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インドネシアMBA:1学期の振り返り 【苦戦したこと&勉強になったこと】

8月21日に最初の授業がはじまり、12月12日の期末テストをもって最初のセメスターが終了します。意外にあっという間でした。
記憶が鮮明なうちに振り返りをしたいと思います。


苦戦したこと

まずは苦戦したことからです。

1.授業で一番大変だったのは統計学

統計学という授業があったわけではないのですが、サプライチェーンの授業で統計学の知識を使って考えなければならない問題がいくつもありました。
クラスメイトがファイナンスの授業でいきなり会計の知識を求められたのと同じ目にわたしもあったということです。

統計学を一から学ぶとしても大変だと思いますが、授業で断片的に使いながら学んでいくスタイルなので、全体像が見えない分、消化不良感がすごかったです。
日本から持ってきた「はじめての統計学 鳥居靖彦著」を休日に少しずつ読み進めながら対応しようとしましたが、まだまだ時間がかかりそうです。

わたしにとって統計学が困難に感じるところは、考え方や数式について腹落ち感がないところです。
例えば、財務会計の世界で出てくる計算は、四則計算(足し算、引き算、掛け算、割り算)の組み合わせですし、式を見れば何をしたいのか、見たいのか意図がだいたいわかります。

ところが統計学は式を見ても何を導き出したいのか、何を表しているのか、わたしには伝わってきません。
悲しいかな数字のセンスがないことを認めるしかありません。
とりあえず式に当てはめて自分で計算することをドリルのように繰り返し、わからないままでも身体に覚えこませていく作戦を取りました。

このやり方により、少なくとも記号が身近になっていく効果はあります。
統計学のやっかいなところは、わけの分からない記号(σ、μ)や単語がたくさん出てくるところなので、少しでも身近な存在にしておきたいところです。

2.複雑に考えすぎることの弊害

MBAは型を覚えさせる場所です。新米のマネージャーとして様々な経営課題にぶつかったときに使える基本的な技(ワザ)を教えます。
経営にかかわるコンセプト、課題を分解して解決策を導き出すフレームワーク、課題の種類と分類方法(語呂合わせのように頭文字を使う)やステップ、手順を学び、来た球を正確に打ち返す練習をします。
練習なのでフレームワークにピッタリ合った素直な球が来ます。

わたしは人と違ったことをし、考えることを強味にこれまで生きてきました。
人に言われたことを言われた通りミスなく期日通りに行うのは正直苦手で、人よりも劣っているため、レッドオーションを避けブルーオーションに漕ぎ出したのです。
自分で考える方が楽しいというのもあります。
なので、本能的に自分のバリューを出すため、応用編、実践編をしようとしてしまうのです。

例えばケースで触れられていない(要は授業のテーマと関係ない)ところに真の問題が隠されているとして、余計なことをしがちです。
みんなが思いつくようなことにバリューはない、ましてや教科書や本に書いてあることをそのまま使うなどナンセンス、という思考回路が身についているせいです。

これはバンドン工科大学のMBAでは、クラスメイトのビジネス経験値がほとんどないことを考えるとあまりよろしくありません。かみ合わなさを感じながらもあまりやりすぎないように我慢しなければなりません。
MBAは実践の学問とはいえ、実践ではほとんど使わないものでも基礎から積み上げていくのです。

ロースクールに留学していたとき、OB交流会のようなものがあり、アメリカ人弁護士と話す機会がありました。
わたしがContract(契約法)の授業が好きだと言ったら、「Consideration(約因)ってあるでしょ、あれ授業で最初にやるやつだけど、自分が関わった訴訟で約因が争点になったことは一度しかない。」と言っていました。
要は、授業と実践は違うということが言いたかったんだと思います。全くその通りと思います。

使わないけど全体を理解していく前提として最初に理解しておいた方がよい理論は絶対にあるので、学問の世界も大事です。基礎あっての応用ですからね。わたしの場合は逆になりましたが。

3.クラスメイトとの年齢差による諸問題

わたしはクラスメイトの親と同じ年齢です。ビジネス経験も豊富です。
インドネシア人は年長者を敬う習慣があるので、年上に対して意見を言うのがはばかられる空気があります。
ただでさえ相手を否定しないとか、自分のポジションを明確にしないという奥ゆかしい性格の民族です。

そうなると議論になったときに、わたしが一方的に相手を説き伏せてしまう率が高くなります。
わたしの経験では実際にはこんなことがあったとか、こういう結果になったとか引き出しがたくさんあるので、授業で習っただけで実践で使ったことがない学生との差はそもそも大きいです。
会社でいえば新入社員にもなっていない段階の学生ですからね。新入社員と議論にならないのと同じことです。

