【音楽】UNISON SQUARE GARDENというロックバンド
この世のミュージシャンと呼ばれる人間のなかで、UNISON SQUAREGARDENというロックバンドが一番好きだ。
音楽シーンの路地裏みたいな箱庭で、僕の大好きなロックンロールを掻き鳴らし続けてくれる3人。 語りたいことは山のようにある。
ユニゾンを知ってくれ、というような布教ではなく単なる愛の洪水。
1.難解かつ重厚、けれどもポップな曲
曲がいい。それに尽きる。
有名にもほどがある「シュガーソングやビターステップ」や「オリオンをなぞる」といったシングルから、
「セク×カラ×シソンズール」や「Micro Paradiso!」のようなカップリングまで、ポップで楽しい曲が多い。
手数が多く複雑で重厚なメロディながらも、軽やかさと駆け抜けるような疾走感。それをVo.斎藤が力強く歌い上げる。2番、ラストへと次々と思いもよらぬ方向に曲が展開していき、何度でも聴きたくなる。
緻密に組み上げられたズッシリとした楽曲も、しっかりとポップで聴きやすいものに仕上がっている。
1-1. 一聴じゃ飽き足らない贅沢さ
「何度も聴きたくなる」というのは、ユニゾンの曲に共通するものかもしれない。単に好きな曲というのもあるけれど、聴くたびに発見があるというか。
「この部分の歌詞、今聴いたらこういう意味なのか」って自分のなかの解釈が変わったり、「ここのドラムの鳴らし方めっちゃいい」みたいに詩曲ともに色んな楽しさが詰まっている。
この曲前まではなんも思ってなかったけど、今はめちゃ好き、みたいな。すべてがスルメ曲。
やっぱりBPMが速く、歌詞も同様に駆け抜けるようなものが多い。ユニゾンをあまり聴いたことない人や初めて聴くような人は、口をそろえて「速すぎて何言ってるかわからない」と言う。
本当にその通りだと思う。初めて聴く曲だと、何を言ってるかわからないことが多い。速くて聞き取れないし、歌詞自体の意味もわからないものもある。
ただ、その一聴では難解なものを何度も楽しめることが
やっぱり贅沢で、このバンドの魅力なのだ。
1-2 歌詞に意味はあるか、ないか
歌詞に思いっきり、作り手のメッセージを反映させるバンドも多い。人に何かを訴えかけるような曲。
対して、メロディが聴いていて楽しくて、歌詞がそれにハマればOKみたいな音楽もある。
ユニゾンはどちらかといえば後者。歌詞に独白をめちゃくちゃ織り交ぜてくる楽曲もあるが、
ポップ&キャッチーなメロディに合う、歌っていて気持ちいい言葉遊びのような詞が多い。
『DUGOUT ACCIDENT』収録の「徹頭徹尾夜な夜なドライブ」がまさにそれ。
この曲は特にそうだけれど、歌詞に意味なんてないのだ。歌っていて楽しければそれでいい。(意味がある曲も多いんだけど)
メロディを先につくって、そのメロディに合う歌っていて気持ちいい言葉を紡いでいく、みたいな曲作りをしてるからそうなるんだろうね。しらんけど。
歌詞の解釈も聴き手の自由だ。
「こういうメッセージを込めた。伝わってくれ!」とい想いや人生を音楽にのせるミュージシャンも数多くいる。何十億という人間がこの世にはいるのだから、そういう音楽も必要だと思う。
僕の好きなロックバンドはそれとは違う。その曲を聴いて何を思うか、人それぞれ。十人十色という言葉などでは到底表せそうもない自由な楽しみ方がこのバンドにはある。嬉しいね。
カッコいいものをでかい音で鳴らす。自分の音楽の楽しみ方に非常に合ったバンドである。
自分の好きにガッチリはまる音楽を見つけられるって凄くラッキーなことだ。
想いを届けるだけが音楽ではない。
「君が自分で立ち上がれるように、ちょっと背中押してやらんこともない。あとは勝手にやれ」みたいなスタンスで奏でられる、自分勝手な音楽があってもいい。
1-3 言葉と言葉の複合技
ユニゾンの歌詞には造語が多い。
「シュガーソングとビターステップ」や「Nihil Pip Viper」に出てくる"蓋然性合理主義"という言葉がそういうもののなかで一番有名かも。
『JET.CO』収録の「アイラブニージュー」なんて、曲名からすでに言葉と言葉の合わせ技。
こういういかにも田淵らしい言葉遊びはユニゾンの曲の随所に登場する。頭をひねることの出来る歌詞というのも、なんかいいよね。
この引用はとまんねぇ。言葉遊びはおわらない。
1-4 曲たちの目まぐるしい展開
ポップでキャッチーなメロディラインながら
その曲を解剖すると、まぁなんと複雑で緻密に組み上げられた3重奏なんだと思う。
突然訪れる転調の嵐に、2番のBメロでベースやドラムの手数も増えていって、これでもかという程の盛り上がりを見せたり。ラストにかけて曲が目まぐるしく展開したりと、非常に体も心も揺さぶられる音楽が多い。
さっき何度聴いても楽しめると書いたけれど、この思いもよらぬ曲の展開もまた、一聴じゃ飽きたらない面白さを作り上げてくれている。
