インドネシアでブームが来そうな日本食 6回目 カレー
ついにわたしの中の大本命カレーの順番が来ました。寿司、ラーメンの次はカレーに違いないと昔から思っています。
アメリカにいたときにも、日本式のカレーはほぼすべての民族の味覚に合致しおいしいと言われていました。
ここインドネシアでもジャカルタに「Coco壱番」が1店だけ進出しているほか、ほぼすべての日本食やにカレーのメニューがあります。
もちろん日本のカレーと同じレベルかと言われると、ちょっといまいちな味なんですが、インドカレーではないし、インドネシアのカレー(ロントンカリーなど)とも違う、日本のカレーです。
なぜカレーが広まったのか
もともとカレーを食べる民族だったということがあります。壁がなくスムーズに入ってきたということですね。
さらに、日本のカレーライスは明確な特徴を持っており、Japanese Kare(インドネシアはCをチと読んでしまうためCurryではなくKareを使うことが多い)というメニューで新しさを出せる。
Kariのつづりだとインドネシア料理のカレー(Lontong Kari)になってしまうため、あえてKareにしているお店が多い。
具体的な日本式カレーの特徴は、①小麦ルーの影響でシチューのような濃厚さ、②香辛料をそこまでたくさん使っていないのでマイルド、③ただしょっぱいとか辛いではないうま味がインドカレー、インドネシアカレーとの違いになっています。
クラスメイトに聞くと、お世辞の可能性もありますが、日本のカレーがカレーの中で一番好きな味だと言っていました。日本に旅行にいってCoco壱番のカレーがおいしすぎて何度も食べてしまった、というクラスメイトも複数いました。
さらに、同じく日本食として広まったカツとの相性が非常によく、カツカレーとして出されることが多い。
カツカレーはインドネシア人にとても人気の食事です。
どの程度広まっているか
カレー専門店はカツ専門店に比べるとまだ少ない印象ですが、カツの店には必ずカレーのメニューがあるほか、すべての日本食レストランでカレーのメニューはありますので、かなり普及しているといえます。
丸亀製麺にもカレーがあり、吉野家、大戸屋にもあります。他にSushi-tei、Sushi-Hiroといった現地資本の寿司チェーン、Ramen-Yaをはじめとした現地資本のラーメン屋でも、カレーは必須のメニューになっています。
大抵の場合、カレーライスではなく、「カツカレー」か「唐揚げカレー」なので、ローカルにとってカレーは値段のはる高級な食事というイメージになっているのかもしれません。
家庭でカレーを作る日も近い?
これまで日本式のカレールーは、高級スーパーに行かないと手に入らず、しかも異常に高い食材でした。もっともよく見るカレールーは、SBのゴールデンカレー辛口で、220gの大きな箱で70,000ルピア(700円)以上します。
わたしは横目で見ながら、これは無いなと思い一度も買ったことはありません。東京カレー番長のレシピを参考に、様々な香辛料をそろえて自分で一から作っていました。コスト的にはルーの1/10で済みます。
ところが、最近よく行くBormaというスーパーにハウス食品のカレールーが並ぶようになりました。コブクロに入っていて、日本のカレールーの2かけ分くらいの量です。(日本のルーは4つに割れるルーが2個で計8かけあり、この2かけ分ということ)
1箱8,100ルピアで売られており、ゴールデンカレー換算だと4倍しなければならないので、32,000ルピア(320円)になり、ゴールデンカレーの半額以下になります。これはお買い得です。
日本のカレーと日本語で書いてあり、「KARI JEPANG」(日本カレーの意味)という商品名です。こんな最強の商標取れたのかちょっと分かりませんが、とにかく出たんですよ。感動しました。
しかもHalal認証まで取っています。ハウス食品さん、さすがでございます。
味はPedas(辛口)一択です。
さっそく購入して、作ってみました。一袋で水380ミリリットルですから、やはり、日本のカレールー2かけ分と同じ水の量です。
ルーの見た目、香りは、日本のカレールーと全く同じです。
食べてみた感想は「辛い」。食べられない辛さではなく激辛でもないと思います。ゴールデンカレーの辛口をもう一段階辛くした感じです。
とろみは日本のカレーと同じ。
塩分控えめだと思います。塩気が足りないなと思い、ソースをかけてしまいました。
うま味もちょっと足りない感じがしたのです。
一回目なのでアレンジせずにレシピ通りに作りましたが、次回以降は変えていこうと思います。
ハウス食品のカレールーは以下のPRにある合弁企業で作ったみたいです。22年11月設立で、翌期から小口のルーを販売し日本のカレーを広めたいと書いてあります。23年度中に売り出せているわけですから順調に来てますね。
https://housefoods-group.com/newsrelease/pdf/release_20221108_indonesia.pdf
文章の中に気になる記載がありましたので引用させていただきます。
わたしの感覚よりちょっと数字が高いなと思ったら、調査対象を20代、30代に限定しているからですね。
今後ハウスのカレールーがどれくらい広まっていくか楽しみです。合弁相手にロダマスグループを選んだのは妥当と思いますが、彼らがどれだけ一生懸命拡大してくれるかですね。売り場の取り合いなので、ハウスのカレールーを置くと、彼らの商品の置き場が取られます。それを嫌がらなければいいですけど、ちょっと心配ではありますね。
まずはジャカルタ近郊のジャボデタベック(ジャカルタ、ボゴール、デポック、タンゲラン、ブカシの首都近郊エリア)、バンドンに集中投下してから、スラバヤ、メダンに展開する作戦のような気がします。
ローカル企業もカレールーを出してきた。
こんなことを言っては大変失礼ですが、偽物感のある見た目です。
