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Nintendo Switch 2発表の裏で発生した国内初のSwitch改造機摘発に商標法違反が適用される件について

Nintendo Switch 2が発表されましたね。

何というタイミングでしょう、その裏で、Switch改造機が国内で初めて摘発されたというニュースを複数のメディアが一斉に報道しました。数が多くて結構びっくりです。

他にもあるかもしれませんけど…

また、この犯行に関して、「違法性を認識している」にもかかわらず、「改造機を販売することで、すごいと思われたかった。どれぐらい反響があるか興味があった」という不思議な動機も注目です。
この手の事件では、金銭目的が大半のようにも思いますが、「フリマアプリを通じて2万8000円で販売し」ということですから、金銭目的という感じでもないかもしれません。Switchを改造するとすごいのでしょうか?承認欲求によるもののようです。

各社報道によると、この改造機は特殊なチップをはんだ付けして製造するもののようで、そのチップ代が高くて割に合わないのではないか?という意見もありました。

それらの真偽についてはさておき、この手の事件は知財関係者にはおなじみになってしまい、新鮮味がないものですが、素朴にいろいろと疑問を持たれる方もいるようです。

報道や、ACCSの報告によれば、直接の罪状は「商標法違反」であり、『改造を施した「Nintendo Switch」本体を、「Nintendo Switch」の登録商標と類似の商標を付したまま販売譲渡』したとのことです。

憶測になってしまいますが。「類似」ということは、「改造 Switch」のように、同一ではないけどまあ類似だよねという範囲の名称を付けて販売していたため、「登録商標と類似の商標を付したまま販売譲渡」となった可能性があります。

しかし、ここで、

といった疑問が生じる方がたくさんいるかと思います。
任天堂は、商標権以外にも、特許権、意匠権などを保持しており、また、不正競争防止法の観点でも改造個体を取り締まれる可能性もあり、ロゴを消していたとしても不法行為をしている状態は変わらないかと思います。

ただ、「警察を動かす」「刑事事件化する」という意味では、現状、商標法違反と、著作権法違反が実務になっているかと思います。

特許権や意匠権も、刑事事件化することは、条文上可能ですが、技術内容について専門的な判断をしなければならないことのハードルがあるために、もっぱら商標法での取り締まりとなっています。

今回は高知県警が摘発したとのことで、これに関して任天堂からの直接的な働きかけがあったかは不明です。したがって、ネットミームで言われるような、「最強法務部が動いた!」というようなことがあったかどうかは定かではありません。商標法違反は、非親告罪ですから、警察は自主的に動くことができるわけです。

それにしても、

といった意見のように、「改造して売ることが何がいけないの?」というものも散見されます。

このあたりは、chatGPTに小学生にもわかるように教えて欲しいと依頼してみました。

Nintendo Switchを改造して販売すると、どうしてダメなの?

1. Nintendoのものだから

   - Nintendoは、Switchを作った会社で、ゲーム機を売るためにたくさんのお金や時間を使っています。  

   - もし他の人が勝手にSwitchを改造して売ると、本来Nintendoがもらうべきお金がもらえなくなります。


2. ルールを破ることになる

   - 日本には「商標法」というルールがあります。これは、Nintendoみたいな会社が作った商品や名前を守るための法律です。  

   - 改造して「NintendoのSwitchです」と言って売ると、この法律を破ることになります。


3. 買った人が困るかもしれない

   - 改造されたSwitchは、正しく動かなかったり、ゲームが遊べなかったりすることがあります。  

   - Nintendoが修理もしてくれないので、買った人が困ってしまいます。


4. みんなで楽しく遊ぶためにルールが大切

   - ゲームはみんなが楽しく遊ぶためのもの。Nintendoもそのために頑張って作っています。  

   - でも、改造して売ると、ゲームを作った人たちの努力が無駄になったり、他の人も困ったりします。

どうすれば良いの?

- ゲーム機やゲームは正規のもの(本物)を買って遊びましょう!  

- もし何か新しいアイデアがあっても、それを作ったり売ったりするときはルールを守ることが大事です。


だ、そうです。

あまり面白くなく、当たり前で教科書的な結論かもしれませんが…


前川知的財産事務所
弁理士 砥綿洋佑