ジェットコースターのような急展開に、スリーピースとは思えない重厚な音の集合がUNISON SQUARE GARDENの真骨頂といってもいい。自分はね。
やっぱり必殺技とも呼べるようなシングルに、そういう曲が多い気がする。1番と2番で全く印象が異なったり、ラストがどこまで盛り上がるんだっていう曲もあったり。ライブでぶち上がること間違いなし。ライブ生きてぇな。
1-5 自分たちが一番カッコいいと思う音楽を
武道館ライブ「fun time 724」のアンコールでの、田淵のMCが印象的だ。
君の好きなロックバンドは多くの人に愛される曲も、世間が求めるような曲も書いてきませんでした。書くつもりもありません。
でも君の好きなロックバンドは、誰が何と言おうと絶対にカッコいいから自信もっていいよ。
このMCにこのバンドの曲作りだったり、バンドとしてのスタンスだったりが詰まっていると思う。
速くて何を言ってるかわからない、救いの手を差しのべてくれるようなものでもない曲たち。
多くの人に受け入れられるような曲は少ない。そういう曲はこれからも生まれないと思う。
でも、自分たちがカッコいいと本気で信じた音楽はずっとブレずに飽きずに続けてくれる。そこがいい。
そしてバンドメンバーも、自分たちの音楽を心底カッコいいと自信と誇りをちゃんともっており、「カッコいい」と思った音楽だけを変わらず掻き鳴らしてくれる。
広く大衆に分かってほしい聴いてほしいと迎合するのではなく、「わかんねぇならざまぁみろ」と舌を出して我が道を進む。そういうところが好き。
ユニゾンの鳴らす音楽を好きだと思った「物好き」のために、そして何より自分自身のために音楽を作り続けてくれる。その結果として産み出される楽曲たちはやっぱり純度100%のカッコよさがあり、昔の曲だろうと色褪せない。最新アルバムのツアーで繰り出されても、新曲に負けることなくしっかりと輝きを放つところは本当にすごい。完全無欠のロックンロール。
1-6 垣間見える魔法のような純粋さ
オーディエンスをボコボコにするようなエッジの効いた音楽のなかにも、田淵のロマンチストな部分が垣間見える、ものすごく純粋な表現も多い。歌詞もそうだし曲全体がキラキラしたものもある。
バラードやカップリングに多い。
この「僕は君になりたい」は特に、曲全体がキラキラした物凄く透明度の高い楽曲。
カップリングっていう一番最後に行き着くであろう作品群に、こういう純粋ど真ん中を置いてくるところもまた、シングルCDを買う理由になっている。
バラードという枠に入ってるシングル曲もまた、良い。
そしてこういう純粋さ全開曲を歌ってる田淵の表情もめちゃくちゃいい。
バチバチのロックを舌を出しながら荒々しく演奏する田淵よりも、物凄い笑顔で音を奏でる田淵の方が好き。泣きそうになるよねあれ。
「harmonized finale」っていう物事の終わりにフォーカスしたシングルがあるけど、この曲を歌ってるときの田淵の表情が一番好きかも。
バラードかつシングルという特殊な曲なので、収録アルバムのツアーとか特別なライブでしかやらないイメージがある。ただ、演奏してほしいな~って毎回のツアーで自分は思う。
とにもかくにも、カップリングだったりバラードは特にこういう純粋さが垣間見れるところが多い。聴け。
1-7 アルバムという1つの物語
今や音楽は「買う」時代では全くなくなってしまった。
その曲が聴きたいからと、CDという目に見える物自体を手に入れるのではなく、数多の音楽から自分に合ったものを拾い上げてつまみ食いできる時代。
そういう時代を否定したいわけでは全くないし、自分もサブスクというサービスの恩恵に預かってるからこそ楽しめている音楽は沢山ある。
ただ、どうしてもサブスクというサービスの特質上、
ロックバンドが意図した曲の聴かれ方がされないという部分もあると思ってる。意図を持って組まれたアルバムの曲たちが、つまみ食いされるイメージ。
聴く曲をこちらが自由に取捨選択できるので、曲をつまんでまた別の曲をつまむ、みたいな聴き方をする。
そんなの聴き手の勝手にさせろとも思うし、実際そうなんだけど、別の楽しみ方もあるよって話。
アルバムというのはロックバンドの生きてきた歴史だ。
アルバムを紐解いていくことで、そのバンドがどういう音楽を鳴らしてきたか、バンドのもつ世界観と生き様を体感することができる(と自分は勝手に思っている)。
そういうバンド自体の生きた証みたいなものをギュッと詰め込んで、1つの物語としてアルバムを産み出してくれるバンドはすごく好き。
何が言いたいかっていうと、まさにUNISON SQUARE GARDENがそういうバンドってことだ。
そもそもの選曲から、曲の並び、曲と曲を繋ぐ間の長さとか全てに拘って、アルバムをまるごと1つ聴くことの楽しさや意義を教えてくれる。
「今このアルバムにはこの曲が必要」といった感じで、単品では物凄く「??」となってしまうような曲も、意図された場所に嵌め込まれると、しっかりアルバムの大事なピースとして輝く。
そういう作品の作り方ってとても素敵だと思う。
