【海外記事】いまだにニールセンの法則はUX/UIデザインで有効なのか?
今日はこちらの記事を読んでみたいと思います。なお、画像も以下から引用します。
ほとんど画像もなく一気に書かれた記事なのですが、頑張って読み進めてみたいと思います。ところどころ大胆に意訳してみたり、それでも理解できない部分は逆にストレートに直訳してみたり、、読みづらい翻訳かもしれませんがちょっと自分の英語力では飲み込みきれない部分もあった記事でした。
その点をあらかじめご了承いただき、じっくり理解していただくというより、ある程度の文章は読み飛ばしていただきながら読み進めてもらえたら幸いです。
本日もよろしくお願いいたします。
UX/UIデザインにおいてニールセンの法則はいまだに有効なのか?
インターフェースデザインプロセスは、その目的を遂行するための象徴的なツールの集合であります。ニールセンの法則は疑いようもなく、その中でも最もよく知られたものの一つでしょう。
しかし、その用途はプロジェクトの中の必要に応じて適用されるべきものでもあります。この意見の一部は、グラフィカルUIデザインにおけるニールセンとモリッチのの法則の使用の推奨を表明するものになるでしょう。
"ハンマーにとってはあらゆるものが釘である"
ニールセンの法則とは何なのか?
ニールセンの法則はUIにおける基本的なユーザビリティ法則について簡単にチェックをするツールです。これらの法則は1990年にヤコブ・ニールセンとロルフ・モリッチによる「Heuristic Evaluation of User Interfaces」の中において言及されたもので、インターフェースにおける良いユーザビリティについての10個の必須要件を示しています。
システムステータスの見える化:システムはユーザー対して、今何が行われているのかといった情報やプロセスを見える化させる必要がある
システムと現実世界との間をすり合わせる:言語とインタラクションは現実世界を比喩するような、リアルに即したものにさせる必要がある
ユーザーの操作性と自由:ユーザーはシステムを実行するためのアクションを選択することができ、そのアクションによって何が行われるのかを理解するための情報を事前に知ることができる必要がある
一貫性と標準化:コンポーネントは利用規約に則って使用する必要がある
エラーの回避:ユーザーがエラーを回避するための有効なフィードバックが必要である
記憶させるのではなく認識させる:情報はユーザーの決断を促すためにすぐに表示されるべきである
柔軟性と効率的な使用:同じ動作が全く異なる方法で実行されるため、つねにユーザーにとって最も効率的な方法を探し続ける必要がある
美しく、ミニマムなデザイン:デザインはユーザーのタスクを完了させるのを手助けするのに必要なもののみを表示させるように心がける
ユーザーへ正確な情報を提示し、エラーから復旧させる:ユーザーはエラーを解消する方法を提示される必要がある
ヘルプと文書:よくある疑問やユーザーヘルプマニュアルなどを準備する
大抵これらの法則を適用させるためにデザイナーや開発者は各法則から派生した質問集を作ります。そしてプロトタイプ開発の初期段階においてはユーザビリティ評価の時間を短縮し、結果集計を簡潔化させています。
ニールセンの法則はいつ活用されるのか?
一般的には既存のデザインを評価するのに用いられ、現状のインターフェイスを改善させるための基準点を明確化させます。これらはまた、開発に移る前段階でデザインの構想を評価する際にも用いられます。
これらはデザイナーが評価したいと思っているものや、プロジェクトの出発点によって決められます。
はじめに
これらは以下の3つの疑問について考える必要があります。
UX/UIデザイナーはニールセンとモリッチの法則をインターフェイスの評価として用いるべきなのか?
30年もの間アップデートされていない法則が、現代のUXデザインのニーズにマッチしているものとなっているのか?
汎用的なアプローチであるため、これらの法則がインターフェイスの細部に対しても使いやすさを実現できるものとなるのか?
UX/UIデザイナーはニールセンとモリッチの法則をインターフェイスの評価として用いるべきなのか?
この質問に答えることは他の質問に比べて最も簡単です。結論から言えば"YES"となります。しかし、まず最初にプロダクトのデザイン評価の重要性に焦点を当てて考察する必要があります。もともとこの法則は開発者のために提唱されたデザインツールであり、幅広いシステムのユーザビリティ評価点を提示するものでした。
この法則が適用される場面における段階ごとの考察を深めてみましょう。
最初の段階では共感プロセスが組み込まれますが、第二段階ではインターフェイスの検証に用いられます。最初の段階でもし既存のUIのリデザインを行うのならこの法則のみを使うかもしれませんが、この場合においては適用すべきではありません。第二段階において確証バイアスを避ける目的で、1人以上のデザイナーがUI評価にこちらを使用することは必要でしょう。このシナリオの中では、5人デザイナーチームがUIの課題の60%以上を見つけ出すことができました。10人の評価者がいれば、この数字は85%にまで増加するかもしれません。この評価における効率性は、評価者によるこの法則と、タスクの手順への理解度によります。しかしながら、多くのプロジェクトがだいたい30%のUIの不具合しか見つけられない一人の評価者のみによる評価をおこなっています。多くの場合において、評価者はデザイナーでもあるため、潜在的に確証性バイアスが生じる可能性があることにも注意する必要があるのです。
その意味で、この法則を正しく扱えるのかは、評価者のこのツールを扱った経験とユーザビリティのコンセプトによるのだと言えます。私たちはUX/UIデザイナーは理想的には評価対象のUIをデザインした人ではなく、UIの不具合の半分以上を洗い出せる少なくとも5人以上の人間であるべきと考えます。
30年もアップデートされていない法則が現在のUXデザインのニーズにマッチしているのか?
