第101回箱根駅伝出場校紹介(10)「大東文化大学」
30年前には「山の大東」と呼ばれた名門大学だったが、予選会で敗れる、敗れた際の選手たちのふるまいまで批判されるような異例の事態に見舞われていた。しかし、仙台育英を立て直した名将・真名子圭監督の下チームの改革が進み、全日本と箱根でシード権を獲得。
名門再建の途上であるライトグリーン。今シーズンやいかに。
大東文化大学
成り立ちとしては非常に古い大学で、大正期に起こった「漢学振興運動」により東洋学術の研究に努めることを提言した人物を中心にしたメンバーの尽力により、1921年に第44回帝国議会衆議院本会議において「漢学振興ニ関スル建議案」が提示され可決、1923年に設立された。
そのためか、国文学や中国文学においての研究が非常に多くの文学系の研究が進められており、現在は8学部19学科に跨る文系総合大学として知られる。
東松山キャンパスには「ピーターラビット」の作品で知られるビアトリクス・ポターの資料館もあることで知られ西洋・東洋問わず様々な文化的な面を研究する大学としても名高い。
また書道教育には力を入れており、かつてビックコミックスピリッツで連載されていた人気漫画「とめはねっ! 鈴里高校書道部」において作中に登場する書道の名門・東都文化大学のモデルともなった。
スポーツの面ではラグビー・テコンドー・野球・陸上・バスケットボールが有名で、特に陸上部とテコンドー部はオリンピック選手を輩出している名門校。陸上部においては駅伝部門で「出雲・全日本・箱根」を全制覇する3冠を大学駅伝史上初達成した学校としても知られている。
近年は女子駅伝部が大活躍中で、2024年には最高位の2位入賞を成し遂げた。
マラソンのリオデジャネイロオリンピック代表である佐々木悟さん、現在旭化成に所属する市田孝と宏両選手は駅伝でも活躍。
今シーズンのチーム成績
出雲駅伝 10位
全日本大学駅伝 11位
昨年はうまく行きすぎたともいえる。箱根でもシード獲得こそできたが、復路は17位に終わっている。東海大学が10区で大ブレーキが無ければシードも微妙だっただけに、運が良かった要素もあったことは事実。
それでも出雲では、まずまずの成績を残していたし、全日本でも6区ワンジルくんの不調以外は区間順位も決して悪いわけではない。
キプロップくんか、ワンジルくんのどちらを起用するかはまだ不透明な部分も大きいが、2年連続シード獲得のためには留学生の好走にかかっている部分も大きく選手層もまだ決して厚いとは言えない。
真名子監督の下、この期間でさらにレベルアップをすることができるかが課題とも言える。
監督
真名子圭
駅伝界の「再建請負人」。
大学時代は大東文化大学に所属し4年時には当時の10区区間記録を樹立したエリート。卒業後はHONDAと三重県の教諭になり2012年に名門校仙台育英高校の立て直しを図る。
仙台育英の卒業生には吉居大和選手が在籍していたが、彼もまた真名子監督に師事。その手腕から大東文化大学の監督に就任されると即座にチームをよみがえらせ、関東インカレでは表彰台に選手を立たせるなどその育成手腕を発揮。
2023年度は全日本大学駅伝と箱根駅伝で見事にシードを獲得し、ライトグリーンの名門を見事に再建して見せた。
「負ける気がしねぇ」プレイヤー
入濵輝大
日本人エースである西川くんの存在を補って余りある存在となれるか注目される3年生ランナー。2つの駅伝ではどちらも外さずに出雲で1区区間5位、4区区間6位と好走を見せた。
前回大会の箱根でも3区を担当したが区間は16位と振るわなかっただけに、ここまでの駅伝成績を見れば着実な成長が見て取れる。躍進を支えた卒業生の抜けた穴はとてつもなく大きいが、入濵くんの好走はチームにとってもとても大きなものとなるはずだ。