7thアルバム『MODE MOOD MODE』に収録されている「フィクションフリーククライシス」や、8thアルバム『Patrick Vegee』の「摂食ビジランテ」などがまさにそうだ。詳しくはアルバムを通しで聴けば、自ずと体感できる。問答無用で聴くのがいちばん。
幸いなことに、ユニゾンはいまどきCDを買う物好きを大事にしてくれる。そしてアルバムという自らの歴史を映し出す作品に対して並々ならぬ熱量を持ってくれている。
そんでもって、アルバムごとにしっかりとしたテーマがあるのも面白い。特に、「シュガーソングとビターステップ」が収録された6thアルバムの作り方は非常にユニゾン(というか田淵)らしくて好きだ。そこのところはバンドのスタンスに関わってくるところなので後で書く。
1-8 CDを買う理由をもう少しだけ
自分がアルバムなりCDなりを買う理由はまぁ喋った。ついでに言うと、店舗で実際に自分の好きな音楽を手にとって購入するという体験が好きっていうのもある。好きだと思ったものを手に入れる瞬間っていうのは必ず楽しいものだ。
それにちょっと加えてユニゾンのCDには毎度、
帯に短い文章が綴られている。それをみるのが楽しみというのもある。
これがまたいい文章なんだ。収録されている曲の歌詞を引用するものから、そのアルバムだったりシングルのテーマだったり色々で。
シングルを1曲も収録しないベストアルバム『DUGOUT ACCIDENT』の帯は、「端役、伏兵、大暴れ」。
普段あまり聴かれない、でもバンドにとって凄く大事な曲たちがベストアルバムのなかでまた違った輝きを見せるところが素敵なアルバムなんだけど。
しっかりアルバムの根幹を表した言葉だなと思う。こういうちょっとした楽しみもまた、今日もCDを買いに行きたいと思える1つの原動力でもある。
あともう1つ。
11thシングルの「10% roll, 10% romance」の帯がとても好き。「4年後もどうせ君が好き」っていう帯なんだけど、これだけ見たら「どゆこと」ってなる。
これ、2番のサビにこういう歌詞が出てくる。
この曲は、ダンスフロアを駆け抜けるような疾走感と、ともに踊る男女のロマンスについてユニゾンらしく謳った曲(だと僕は思ってる)んだけども。
「4年後もその先も君のことが好き」というのをこの歌詞で表現するのええなぁ~っていうのが帯を見ることでより鮮明に思える。そういうのなんかいいよね。
とまぁ、
ユニゾンの音楽を好きで、聴き続けている理由は主にこんなもんだ。一瞬も飽きないねこのバンド。
でもでもでも何より、ライブで体感する彼らの音楽が一番カッコいい。ライブをするために生きてるバンドなんだからそりゃそうだ。
そこんところをちょっとまた喋ろうかな。
まだ喋るのかって思うだろうけど、このnoteにどうしても収めたいものがある。
2.バンドはライブをする生き物
「ロックバンドは、曲をつくってツアーを回る。ただそれだけの生き物」だ。
今の流行りの音楽シーンを皮肉るかのように、自分の生きる理由を明示するかのように、こういう類いの発言を田淵はよくする。田淵に限らず、斎藤も「ライブがやりたくて始めたバンドだからずっとライブしていたい」みたいなことをなよく言ってる。
田淵に至っては「ライブはご褒美」なんて言ってたな。
バンドの真骨頂たるライブがご褒美って最高じゃん。
ユニゾンの魅力が炸裂するのは、やっぱりライブだ。楽曲の良さは散々語ってきたのでもうその素晴らしさを復唱する隙はないと思うんだけど。その曲が最もカッコよく目の前で解き放たれるのが、ライブ。(特にワンマンライブはね。)
持ち前の演奏力や歌唱力に、鮮烈なライブパフォーマンス、演出や長いMCといった雑味をできる限り無くした音楽だけのステージ、そして何といっても曲たちが最も輝く、緻密に計算されたセットリスト。
派手な演出も思わず感動してしまうMCも煽りも、何もなくオーディエンスとの一体感などはまるでない。
ただ、3人が楽しそうにデカイ音を掻き鳴らし、客が勝手に盛り上がる。そういうお互い自由気ままで、でもカッコ良さはピカイチでステージから目を離せない。
そういうライブを続けてくれるところが魅力。
2-1 スリーピースとは思えない演奏力
なんといっても技術の高さ。3人ともがバケモンみたいなスキルを持っているので、その三位一体のライブともなると体が震える。
楽曲の中心たるメロディを鳴らし、田淵が書いた息継ぎをする間もない歌詞をとんでもない歌唱力で歌い上げる化け物ギターボーカリスト。スカースデイル出身。ここにきて急に始まるメンバー紹介。
ただでさえ、田淵が書く早口で難解な歌詞を歌うだけでも大変なのに、ユニゾン節の効いたアップテンポで忙しいギターの演奏も並行してやってのける。
そして喉から当たり前のように音源を出す。
歌とギターに対して拘りやプライドをもっていて、REC時に1曲で11本ギターを使うこともあるそうだ。