この法則は今日的な私達の意味でのユーザビリティが存在しなかった時代に生まれたものです。UXという存在自体そもそも想定されておらず、グラフィカルUIデザインはソフトウェアに絵を描くものと考えられていました。既存の文献によれば、このツールを使うのは評価対象のインターフェイスデザインに直接的に関わっていないデザイナーが最適であるとされており、分析には最低でも5人の異なる視点を持った人材が必要ということが述べられています。現在ではその逆で、私達は歴史上最も使いやすいUIを手にしており、UX/UIデザインは開発会社の中でほぼ一定の品質を保っています。
さらに、マテリアルデザインやBootstrapのようなデザインシステムが日々強化され、どんどんユーザーのアクセシビリティやユーザビリティが向上しています。そういう意味では、現在のフレームワークやデザインシステム、さらには企業へ準拠が義務化されているW3CウェブアクセシビリティガイドラインやISO/IEC/IEEE 26514:2022 や ISO 9241のようなユーザビリティ規則がある中でこの法則に従うことに再度注力すべきなのかという疑問が生じます。
この法則はこれらのデザインシステムや標準化に対しての補助的なツールとして適用されるようになっています。現在に至るまで、新しいフレームワークや多くの特定のツールによってその役割は入れ替わってしまいました。
これらをデザインプロセスに適用しても、対応するデザインシステムまたは標準のガイドラインでデザインを裏付ける場合とは異なり、デザイナーが自分のデザインの妥当性を主張するのに十分な情報が提供するものとはならなくなりました。2つ目の疑問に対しての答えは”No”ということになりそうですが、これらはこれらが造られた時代と現在との環境の差によるものと言えるでしょう。
汎用的なアプローチであるため、これらの法則がインターフェイスの細部に対しても使いやすさを実現できるものとなるのか?
現在では特定の顧客やプロダクトのための様々な科学的に裏打ちされたガイドラインが提唱されています。そのためニールセンの法則の持つ汎用性は特定のユーザーやUXデザインパターンにおいてはエラーを抽出しきれません。例えば、Salma H. et alは2018年に高齢者向けのUI評価のためのガイドラインを発表しました。その結果、5人の専門家によって行われた実験では79%ものエラーを見つけ出すことができました。同じ実験をニールセンの法則で用いた場合60%のエラー発見に留まりました。
この実験のような特殊な、より多くのケーススタディを内包した実験においては多くの変数を制御する必要があり、単純に一つのツールが他のツールよりも優れているなどということは言い切れません。しかし、これらは人口統計調査やユーザーの原型を、これらの人々が犯す可能性のあるエラーと組み合わせて、各プロジェクトのニーズに合った一連のガイドラインの設計について考えることを促しています。この方法では、現実のユーザーのニーズを元にしたより強固な評価を達成することができます。
まとめ
この投稿の主張はニールセンの法則は30年が経過した今でもなお、多くのソフトウェアの中に反映させる価値のあるものということを考えると、ツールとしての価値は無視することができないということです。これはUIデザイナーがUIに使用するツールについて考えてもらうことを目的としており、これはデザインプロセスにおけるツールの関係性を評価することを意味しています。しばしばこのようなツールはUIの改善に適さない場合もあるため、時間がかかったとしてもそれらの使用はやめて、よりよい結果を生み出す他のツールに切り替えることが良いでしょう。
UXデザイナーはハンマーであるべきではありません。あらゆるものが釘というわけではないからです。
感想:時代が変わっても求められる普遍的法則
今回はデザインを学んだ人の多くが一度は聞いたことがあるであろう超有名なニールセンの法則について、その有用性を問うものでした。
確かにUI/UXデザイン分野はここ10年くらいの間に大きな発展と成熟を迎え、今更30年も前のルールに従う必要があるのか、という疑問は出てきてもおかしくないと思うのですが、記事の冒頭でも書かれている通りニールセンの法則はかなりデザイン的にも抽象度が高く普遍的なことが網羅されているため、その有用性というものは完全には失われないだろう、ということでした。孫子の兵法しかり、いくら昔の人の言葉と言えど時代を超えて指示されているものには何かしら時代を超えるだけの強度がその論理の中に込められており、ニールセンの法則に関してもそういった類のものなのだと考えさせられました。
もちろん、記事でも言及されている通り、ニッチな分野や個人への個別最適化を目指そうとするデザイン設計を必ずしもカバーしきるものではないのですが、今後もデザインを学ぶ人が最初に触れるデザインの鉄則として時代を超えて残り続けるものと思いました。
デザインを続けているとついつい基本を見失いがちになってしまうときもあるのですが、そういったデザイナーたちを立ち戻らせる意味でも、今後もニールセンの言葉は多くの人々に求められ続けるものと考えます。
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