後は駅伝やマラソンではなく、トラック選手として活動しておりDeNAアスレティックスエリート所属を続けながら現役を続けている。今年は1500メートルで3分36秒68をマーク、これは日本歴代5位の記録である。
あと、どことなく浅野翔吾選手に似てる。