ライブではギター1本でやらなくちゃいけないので、曲が変わったり、その曲のなかでメロディが変わるとエフェクターの踏み替えとかも重要になってくる。
この人は、息継ぎのない早口の歌を歌いながら、そして複雑なメロディラインを弾きながら、必要に応じてエフェクターで音を変えるという並のミュージシャンでは出来なさそうなことを平然とやってのける。
そして斎藤から放たれるギターの音色も歌もどれもが、音源と遜色ない、というかより熱を帯びたとんでもなくレベルの高くて圧倒される。音楽に対して並々ならぬ情熱とプロとしての矜持をもっている男。
爽やかな見た目からはあんまり想像できないけど、本当に音楽とかギターが好きな人だと毎度のライブや音源を聴く度に思わされる。
そんな音楽に人一倍の熱をっている斎藤が、曲作りの殆どを田淵に預けてプレイヤーに徹しているところもまた、ユニゾンの面白さであり凄さだ。
UNISON SQUARE GARDENのブレーン。
詞曲の殆どを担当し、ステージを駆け回るライブパフォーマンスから「日本一見切れるベーシスト」と呼ばれる音楽大好きバンド大好き男。ライブの時Tシャツの襟めちゃ切りがち。
やっぱり田淵といえばライブで暴れる姿が印象的。
「天国と地獄」なんか足上げすぎでしょとか思うもん。
ステージを走り回って、ベースのヘッドを斎藤の頭にぶつけて流血させた事件は有名。
とにかく音楽が好きで、ライブをすることが生き甲斐で、音楽を体全体で表現したい気持ちが凄い。どうしてもあの人はフロアを駆け回ってしまう。そのライブパフォーマンスが見たくてライブに行く人もいると思う。
暴れながら、複雑なベースラインを荒々しく演奏する姿も印象的。あんだけ暴れててそもそも弾くのが難しいユニゾンのベースを平然と弾くのが凄いよね。
そしてユニゾンはスリーピースということもあって、
ギターのメロディを補うかのようにベースもかなりメロディアスなラインになっている。
Aメロがベースとドラムだけ、なんて曲はザラにある。
あの超絶有名曲「シュガーソングとビターステップ」だってそうだ。
本来リズムの役割をかって出るベースをしっかりメロディとして聴かせるような複雑なライン。そしてそれを弾きながら激しいライブパフォーマンスを見せつける。
演奏力の高さだけでなく、その演奏する姿が観てるこちらからするとたまらない。
田淵智也という男について語りだしたらキリがない。
ユニゾンの楽曲のベースとなるリズムを完璧に演奏する男。スプラトゥーン大好きおじさん。
まじでドラムの演奏技術は日本で5本の指に入るくらいじゃないかと思う。
何が凄いってまず手数の多さ。
これ人間1人が一度に奏でられる音なんか?っていうくらいとんでもない手数が多い。手首のスナップだけで叩いてるときもあって本当に凄い。変態だ変態。
そしてその膨大な量の音の粒一つ一つに芯がある。
ドラムって叩くと「ポーン」っていうどこか抜けた音になることも多いけど、貴雄の叩くドラムは物凄く一音が心臓に届く深い「ドンッ」っていう音。
ライブに行くと、田淵がベースライン間違えたり、斎藤の喉の調子が悪かったりと100点満点で最高のライブだった!って断言できるライブはめちゃくちゃ多いわけではないんだけれど、この鈴木貴雄のドラムに関しては、毎回百発百中で100億点。
今日も最高のドラムをありがとうーーってなる。
「Phantom Joke」みたいなとにかく手数の多い曲だと、ずっと貴雄を見てしまうときもある。
この曲、特に個人的に好きって訳ではないけれど、2番Bメロからのドラムの暴れ具合が半端ないから聴いた方がいい。カイリキーがドラム叩いてるんかってなる。
ほんとに、貴雄のドラムを日常的に聴いてると他のバンドのドラムが聴けなくなる。
あの芯を捉えた音の爆弾がリズムとして流れるのが当たり前になってるから、どうしても他のバンドの曲を聴くと物足りなく感じる。そんくらい凄い。
それを物凄く楽しそうにそして軽やかに叩くのだ。過去のインタビューで、ドラマーとしての自分の理想として「道化師」を挙げていた。
演奏する音楽そのものだけではなく、叩く姿もドラマーとして魅せるべきもの、というスタンスが感じられる。実際ライブの時、暴れまわる田淵に負けず劣らず本当に楽しそうで。それも魅力なのよ。
三者三様に音楽への情熱や、バンドマンとしての自分の技術への自信やプライドがあり、その三重奏がたまらない。半端ない演奏力でデカくて最高の音が鳴る。そんなのライブ行くしかないよな。ここにきてやっと3人の紹介をした。
2-2 計算された極上のセットリスト
半端ない演奏力から繰り出される曲たちも、とんでもなく最高なセットリストのもとで最も輝きを放つ。
特に田淵智也はセットリストを組む才能が凄い。
なぜその曲をセトリにいれるか、なぜその順番なのかもしっかりと計算されている。
それに曲と曲の繋ぎ方にめちゃくちゃ拘ってくれる。
曲が終わって間髪いれずに次の曲に行ったり、セッションがあったりと飽きることがない。
