【海外記事メモ】Tropicanaのパッケージ変更によって40億円失ったはなし
こちらの記事を読んだメモと感想になります。
結構日本でも話題になりましたが、Tropicanaがパッケージを変更したら売上がだだ下がりして撤回したエピソードに関する記事です。
2008年、年間7億ドルもの収益を挙げている世界で最も売れているフルーツジュースブランドのTropicanaがパッケージを一新させました。
その結果売上は2ヶ月の間で20%もの売上が消滅し、日本円にして約40億円もの損失を被りました。
このことはパッケージデザインが売上に大きな影響を及ぼすことを示唆した例として語り継がれています。
なぜ50億円近くを投資したリブランディングは失敗したのか?
失敗の理由はひとえに顧客とのつながり、絆を無視したデザインを行ったことにあります。
顧客が慣れ親しんでいた旧来の生の果実にストローが刺さっているという特徴的なデザインからは全く異なる無機質なグラスに入ったオレンジジュースのパッケージに変更になりました。
例え中身が変わっていなかったとしても、顧客調査や顧客からのフィードバックに準じた施策を行わなければ企業はネガティブな方向へ向かっていくことになります。
顧客は商品を選ぶときにかなりの部分を直感に頼って選択します。顧客には時間がなく、ひと目見た印象が売上に及ぼす影響は非常に大きいものです。
昔から普遍的な要素を残す
パッケージは顧客とのブランドコミュニケーションの最後の接点です。
いくらリデザインする際であっても、これまでの顧客との接点をガラリと買えてしまうようなデザインは避けるべきで、特徴的なデザインのポイントは過去から継承すべきです。
それが顧客との絆を維持し、売上を低下させない要因になります。
顧客調査も大事だが、企業としての意思も大事。その天秤が難しい
この記事では、Tropicanaの失敗は既存顧客への理解なしにパッケージを一新してしまったことにあるという内容でした。
その内容に異論はないのですが、一方で既存製品や他社製品と比較した際の新鮮さを見せなければコストをかけてリブランディングする意味もありません。そしてリブランディングの方向性を決めるのは企業側が考えている今後未来へ進むべき方向性にもあると考えます。
例えば(自分が企業として大好きな)マツダのデザインを統括してマツダのリブランディングの旗手となった前田さんは顧客調査をあえて重視せずにマツダを一新させました。
しかし、前田さんもマツダを奇をてらって過去のマツダから全くイメージの異なるデザインを展開したわけではありません。
大切にしたのはまず社内での密なコミュニケーション。「マツダとして何を残し、何を変えるべきか」。
このポイントを明確にしたことで、新たな顧客を獲得するだけでなく、既存顧客からも圧倒的な熱量で歓迎されるリブランディングを作り上げました。
顧客がどう見ているかは重要な指標である一方で、顧客は10年後や20年後の企業への責任を負う立場ではないため非常に保守的なことも考慮しなければなりません。
よく言われる例えですが、携帯電話の顧客からアンケートを取るとより良い携帯電話は開発できてもiPhoneは生まれなかった、という話です。
そう考えると、この記事で酷評されるTropicanaの挑戦も自分は悪印象だけではなかったりします。挑戦する心はいつまでも持ち続けたいです。