たまに「MakotoはLecturer(講師)みたいだった。」と言われるときがあります。おそらくあまりいい意味では言っていません。わたしは「よくないね。」と答えるようにしています。

講師のように振舞うのは気を付けてやらないようにしているのですが、議論が錯綜してループのようになったときとか、ゴールからどんどん離れて行っていると感じると、ついやってしまいます。
わたしは面倒くさがりなのと、自分の興味のないことにつかう時間は最低限に抑えようとする癖があり、意味のない議論だなと思うと話を強引にまとめて終わりにしたい衝動に駆られるのです。

自分がいることで逆にクラスメイトの成長の妨げになっているんじゃないかと悩み、夜間の社会人コースに変えた方がいいかもと思った時期もありました。
今この時点では、このまま何とかやっていけるのではないかと思っています。

マーケティングの授業の一環でジャティナゴールキャンパスにコンビニか本屋を作るプロジェクトがあったのですが、わたしのワーキンググループが優勝したのが大きかったような気がします。
グループ内でぎくしゃくしたこともありましたが、なんだかんだ言って結果よければすべてよしになります。

先生たちより高齢なので先生のようになってしまいました。

4.ITを使いこなせずストレスがたまる

もともと得意でないのに、インドネシア語ハンデもあり、大変でした。
わたしが定点観測のために周期的に記録している、「インドネシア生活で慣れないことリスト」には常にITで困る話が最上位に出てきます。

授業が始まった直後は、Wifi接続、メールアドレスの登録、学生IDの登録、寮の登録、授業の登録、アサインメントと、とにかくほぼ毎日ITオフィスに出向いてはアクセス方法を教えてもらったり、なぜ動かないのか聞いていました。
IDだけで4種類もあり、メールアドレスは追加で2つも作られ、どのIDで入るのか、メールアドレスは何を使えばよいのか、非常に混乱しました。
たんに電波が弱くWiFiがつながらないだけなのに、何かまずい設定にしたのではないかとか、すべてに疑心暗鬼になります。

WhatsApp(LINEみたいな感じ)で情報のやり取りをすることが多いのですが、使い慣れていないので大変です。
最初はスマホだけでやっていてインドネシア表示を英語表示に切り替えるのも自分ではできず、パソコンやiPadに見様見真似で同期させようと苦労したり、今思い出すだけでもいやな気分になります。

クラスメイトもこいつとろいなとイライラしていると思います。なかなかドキュメントをアップロードできなかったり、ロックをかけたまま共有したりしてますからね。

大学関連のサイトがまた困りもので、4つもあるのです、どの授業はどっちを使うのか、教授はどっちに情報を載せたのか、宿題はどうやって提出するのか、とても混乱しました。

宿題が出ていたとか、締め切りが過ぎていたとか、情報を見逃してしまうリスクがあるのでイライラすると同時にストレスを感じていました。
実際、宿題が出ているのに気づかずに出さなかったこともあります。
最初のミニクイズ(日本でいう小テスト)は、答えの保存をしないといけないと知らず、無回答になってしまったし、大変な目にあいました。

あとはマイクロソフトのオフィスを学生向けの無料で使えるやつを登録しているのですが、保存したファイルがどこにいったか分からなくなるとか、Google document、Google Spreadsheetの機能が使い慣れていなくて時間がかかるとか、あげていくとキリがないです。

デジタルネイティブの若者の基準で動いている世界に、IT音痴の52歳のおじさんが紛れ込んできたわけなので、まあ大変ですね。

勉強になったこと

1.インドネシアのさまざまなことを知ることができた

やはり一番はこの地で暮らして、インドネシア人たちと常に話をすることでわかる様々な知識ですね。
インドネシア人あるある話、ブランドや有名人の話、インドネシアの世代間格差や地域差、もういろいろです。

以前ジャカルタに5年間いたときも、インドネシアについて知識を身に着けることができましたが、ビジネスフォーカスだったなと感じます。
相手も華僑の大金持ちだったり、弁護士や会計士、投資家といったプロフェッショナルなので、たぶん偏った上澄みの世界だったのでしょう。

今の方が、普段の生活や一般的なインドネシア人の考え方を見聞きできるので、幅広い感覚があります。

また、仕事が関係している人付き合いと、クラスメイトとしての人付き合いは基本的に違いますね。日本でも学生時代の友人は損得勘定がないから良いとか言いますから、インドネシアでも同じなんだと思います。