この曲の繋ぎに関しては、めっっっちゃ個人的に気にするところで、毎度のツアーのセトリを予想するときに「この曲の次にあの曲が、こういう繋ぎ方で始まったらカッコいいな」とかを、ずっと考えてるくらい。
「この曲が終わったら一旦演奏終わって、3人のチューニングと水飲みタイム始まって、それが明けたらセッションで~」みたいな端から見たら気持ち悪い妄想もツアーが始まる度にしている。
セットリストの凄さに関しては、実際に曲を聴いてもらって、というかライブに行ってぶち上がってもらうしか理解する術はないのだけれど、
1) 最新のツアー≠最新曲を披露する場
2) 必殺技となる曲を置く場所
セットリストに関することで、この2つについて少しだけ喋りたい。
1) 最新のツアー≠最新曲を披露する場
これは言葉の通り。
アルバムのツアーをやるから、必ずしもそのアルバムの全曲を披露するわけではない。
最新のツアーは、「最新曲を演奏する場では必ずしもなく、そのとき一番体感してカッコいい曲たちが披露される場」という認識が田淵にはある。
だからツアーのアルバムの曲だけど、セットリストから漏れることもある。
『CIDER ROAD』の「お人好しカメレオン」「流星のスコール」とか、『MODE MOOD MODE』の「夢が覚めたら」とか。
アルバムのツアーだから、収録しているやつは全曲やらないとっていう枷がないからこそ、そのときのセトリの美しさを考えると漏れてしまう曲も出てくる。
ただその分、なぜその曲を今演奏する必要があるのかをしっかりと示してくれる説得力のあるセットリストになっている。だから飽きずにライブに行きたいと思える。
やらない曲にも意図がある。
例えば結成10周年記念の武道館のワンマンという超記念ライブにも関わらず、ユニゾンが世の中に知られるキッカケになった「オリオンをなぞる」を披露しなかったりとか。
このときは「10周年は記念日だけど、まだお祝いされるようなフェーズではないから必殺技は隠し持っとく」みたいなものを感じた。
とにかく、その時どういうセトリだと、1番カッコいいライブが出来るかをめちゃくちゃ拘って構成を組み立ててくれる。それってただ音楽を聴きに行くだけじゃなくて、今のユニゾンのベストを体感しに行ける秘密基地ってこと。ライブって最高だね。
2) 必殺技となる曲を置く場所
これ、自分がセットリストを予想する上でも「1曲目何かな~」ってことと同じくらい考える部分だ。
田淵は、そのツアーの必殺技ともいえる曲をラストから2番目に配置することが多い。
最近のツアーは、「本編18曲+En3曲」の21曲で構成されることが多い。なので17曲目に切り札が置かれがち。
たとえば15周年記念の野外ライブ「プログラム15th」では、ラストから2番目という一番盛り上がるところで、武道館でもやらずに隠し持ってきた「オリオンをなぞる」が演奏された。2015年の武道館から4年かけて盛り上げてくるこの感じ!好きだ。
カップリングしかやらないB面ツアーのラス2に、ライブでは絶対にやらないと宣言していた「I wanna believe, 夜を行く」を披露したりと。
この位置にご褒美とも言われる曲が来ることが多い。
そういえば『Patrick Vegee』のツアーでは、満を持してシュガーソングが演奏されたよね。
こういう右肩上がりでぶち上がるセトリが本当にカッコいいし、予想するときも楽しい。
2-3 MCや演出がほとんどないライブ
まず、ユニゾンのライブはとにかくMCが少ない。
本編の真ん中とアンコール始まるときに5分くらいちょろっと斎藤が喋るくらい。田淵や貴雄がMCに参加するのなんて、本当に記念ライブくらいだ。
ここには「出来るだけ沢山の曲をやる」というユニゾンの強い意志がある。
田淵が他のバンドのライブに行ったときに、「このMCがなかったらもう1曲できるはずなのにな」と思ったことがあったそうな。
そのライブスタンスがとにかく好きだ。
ライブに行く理由は人それぞれあると思う。とにかく盛り上がりに行きたい人も多いだろう。ダイブとかモッシュとか発生するやつ。僕は苦手だけど。
自分の場合は、「大好きなロックバンドの生の音を聴きに行く、綿密に練られたセトリを体感しに行く」ためにしかライブに行かない。
ステージで掻き鳴らされるデカイ音を聴きたいだけだ。事件はステージで起きているのだから、目を離すことなんてできない。他のことをしている暇なんてない。
MCなんてほとんどいらないからとにかくあのカッコいい曲たちを沢山聴かせてくれ、と思う。
そういう自分の好きなライブの形と、ユニゾンが見せてくれるライブが、がっちりとハマったのだ。
こんなに有り難いことはない。一番カッコいいと思っているロックバンドが、自分にとって一番好きなスタイルでライブを飽きずにやってくれるなんて。最高だ。
MCのほとんどない、できる限り曲をたくさんやってくれるライブ。それに加えてユニゾンのライブはとにかく演出が地味なのだ。
スクリーンになにかが映し出されたり、「おぉっ」となるような演出がほとんどない。あるのは、よりライブをカッコよく映えさせるライティングくらいなもんだ。
