〜アロマンティック・アセクシュアルの友人と出会って多様性について考えてみた〜
「アロマンティック」他者に恋愛的に惹かれない(性的指向の一つ)
「アセクシュアル」他者に性的な魅力を感じない、性的欲求が他者に向かない、性欲が他者にない、恋愛感情を抱かない(恋愛的指向の一つ)
両方の指向を持ったTさん(医療系で働く26歳、フェミニン好き)
彼女と話す会話は、興味深いものでした。
生まれた時から現在までに「人を好きになったことがない」と断言
「男の子の顔はあまり認識できない。覚えられない。人間だと思うだけ」
(なるほど・・・)
幼少期や青年期
自分自身が“おかしい存在“なのかと悩むことが多かったようです。
そのきっかけは・・・
小学校の保健の授業中、体育教員が「あなたたちも将来は異性を好きになって結婚した時に・・・」という言葉を聞いて
「自分は異性にそんな感情を抱いたことがない」「結婚なんてしたくない」
そんな感情を心の中で抱き・・・
幼いながらに
ものすごく傷ついたようです。
中学生・高校生になると女子の中で恋愛話が盛んになり・・・
話は聞くことができるけど、全く理解・・・できない
大学生のとき「自分は恋愛不適合者」「恋愛には興味がない」と周囲に伝えることで男性からのアプローチ防止対策をしていたそうです。
20代後半になり周囲から「結婚しないの?」「紹介しようか?」
彼女が「結婚に興味がない」と伝えると
事情を知らない友人や職場の先輩や同僚から「そのうち好きな人ができるよ」「結婚はいいものだよ」「決めつけはよくないよ」「運命の人に会ってないだけ」
本当に苦痛・・・
言われるたびに、人と違った考え方や価値観であることに悩んできた
現在は、同じ考え方や価値観を持ったサークルに加わることで気持ちが楽になったと話していました。
彼女が私に「結婚も男性も性についても全く興味がないんです」とカミングアウトを初めてしてくれた時、「将来はお金を貯めて素敵な老人ホーム入居して一生を終えたい」と将来設計まで伝えてくれました。
私は「そんな生き方もいいと思う!!」と伝えたところ
彼女は凄く驚いていた顔で「えっ?私の考え方・・・おかしいと思わないですか?」と聞いてきた
私は「えっなんで?」と質問しました。
彼女と出会って「アロマンティック・アセクシュアル」という言葉を知った
彼女は仕事も頑張っていて、趣味もあり、人に優しく、充実しているようでした
人と指向が違うことで苦しんでいる時もありましたが、今はとても明るく可愛いらしい女性です。
見た目では全く判断できない・・・
「アロマンティック・アセクシュアル」は、HNKで「恋せぬふたり」としてドラマ化されています。https://www.nhk.jp/p/ts/VWNP71QQPV/(現在は終了)
考え方や価値観は人それぞれだと痛感します。
自分の当たり前が他人の当たり前ではない・・・
考え方や価値観を共有できることは素晴らしいこと
でも強制することは、誰かの心を傷つけてしまう一言になるかもしれない。
彼女と価値観は違っていても共通する話題はあり、仲良くもなれる。
「多様性(ダイバーシティ)」という言葉はよく耳にします。
インクルージョンをつけ加え「ダイバーシティインクルージョン」として使われることも・・・
インクルージョンとは「お互いを認め合い尊重する」こと
多様性を尊重することは、生きる選択肢を増やし、結果的にどんな人生でも生きていける安心感につながるように思う。
彼女のような性的指向を持った方たちがいることを知ることで、多様性を考えるきっかけにもなりました。
そんな出会いに感謝します。
中には、自分の考え方や価値観を押しつけてくる人に出会うこともあります。
そんな時は、適度な距離をとりスルーしていくこともコミュニケーションをとるうえで必要ですね。
前向きメンタル研究家/公認心理師 たにぐち あやこ
前向きメンタル研究室 HP https://feel-positive.hp.peraichi.com/mental