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第101回箱根駅伝出場校紹介(20)「順天堂大学」

出場校最後は順天堂大学。
予選通過タイムはたった1秒の僅差であったことから見るにこの1年、いや昨シーズンから非常に苦しい状況が続いていると言ってもいい。

澤木啓祐さんの退任、選手層の薄さ……。奇跡の1秒をこれをどう活かすかは選手たち次第だ。


順天堂大学

1838年に下総佐倉藩主堀田正睦が招聘した佐藤泰然が江戸薬研堀に蘭方医学塾を開学。これが現在の順天堂大学の起源である。おおよそ180年以上に亘る伝統ある医科大学として知られ、順天堂大学附属病院の規模はとても大きく、それに伴い看護師の数も多い大学である。スポーツ医学とのかかわりも深く、多くのアスリートはもちろんだがスポーツ関連の人材を輩出し続けている。

バレーボール・体操・陸上競技と多くの分野に卒業生を輩出しており、サッカー部の卒業生には日本代表でコーチを務める名波浩さん、体操では団体金メダルを獲得した冨田洋之さん、短距離でも4×100メートルで銅メダリストとなった高平慎士さん、競歩の世界では20kmで世界記録を持つ鈴木雄介さんと多岐にわたる。

長距離部門の卒業生も大変著名な選手が多く、3000メートル障害元日本記録保持者である岩水嘉孝さん、小出義雄さん、山梨学院大学陸上部監督にあたる上田誠仁さん、かつて箱根駅伝にて2区区間記録保持者であった三代直樹さんと箱根路や世界へと駆け抜けていった選手がとても多い。

現役選手でも10000メートル日本記録保持者の塩尻和也選手、3000メートル障害日本記録保持者である三浦龍司くんは同校の卒業生である。また、「山の神」今井正人さんも同校の卒業生として有名で、今シーズンよりコーチに就任している。

今シーズンのチーム成績

全日本大学駅伝予選 17位
箱根駅伝予選会 10位

ハッキリ言ってチーム状態はいいとは言えない。これを手放しで喜んでいるならば今回の順天堂大学は厳しいと言わざるを得ないだろう(もちろんそんなことはないと思うが)。

どうやら全日本大学駅伝予選会前のチーム状態が最悪だったようで、本来3000メートル障害で日本選手権出場が決まっていた村尾くんを起用せざるを得ない状況にまでなっていた。

また、澤木名誉総監督のパワハラ問題など順天堂を取り巻く雰囲気も決して良いものとは言えない。選手たちが本来持っているものが悪いとは思わないし長門監督や今井コーチたちはその中でも本当に良く頑張ってくださっていると思う。もちろんチームとして徐々には良くなってきているようではある。

しかし、あまりチームとして他大学と比較しても今シーズンは強さを感じない。いくら暑さがあったとはいえ100位以内が4名にとどまっている状況では厳しい。それだけに何とか殻を破ってほしいところだが……。

監督

長門俊介

順天堂大学が最後に優勝した2007年大会で9区区間賞を獲得、JR東日本でも現役を続けた。その後、2011年に母校にコーチとして戻ると塩尻和也選手に松枝博輝選手を育成して、低迷していた順天堂大学を立て直した。

特筆すべき点は、個性派集団の順天堂大学においてそのチームをまとめ上げた事。そして、高い能力を持った選手をオリンピアンにまで育て上げている点だ。
順天堂という環境がそうなのかもしれない。しかし、順天堂大学という優れた施設を持った環境をもっても低迷していた時期もあるため、やはり長門監督の手腕が優秀だという事だろう。

個性派軍団を率いたキャプテンがこれからどうやんちゃな選手を育成するのか、要注目だ。

「負ける気がしねぇ」プレイヤー

吉岡大翔

何よりも一番強さを見せてほしい選手でもある、5000メートルの高校生記録保持者。1年から3大駅伝に起用され、箱根でも4区で起用。区間8位の成績はまずまずと言っていいだろう。

今シーズンはすでに主力選手であることに間違いはなく、全日本大学駅伝関東予選では3組目で5番手としてフィニッシュし一人気を吐いた一方で箱根駅伝予選会では想定以上の酷暑に悩まされて98位と大苦戦を強いられた。

昨年に比べると練習量は維持できているようで、まだそれがレースで出すことができていないというのが現状のよう。とはいえ、今のままでチームが化学反応を生み出すことは難しい。

それだけに彼がロードで爆発的な走りを見せることは順天堂にとっても重要なものとなるだろう。

やり切った、書ききった。俺はやった。


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