この雑味の少ない地味なライブというのもまたいい。
純度100%で、大好きな楽曲たちとセットリストを体感できる。
自分達の音楽に誇りをもっていて、余計な演出は必要ないと、ただデカイ音を掻き鳴らすだけでサラリと最高のライブをしてしまう。すげぇバンドだ。
田淵は、「デカイ音を鳴らすことがユニゾンのライブだ」と昔なにかで語っていた。まさにそれが体現された新世界。もう行くしかないよな。
2-4 煽らない、楽しみ方は自由。
今の時代、バンドが観客を煽るのはめちゃくちゃ日常的な光景だと思う。手拍子を誘うなどの簡単なものから、「もっといけんだろ」みたいなやつまで、色々とある。
あれが凄く個人的には好きではない。
こっちはこっちの楽しみ方があるんだから、そっちのテンションでいちいち指図すんなよなって思っちゃう。
そして煽った結果生み出される、一体感みたいなものがどうもむず痒い。音楽だけで直球でかかってこいよってなる。
ユニゾンの場合、煽りは一切ない。
「煽るのってダサいし、そうやって盛り上げる必要なんてない」という矜持があの3人にはある。(昔はめちゃめちゃ煽ってたらしいが。)
斎藤は、ライブの4、5曲目のはじまりくらいに「自由に楽しんでってください」とよく言う。
今の時代、アップテンポの曲で手を上げたり跳び跳ねたりは当たり前だ。そういう気分じゃない人も、なんかこの一体感に溶け込まなくちゃってなると思う。
しかしユニゾンのライブは、自由だ。
「手を上げたいなら上げたいでいいし、静かに聴きたい奴はそれでいい。周りを見てこうしようとかじゃなく、ただステージの我々を見てくれ。」というスタンスがある。
この「instant EGOIST」という曲に、ユニゾンのライブの在り方みたいなものが凝縮されている。是非聴け。
夏フェスよろしくな手拍子も煽りも何もなく、ただステージと自分の一対一の音楽。周りがどうとか関係ない。そういうライブが好きだ。そしてユニゾンのライブの根幹でもある。
2-5 ライブは、自分達が最も楽しむ場
「自分のために音楽をやる」
そがロックバンドが飽きずに今日も息をしている理由でもある。ファンのためとかましてや音楽業界のため何かではなく、自分達自身のために音楽を作り続けるという意志がある。そこがライブにも反映されている。
本当に3人ともが楽しそうにライブをする。
会場の誰よりも、ステージの3人が一番楽しんでいる。本気で楽しむ人の姿は見ていてこっちも楽しくなる。
ただでさえ最高のライブが、ステージの生き生きとした3人のパフォーマンスでより楽しくなる。
本当にスリーピースかよと疑うほどの厚みのある演奏技術に、曲たちが最も輝くセットリスト。
そしてMCや余計な演出、煽りなどの手段を使わず、
ただデカイ音をカッコよく掻き鳴らす。それが彼らのライブで、僕が一番好きなロックバンドのライブの形。
余談:ライブは無くてはならないもの
コロナ禍という世の中になってから、ライブの形は大きく変わった。規模を小さくしたり、オンライン×無観客という形で開催したり、そもそもライブというものを中止したり。何かしら今まで通りとはいかないものになっている。
そんななかで、ユニゾンは「音楽は常に鳴り続けなければならない」という強い意志をもってくれていた。
本人たちがライブをしないと息苦しいというのもかるし、こういう状況でもできるものはあるという常に楽しいことを考える才能をもっていたからだ。
2020年の7月、8月には人気投票でセットリストを組むというオンラインライブを開催してくれたり、冬には
「座って観る」をコンセプトにした「LIVE on the seat」を開催してくれたりと、常にライブをやり続けてくれた。
2021年の2月から始まった、ツアー「Normal」ではその意志をより強く感じることができた。
どんなときでも、ライブをやる方法を考え続けて、ファンに提示し続けてくれるってありがたいことだ。
「ますます良いバンド好きになったな、自分」って思ってしまう。
3.ロックバンドとしての在り方
僕はユニゾンの曲もライブも物凄く好きだけれど、
やッパリ何よりバンドのスタンスが好きだ。ここまで自分の理想のロックバンドってのはない。
3-1 飽きるまでやり続ける
田淵はよく、ユニゾンというバンド(というかロックバンドそのもの)に対して、「飽きたらやめる」と言う。
17年経った今も変わらずバンドが生き続けているからそういうことなんだけど、何が言いたいかっていうと「飽きることなく音楽を続けてくれるユニゾンっていうバンドは、昔も今もスタンスが変わらない」ってこと。
あの爆発的にヒットしたシュガーソングのあとも、全くといっていいほどユニゾンのスタンスや曲が変わらなかった(むしろ変わらないという意志がより強くなった)のは本当に嬉かった。
好きなミュージシャンへの熱が冷める理由として、
「デビューして丸くなった」とか、「音楽の路線が変わった」とか、バンドの好きだった部分の変化がよく挙げられる。実際にそういうバンドも多いと思う。
