筒石駅がガチで怖かったから、次回は誰か一緒に行ってくれ
高校時代に鉄道研究部だった私は、親が出してくれた金で先輩たちとあっちこっち旅行へと行かせていただいた。
とても楽しいものだったわけだが、どういうわけだかそれが時たま再燃して飛び出てしまいたくなる時がある。
今回行ったのはその中でも筒石駅は今まで人生経験したことがない「駅で怖い思いをした」という体験をしたので、是非とも書かせていただきたい。
まずこの駅がどんな駅なのかを軽く説明するとしよう。
トンネルの中にある無人駅
「それなんて地下鉄?」と思った人もいるだろうが、この駅はただの地下鉄の駅ではない。めちゃくちゃ長いトンネルの中にポツンと明かりも少ない中に存在している駅なのだから。
電車の明かりがあると、めちゃくちゃ明るく感じるがそれ以外はトンネルにつけられている照明設備とほとんど変わらない。そのまま電車がいなくなるとどうなるか。
がらんとして何もなく、ただそこにトンネルがあるだけなのである(画像はWikipediaより)。
しかもだ。そもそもこの筒石駅は電車の本数が少ない、利用者数も圧倒的に少ない。ただ……。そんな中でもやっぱりどんな駅なのかはめちゃくちゃ気になるので探検することにした。
ということなので、駅を見て改札と駅舎を拝むことにした。
トンネルの先にあったのは、誰もいない待合室でした(撮り忘れた)。
しかも、ジメッとしていて不快指数えげつないものがあって、そそくさとトンネルの中に退散することになるのだが……(なお、トンネル内に入れば、めちゃくちゃ涼しい)。
ふと思い出す。「あれ、筒石って有人駅じゃなかったっけ?」と。
普通の地下鉄の駅は、ある程度の広さが保たれていることから無人駅でもある程度は問題ないのだが、筒石駅の場合「トンネルの中に間に合わせたような感じのプラットホームがある」という感じなので、安全面の問題から駅員が常駐していたのである。
しかし、駅員どころか人っ子一人いない。なんなら写メをパシャパシャとっていた時に、明らかに怪しいやつというまなざしで見ていた高校生の男の子しか筒石駅では会っていないのだ(ごめんね)。
そんな中、電車を待っていたわけだが、電車の音さえせずにしんとしたとんねる。電車が来る知らせさえも分からない上に、電波が思いっきり届かない場所だったこともあって、KINDLEで本を読んでいたわけだが……。
突然、それまで何も音さえしなかったトンネルに不気味な風の音が聴こえ、扉がガタガタガタガタ……と震え始めたのだ。それから5分か10分して、えちごトキめき鉄道のその日唯一走る急行列車が反対の線路を駆け抜けていった。
ものすごい轟音とともに。ただ、このまま待合室で待っている間どっち側の電車が来たかどうかさえこちらからは明らかに分からないのである。
少なくとも、このまま次の電車を逃してしまえばこの怖い思いをまたしなければならない……。矢も楯もたまらず、早く電車来いよーと心から願っていた。
だからこそ、すぐに電車が来たときは本当に安堵したものだった。ただ、電車到着時もただ踏切の音を半オクターブくらい低くしたような音で不気味だし、下の写真のランプしか点灯しねーし。
これでさっきみたいに通過電車だったら吹き飛ばされていたわマジで。
では、どうしてこの筒石駅。そもそもどうしてこのような形の駅となり、無人駅となってしまったのだろうか。
地すべりと土砂崩れの多い場所だった
もともと、筒石駅は地上にあった駅だった。集落に住む人たちが近くにある漁港から仕入れた魚を売るための行商人が多く利用する駅として知られていた。
現在でも海釣りの名所として知られており、昔ながらの集落もそのままに保存されているらしい。
一方で、地上駅であった筒石駅はたびたび地すべりによる被害にあっており、北陸本線としてもこれらを改善することが求められていた。これを受けて新たに線路を作ることに決定し、1966年より現在の形となり今に受け継がれている。
結果としてこのまま2015年までは国鉄・JR西日本管轄の駅として扱われていた。決して人数が多い駅ではなかったが、その物珍しさからか乗降する人も少なくなかった。
そして、北陸新幹線前は、多くの優等列車が走っており、トンネルを高速で駆け抜けていく中でホームに人がいると大変危険であった。そのため、そこに人員を割かなければならなかったわけだ。
ただ、北陸新幹線開業後は第3セクターのえちごトキめき鉄道に移管され、優等列車も1日に1本と減ってしまう。時刻表さえ守ってくれれば少なくとも先のような危険は回避される可能性もある。
そこから、人員を割く必要もないと判断されたのか常駐する駅員も減っていき、2019年には完全に無人化となってしまった。業務的にも必要がなくなり、安全上もそれほどリスクがなくなり、たぶんこれからも集落の人のための駅としてしか使われないんだろうなーと感じている。
ただ……めっちゃ怖いからな、ここ。
何かあったらセコムと糸魚川駅に連絡行くようになっているけど、電波通じないし、あの不気味な風の音と「カンカンカンカン……」という音が不気味で、さながら地獄からお迎えが来たのかとさえ思った。
慌てて電車に飛び乗って、ほっとしたのもつかの間。
「あのぅ……」
と言われてビクッとなったのは本当です。そうしたら車掌さんで「切符見せてもらえませんか?」ということだった。
その時ほどほっとしたことはなかったので、最後書いておきます。次は誰か一緒に行ってくれ。赤信号と同じでみんなで行けばきっと怖くはない。きっと。