わたしは海外暮らしや旅をした経験があるので、日本をかたった偽物やおかしな日本の表現にけっこう敏感な方だと思います。
単純におもしろいのと、こう来たかという驚きがやめられないです。
このルーは使っている日本語は大丈夫なのですが、「和食文化国民会議」という団体に所属しているように見せかけているところに怪しさを感じました。
まず和食文化国民会議なるものが存在するか調べたところ、意外にもしっかりした会員ばかり集まった財団法人でした。理事の顔ぶれを見ると、菊乃井、キッコーマン、伊藤園、味の素、マルコメなどそうそうたるメンバーです。
活発に活動しており、実体のある団体です。
このインドネシア企業の名前が会員一覧に見当たらないため、余計なおせっかいとは思いつつ通報しました。「勝手にロゴを商品につかっている可能性がある会社がありますよ」とメールで連絡したのです。
早速お返事をいただき、「把握していない」「使用許可を出していない」「早速企業に連絡を取っているところ」とのことでした。
ちょっと会社に行って様子を見てきてほしいとか依頼がないかな、と期待しているんですが、小ネタなのでないでしょうね。
ローカルの食品企業のなかでもインドフードとかマヨラのような大手がやっていたら、支払い能力もある会社なので追求する価値はありますが、今回の会社は商標の意識に欠けている中小企業だと思いますので、泣き寝入りコースになりそうです。
意図せずして、商標違反を行う悪徳企業の売り上げに貢献してしまったわけですが、買った以上は味を確かめないわけにはいきません。
早速調理してみました。
箱はハウスのカレーより大きくグラム数も多いのに、調理で使う水の量は270mℓとハウスのカレー380mℓより少ないです。
箱を開けて中を見ると、固形のルーではなく、練り物のルーになっていました。よく箱を見ればルーではなく、カレーペーストと書かれています。
これ大丈夫か?と心配になります。
色は普通ですが、日本のカレーのような香りはないです。率直に言えば香りに乏しいです。
味の方もいまいちです。日本のカレーに近いのは認めますが、香りがない分味がタンパクな感じがし、コクに欠けます。
それでいながら、価格は17,500ルピア(175円)もして、ハウスのカレールーの倍以上します。
このカレーは出来上がりの量がハウスのルーより少ないため、ゴールデンカレー換算でいけば4倍では足りず5倍しなければならないです。17,500×5で87,500ルピアになり、ゴールデンカレーを上回ってしまう高価格です。
価格設定が間違えていますね。輸入食品より価格が高いって、いくら小分けになっているといっても誰も買いませんよ。
ぽっかり空いた和食マーケットに安易に開発した商品を素早く投入し、うまくいかなければ撤退という作戦かもしれません。
わたしの予想ですが、カレールーではなくペーストにしたのは、既存の設備が使えるからではないでしょうか。
この商品はおそらく淘汰されるのではないかと予想しています。
バンドンのおいしいカレー屋のご紹介
1軒だけご紹介します。
パスカルモールの中にあります。
ここの味は文句なしの日本のカレーです。ノリを散らしているのが謎ですが、見た目はともかくいわゆるカレーライスの味がします。
そして、ここのチキンカツのクオリティーはとても高いです。ここも評価が高い理由です。
高いせいかすいていて、ちょっと心配です。
内装は航海をイメージしていて、カレーがイギリスから日本に伝達され、インドネシアに伝えられたというストーリーになっています。わたしは好きですね。
日本のカレー専門店でインドネシア展開しているところ
日本の会社で出ているのはCoco壱番とゴーゴーカレーです。
(1) Coco壱番屋ジャカルタ店
2013年に1号店を出してから10年以上たつのに、いまだに1店舗のままなのは少し心配です。撤退していないということは、そこまで状況は悪くないとは思うのですが、試行錯誤にしては時間がかかりすぎています。
パートナーとうまくいっていないのだろうか。
(2) ゴーゴーカレー バンドン店(スマレコンモール)
なぜこんな辺鄙なところに出したんだという、バンドンのはずれに店があります。遠すぎてわたしはまだ行っていません。
2024年1月オープン。
インドネシアでは8店舗目。現在9店舗を展開しています。Coco壱番とは対照的なスピード感です。
バンドンの立地も少し心配ですが、インドネシアの展開がバラバラすぎるのも心配です。タンゲラン、スラバヤ、バリ、ジャカルタ3店、デポック、バンドン、ボゴールに出しており、普通はジャカルタ周辺で固めてセントラルキッチンを用意してというのが王道だと思うのですが、そうなっていません。
ローカルパートナーがついているようですし、店舗でカレーを作れるのであれば大丈夫かもしれません。
丸亀製麺が多店舗展開しやすいのは、各店舗で麺の製造ができるからなんです。
(3) モンスターカレー
シンガポール発の日本式カレーをトリドールがインドネシアで展開するという、謎の動きが出ています。ご存知かとは思いますが念のため、トリドールは丸亀製麺をやっている会社です。
トリドールほどの会社であれば簡単にカレー業態は開発できたと思いますし、ハラル認証も丸亀うどんで経験済みなので、パートナーなしにできたはずなんです。
わざわざシンガポールの会社のフランチャイジーになってインドネシアで展開するというのは、よほどスピードを重視したか、真似できない優れた点を見出したのか、いずれかでしょう。
機を見るに敏な会社です。インドネシア国内で50店展開するらしいので、今後に期待です。主要なモールに丸亀うどんとセットで出していけば簡単に達成できると思います。
このシリーズはしばらくお休みします。レバラン休みに旅行に行く予定にしており、旅行記事をしばらく続ける予定です。
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