昔は尖ってたけど、いまはなんか温くなっちゃって、みたいなね。あるよねなんかそういうやつ。知らんけど。
音楽への姿勢と、生み出される作品のコンセプトだったり芯みたいなものが本当に変わらない、あの3人。
スタンスとか曲のノリがずっと変わらず、演奏技術や歌唱力の熟練度が上がったり、セットリストの精度が年々上がっていくから、より曲やライブがカッコよくなってしまう。
だから、熱が冷めてしまったバンドに対する、昔は良かった、みたいなあの気持ちになることがない。常に今のUNISON SQUARE GARDENが最高っていう状態だ。
音楽が、ロックバンドが大好きでずっと続けてくれる。そんな3人の鳴らす音楽だから、いつまでも大好きでいられるものだ。
それって物凄くラッキーなことで。
17年も変わらず、現状維持をしてくれるバンドなんてそうそうない。(それもかなり高次元で続けてくれるなんて、本来ならあり得ないことだ。)
これもきっと「自分達ために音楽をやり続ける」っていうバンドの根幹だったり、自分達の音楽への自信やプライドがしっかりとあるからこそできることだと思う。
本当にありがたい。
↑に関して、ちなみに「フルカラープログラム」は『流星前夜』というインディーズ時代のアルバムに元々収録されている曲である。
3-2「 売れたくない」というきもち
「売れたくない」「目立ちたくない」「デカイとこでライブしたくない」みたいなことをインタビューで田淵はよく発言している。
「ロックバンドは曲を作ってライブをするだけの生き物」っていうのは上でも書いた通りで、田淵はその想いがおそらく人一倍強い。
だからユニゾンはメディアにほとんど露出しないし、
特にライブ以外のイベントとか交流みたいなものはない。アルバムが出たらラジオとか雑誌のインタビューで喋るくらい。
ライブハウスでライブをし続けたい気持ちが強かったり、「物好き」がライブに来られるようにするために、派手なシングルが出てもより内に内に、目立たないような仕掛けを何度かしてきた。
例えば、最新アルバム『Patrick Vegee』や、6thアルバムの『Dr. Izzy』はそれが如実に表れた作品だと思う。
1)『Patrick Vegee』について
アルバムのタイトルからより内側へっというのが伝わってくる。直訳すると「パトリックの野菜」。
これといった意味もなく、めちゃくちゃ地味でこじんまりとしたタイトル。
というのも、これの前の『MODE MOOD MODE』が、かなり派手で盛大なユニゾンという切り口を見せたアルバムだった。
オーケストラをふんだんに使った「君の瞳に恋してない」や、「10% roll, 10% romance」をはじめとするシングル4曲の収録というかなりボリュームのある、外の世界にも伝わってしまうような聴き応えのある作品。
そしてそして、次のアルバムはどうなる。これもまた「春が来てぼくら」という傑作にも程がある化け物シングルが収録されてることもあり、今度はどんな世界が開かれるのかと思っていた。
すると僕たちの予想に反して、「ユニゾンの新しい切り口はみせたけど、やっぱり俺らはこういうバンドだぜ」っていう風にめちゃくちゃ地味な方向に舵を切ってきた。
そこには、これ以上目立つ必要はないという田淵の想いが強く反映されていると思う。アルバムを聴いて。
2)『Dr. Izzy』について
超絶ウルトラメガヒットソング、「シュガーソングとビターステップ」が収録されたアルバム。
あれほどまでに売れたシングルが入るアルバムとなると、バンドとしても「売れる」アルバムにしようと力が入るものだと思う。事務所的にもそうだろう。
けれどフタを開けてみると、この作品は「シュガーソング擁する、広く受け入れられる名盤」ではなかった。
売れたくない・目立ちたくないという精神が全面に出た「ユニゾンはこういうバンドだよ」という、新参者を振るいにかける、既存のファンが望むいつも通りのカッコいいユニゾンのアルバムに仕上がっていた。
「エアリアルエイリアン」に始まり、「マジョリティ・リポート」や「Cheap Cheap Endroll」みたいな、シュガーソングが好きでハマった人が聴いたら「は?」ってなるような楽曲が山盛りなのである。
目立ちたくないっていう覚悟や信念を貫くってすごいことだよね。売れる曲を書いてしまったから、これ以上目立たないように「うち、こういうバンドなんで」っていう仕掛けをするって。
そういうところも、ユニゾンが「変わらない」部分として好きだ。
3-3 ファンとの距離感
いやー、これをずっと喋りたかった。
ライブもそうだし曲もそうなんだけれど、ユニゾンの作る世界の根幹に、この「一見したら、ファンのことなんか全く大事にしてないじゃんって感じるほどの距離感」がファンとの間にある。
1) 付いてきてほしい、と思ってないところ
2) ファンとバンドは赤の他人
ザックリ言うとこの2点がユニゾンのスタンスとして特に感じられる、そして僕が好きなところ。
