第101回箱根駅伝出場校紹介(4)「東洋大学」
「その1秒を削り出せ」。どこまでも泥臭く前へと進まんとする鉄紺軍団は多くのファンをつかみ、そして卒業生たちは大きく羽ばたく人も。そんな鉄紺軍団の2024年もまた、どこまでも泥臭くそしてそんな姿を求めて多くの人の心をつかむのでしょう。
ではまず学校紹介から。
東洋大学
東洋大学は、1887年に井上円了により創設された哲学の専修学校である私立哲学館が前身となって設立された大学で、仏教系ではないが、歴史的に仏教教育と関係の深い大学。
1906年に東洋大学に名称を変えると、1928年に大学令によって東洋大学が認可された。白山のキャンパスにはバスケットボールの名門校でもある東洋大学京北もあり、朝霞・川越・赤羽台にもキャンパスを持つ。
卒業生には仏教関係の方も多く輩出しており、また部活動も盛んで野球部や相撲部は古くからの強豪として知られる。広島東洋カープで捕手として活躍した達川光男さんや、西武ライオンズで活躍した松沼兄弟、阪神タイガースで活躍した桧山進次郎さんは有名だ。
また、大相撲の世界では御嶽海関の出身校として知られ、ボクシングの世界チャンピオンでもある村田諒太選手も同校の卒業生だ。
陸上部では、短距離部門の出身者としてコメディアンの植木等さん、桐生祥秀選手、競歩部門で東京オリンピック金メダリストの池田向希選手も有名だ。
駅伝部門でも、柏原竜二さんに設楽兄弟、服部勇馬選手に前10000メートル日本記録保持者である相澤晃選手も同校の卒業生である。
チームの特徴
出雲駅伝 11位
全日本大学駅伝 13位
ちょっと大丈夫か?と目を疑いたくなるような結果が並んでいる今シーズン。出雲こそ若手中心に行ったからというエクスキューズはできるが、全日本のこの結果はちょっと心配だ。
箱根に向けてのピーキングはうまいチームなのでそこの心配はないだろうが、このような状態が続くというのは決してよろしくはない。酒井監督も今一度褌を締めなおしてこの2か月でチーム力を向上させていく必要があると考えているはず。
昨年も出雲と全日本では振るわず、箱根駅伝で巻き返して連続シードを獲得したが、今シーズンも苦しい戦いが続く。することだけを集中して戦わねばならないだろう。
監督
酒井俊幸
「シード校の常連」から「強豪校」に名前を上げた立役者。
3度の優勝のうち2度は柏原竜二さん、1度は設楽兄弟と人材には恵まれていたが「エース」と呼ばれる選手を育成させ、東京オリンピックに服部勇馬選手が走るなど育成にも定評がある。現役時代はコニカミノルタでニューイヤー駅伝優勝の実績を持ち、現役を退いた後も学法石川高校の教員として選手を指導していた。その際に柏原竜二さんの才能を見抜き、東洋大学がスカウトするきっかけが生まれたとされている。
爽やかな顔立ちで誤解されがちだが、実際には熱血漢。全日本大学駅伝で初めて優勝した際には監督インタビューで号泣したり、先導者に「邪魔です、今から選手が追い抜くので」と声掛けするなど相当な負けず嫌いな一面がある。
妻の瑞穂コーチは競歩の指導者として知られ、多くの選手を世界の舞台に導いている。有力な部員の一部には練習の一環としてその世界に舞台を見せに行っているのだとか。
「負ける気がしねぇ」プレイヤー
緒方澪那斗
悩める鉄紺軍団の中で気を吐く次期エース。前回大会でも5区で区間10位とまずまずの成績を残し、今シーズンは出雲駅伝1区7位、全日本でも7区6位と奮闘を見せた。
東洋の選手たちといえば鬼気迫る表情でレースに臨み、そして相手を上回らんとする。そういうチームカラーがあるが、今現時点で緒方くんがもっともその東洋らしいと言えば東洋らしいランナーだと思う。
東洋が苦境に陥るとき、必ず気骨ある走りをしてチームを救ってきた選手たちがいる。それは宮下隼人選手だったし、相澤晃選手だった。緒方くんもそうした歴代の中でも優れたランナーとして活躍できる素養を持っていると私は考えている。