2.趣味の温泉めぐりを通じて様々な場所に行ったこと

もともと旅行好きですから、ジャカルタに駐在していたときもビジネスにプライベートにインドネシアの全国各地に行きました。スマトラ、カリマンタン、スラウェシ、ジャワ島でも地方都市にたくさんいっています。

今回はまだバンドン周辺しか行けていませんが、その分いわゆる観光地ではないところに行っています。またビジネスではないので、スタッフや相手先がしっかり計画を立ててお膳立てしてくれているわけではなく、行き当たりばったりの世界です。

地元の人たちの生活を垣間見たり、彼らとおしゃべりしたりしながら、あくまでも表層的ではありますが、自分の目で報道では出てこないリアルなインドネシアを見ている感覚があります。

まだきれいに整理されておらず、これから経験や情報が蓄積されてグルーピングやそれぞれの比較ができるようになると、なんとなくまとまってくるはずと期待しています。

今から振り返って、ああしておけばと思うこと

なかったです。ここがバリューを出すところだと思ったのですが、すいません。
何もないのもなんなので、細かいことでいくつかあげつらってみます。

1.スマホは日本でSIMフリーのものを買って、アプリを入れてからインドネシアに来るべし。
生活のセットアップでいろいろストレスがたまるので、スマホは慣れたものがあった方が絶対によい。
わたしはノートパソコン、iPadを日本から持ち込みましたが、こういうのも日本で買って使い慣れているのを持ち込む方がよいです。キンドル、電子辞書も日本からですね。

2.引越し荷物は業者にお願いすること。
手運びで済む量であればよいですが、もし荷物を日本からインドネシアに送らなければならないのであれば、お金がかかっても業者にお願いするのがよいです。
生活のセットアップのときのストレスや手間を少しでも減らすべきと思います。
郵便小包は大失敗でした。何事も失敗しないと分からないものです。

3.日本から持ってきた方がよいもの、もってこなくてよいもの
これはNoteで書こうと思っていたのですが、大した内容にならなかったのでやめました。ここに書きます。

持ってきた方よいもの:運動靴。緑茶。趣味のもの。
インドネシアでも手に入りますが、日本の方が安くて質が良い気がします。ABCマートや靴流通センターで買っとけばよかったと何度思ったことか。
結局こっちで靴底がぺらぺらの安い運動靴を買いました。

緑茶も質、種類ともに大きく欠ける。バンドンのせいかもしれないし、わたしの好みが細かすぎるのかもしれません。
趣味のものとしては、わたしの場合は登山やキャンプ道具です。こっちにはよいものはなく、質が悪いのに高いです。これもバンドンだからかもしれません。

日本食については、スペースがあれば持ってきた方がよいと思います。こっちで手に入らないことはないですが基本高いです。

わたしもいろいろ持ち込みました。
豚骨ラーメンを絶対食べたくなるはずだと思いたくさん持ち込んだのですが、むしろ鶏ガラ醤油ラーメンの方が恋しくなり、ラ王の醤油をもっと持ってくるべきだったと思いました。
独り鍋をやるに違いないと思い、各種鍋の素を持ち込みましたが、季節を間違えました。汗だくになるので鍋はしません。
お茶漬けは重宝してます。手軽に日本の風味を味わえるのでいいですね。
あと意外によかったのが、まつたけのお吸い物でした。夜ちょっとだけお腹が空いていて、日本の味が恋しくなる時に気軽に飲めますし、満足度も高いです。

持ってこなくてよいもの:服、文房具
こだわりがある人は別にして、機能すればよいと考えている人は全部こっちで安く手に入ります。
特にバンドンはアウトレット天国なので、何も持たずに来てこっちで楽しく買い物する方がお得だと思います。

4.語学の準備
英語とインドネシア語は使いまくるので、少しでもレベルアップしてからインドネシアに来る方が、発射台を高く設定できるので好ましいです。
英語はもうある程度できている人が多いと思いますので、時間配分でいえば、インドネシア語に振る方が時間対効果は高いと思います。
全く知らないか、少しでも知っているか(例えば単語を100覚えているとか)の差は英語力のわずかな進歩より大きいからです。

現地に来てから学ぶ方が間違いなく効率はいいのですが、日本で2か月くらいこつこつ基礎勉強をやっているのと、一から始める人の差は無茶苦茶大きいです。

Duolingoはタダですし、英語も使いますのでおすすめです。毎日朝起きた時と寝る前に10分ずつでいいと思います。
わたしは渡航前にやっていましたが、もっとやっておけばよかったと思ったくらいです。

以上振り返りでした。

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