1) 付いてきてほしい、と思ってないところ
「付いてきてほしいとか思ってないので、君たちは気が向いた時に我々のライブに遊びに来てくれたらと思う。今日は楽しかった!」
これまた武道館ライブの田淵のMCだ。まぁなんと今のファンビジネスや時代に反した、我が道を行かんとする含蓄のある言葉だろう、とこのライブを振り替える度に頭のなかで反芻してしまう。
勝手な思い込みではあるけれど、今の時代ファンを大切にしてなんぼだと思う。人々の楽しみ方が多様化して、YouTubeという映像媒体やSNSの爆発的な普及で、アーティスト(ロックバンドも含め)とファンの距離はグッと近くなった。
その分バンドがファンと接する機会も増えたり、
何よりCDという代物が売れない時代だ。ライブなり何なり、色んな方法でファンに対してサービスを提供する。応援してもらうために、お金を払ってもらうためにあらゆる手を尽くしていると思う。
(例が思い浮かばんかったから、田淵がやってるもう1つのバンドの動画引っ張ってきた。たぶん何か違う。)
「一生付いてきてくれ!」と声高にMCで叫ぶバンドマンもいるだろう。おそらくその人の真性のファンからすると、そういう言葉の方が刺さるだろうし、文字通り一生付いていこうという気持ちになる(かもしれない)。
でもなんかそういうのって自分には凄く背筋を撫でられるようなゾワッとしてしまう言葉で。
ライブの最後に「次もまた絶対会おうな」とか言われても、「お前はこっちの顔も名前も知らんだろう」と訝しげな顔をしてしまう。面倒くさい性格してるな、と我ながら思う。
幸運なことに、その面倒くさい性格がユニゾンのスタンスと相性がよかった。
というのも、彼らは「何回ライブに来てる奴だろうが、初めて来る奴だろうが一緒。顔も名前も知らない、ただ今日フラッと音楽でぶち上がりに来た奴ら」という考え方を持ってくれている。
そりゃファンクラブという一線を画するシステム自体はあるけれど、ライブ会場ではそんなもの関係なくて。
かなり上の方で喋った通り楽しみ方は個人の自由だし何の制約もない。
(ファンクラブもまた、ツアーに1回はライブに行けるといったような救済措置のようなものだしね。)
人気バンドやアイドルにありがちな「お決まり」の動きやその他諸々が存在しない。そういう空気感が心地よい。
ユニゾンはよく自分達のライブを歌詞なんかで「秘密基地」と称することがある。
ここにもまた「目立ちたくない」という精神が半端なく詰まっているがまぁそれはいい。
心の拠り所にするような場所ではなく、「行こうかな」と気が向いた時にフラッと遊びに来れて、音楽を浴びたらさっさと帰る。
こじんまりとしていて、いかにもユニゾンらしいライブの在り方だと思う。こちらとしても気楽で、好きでい続けられるスタンスなので嬉しい限り。
ファンを大事にしない、というわけではないけれど
約束もなく、ただいつも通りカッコいいライブをするバンドなので、初めての人も昔からのファンも平等に楽しめる工夫をする。その今のスタンスが、ユニゾンのファンビジネスに対する解答だと思う。
「ファンを大事にする」って難しいね。
2) ファンとバンドは赤の他人
さっきまでの話に通じまくっているもの。
「付いてきてほしいと思ってない」よりもちょっと踏み込んだ表現かも。「ファンと自分達は赤の他人」というスタンス。
15thシングル「Catch up, latency」の帯にもある通り、「ロックバンドは正しくない」として頑なにファンに手を差し伸べることを拒んできた。
この温度感が自分にとっては心地よい。
「あくまで僕と君は他人だから、手を差し伸べることもない。でも、しんどいことがあったらフラッとライブハウスに遊びに来い。あとは勝手に生きろ」っていう考え方!!!
ユニゾンの曲もライブもそうだけれど、それら全ての根底にある、このバンドとしての確固たる信念が好きだ。
それがずっーと変わることなく通奏低音として流れているなんて本当に有難い。
やっぱりどうしても背中を押したいというミュージシャンはこの世に多い。音楽に希望を見いだす人も。
でも、僕はユニゾンの「手は差し伸べない、君が勝手に立ち上がれ」という冷たいとも捉えられる音楽が好きだし、自分にピッタリ合っている。
この「さわれない歌」は本当にUNISON SQUARE GARDENのスタンスをモロに歌った田淵の独白曲。
好きな曲TOP10には入る。舞洲の記念ライブではこの曲で泣いた。サブスクにはないが、是非聴いてほしい。
世界を救う気なんてさらさらないし、誰も助けるつもりもない自分達のために奏でる音楽。でもそこには確固たる実力とバンドの信念が変わらず存在していて、絶対にカッコいいと思わされる。そしてそれを聴いて勝手に救われる。そういう音楽を、これからも聴いていきたい。
僕の大好きなロックバンドのいいところの表層の表層を長々と書いた。曲について1つ1つ書くと大変なことなりそう。すげぇーバンドだろ。おわり。
↑いま、一番好きな歌詞。