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修士論文の審査会(ディフェンス)ってどんな感じ?バンドン工科大学MBA

バンドン工科大学のMBAは最後修士論文を提出し、1時間の発表および質疑応答を経てパスして初めて卒業資格を得られます。

ディフェンスと一般的に言われていて正式名称はよく分かりません。
なぜディフェンスというかというと、論文についていろいろ突っ込まれるのに対し対応しなければいけないからでしょう。

わたしは論文を書くのも初めて、このような審査会に臨むのも初めての経験でしたが、体験を共有させていただきたいと思います。


1.提出から日程の設定

論文を提出したのは2024年12月25日。12月30日に家族と年末年始を過ごすためバンコクに向かっていると、足りない書類があるから出すようにリクエストがありました。

なかでもインドネシア語でAbstract(サマリー)を書くように言われ、最初拒否しました。別にDeeplで翻訳して適当に付ければいいのですが、後進のために面倒ですが交渉しました。
英語で行うMBAという売りで外国人を受け入れているのに、インドネシア語がいるのか?ということです。理屈に合いません。
フォーマットがそうなっているというのは理由になりません。フォーマットが間違えているのであれば修正しないといけません。

しかし、フォーマットへのこだわりは審査員も同様で、最後は面倒になりすべて受け入れました。

また、ジャーナルに出す論文について、指導教官を共同執筆者に入れるのが普通らしく、入れない場合は事前に本人の同意を取り書面にサインをもらわないといけないらしいです。
メールで事前に確認すればいいと思っていたので抜けていました。

バンドンに戻ってから対応すると返答し、1月9日からやり取りを開始しました。
WhatsAppのやり取りでは効率が悪いので、直接画面を見ながら質疑応答しました。画面で同じ書類を見ながら話さないと、不毛なやり取りが多くなってしまいます。

外国人だとインドネシア人学生に比べ情報が入ってこないのでなかなかつらいですね。だいたい1週間から10日ほど遅れを取りました

ディフェンスの時間は通知の3日後に設定されます。あまり準備の時間はないので、日時が決まる前から準備に入る必要があります。

2.当日の発表

発表者の名前、発表時間、指導教官の名前、審査会のチェアマン、参加者の一部の名前がMBAの建物の液晶ディスプレイに表示されます。

入れ替わり表示される

2名まで聴講者を招待できるルールになっていると聞きました。
クラスメイトに聞くとほとんどの学生が一人で臨んでいるとのこと。
誰を呼ぶの?と聞いたら、友人や家族を呼ぶらしいです。
心を落ち着かせるためか、晴れの舞台を見てもらうためか、よく分かりません。

審査会に出てくる先生たちは最大8名
そんなに出てきてどうするんだろうかと思うほどの人数です。
わたしの場合は2名でした。
いつもと違う広い部屋を指定されたので、多分たくさん出てくると思っていました。
拍子抜けでした。

プレゼン時間は15から20分、質疑応答は40分、合計60分
どれだけ厳格に時間をコントロールされているのか分かりません。
人によっては1時間半かかったという話も聞きます。
わたしのクラスメイトでは2名が1時間半かかったと言っていました。

わたしの印象では、プレゼンは形だけです。勝手な思い込みかもしれませんが、みんな真剣に聞いていないと思いました。
なので、わたしは途中で結構はしょり15分かけませんでした。

質疑応答は、プレゼン内容ではなく論文本体に関する事項のみでした。また、わたしの場合フォーマットとあわせる話が中心でした。
論文の中身の質問は簡単に答えられるものばかりでした。意地悪な感じはなく、揚げ足取りみたいなこともありません。

たまたまかもしれません。
でも、他の生徒に聞いても全員が審査員はフレンドリーだったと言ってました。

当日の服装は?
フォーマルな服装で参加する必要があります。
スーツが多いです。
ネクタイをする生徒としない生徒がいます。

女性陣はスカートではなくパンツスーツ姿で、ヒジャブをしています。

男性は黒いスーツしかみないのに、女性は黒や白や様々です。

わたしはスーツで蝶ネクタイにしました。

部屋は小部屋
普通の教室ではなく、ディフェンス専用の部屋があり、そこでやります。
5メートル四方(30㎡)くらいの大きさの部屋です。

わたしはちょっと大きめの部屋でした。

たまたま直前に誰かが食事をしていたみたいで散らかった写真で申し訳ありません。
ここわたしがとても嫌いなところです。食べたら自分で片付けるよう教育しないとダメですね。
せめて入口に集めて重ねて寄せておくとか。

落ちる人はいない
わたしが聞いた限り、これまで落ちたりディフェンスのやり直しをさせられた生徒はいません。
全員が受かるものです。

それでもほとんどの学生がナーバスになっていて、終わった時の開放された表情はとても晴れ晴れしいものがあります。

質疑応答が終わるといったん部屋の外に出ます。
その間に中では審査員たちが相談し、パスさせるか、成績をどうするか決めます。

2分ほど待つと呼ばれ、パスです、おめでとうと言われ、評価を伝えられます。
杓子定規な感じの文言の寸評を最初に言ってもらいます。多分決まり文句なんだろうと思います。

3.発表後は記念撮影

審査会の日には多くのクラスメイトが集まります。
そして花束をもらい看板の前で記念撮影するのが習慣になっています。
グループワークのメンバーとの撮影、クラスメイト全員との撮影、いろいろな生徒たちとの撮影と写真だらけです。

わたしはドーナツ盛り合わせとコーヒーを頂きました。

グループメンバーと

みな首から布をぶら下げます。
特別に用意するもので、わたしは用意しませんでした。

サングラスをつけて撮る

家族を呼ぶ生徒もいました。

多くの学生にとって人生の一大イベントです。終わってから親に電話しながら泣いてしまう生徒もいます。
聞くと、解放感が大きいみたいです。
発表前はとても緊張しています。

これで卒業が確定することを考えれば普通かもしれません。

わたしのクラスではサプライズでプロポーズが行われました。

卒業確定なので、結婚に支障はありません。
おめでとうございます。

4.ディフェンス後の対応

たいていは修正箇所を指示されるため、みな修正作業に入ります。
人によって異なり、2カ所の人から5カ所の人までいました。

1週間以内に修正し、指導教授の確認を得たうえで再提出しなければなりません。

指導教授は当日の審査会に出ていないので、審査会の議論の状況も説明しないとなりません。

わたしはフォーマットに沿っていないところが多かったので、かなり直す場所は多かったと思います。

中身は問題なく、フォーマリティだけです。
わたしがもっとも嫌いな作業ですが、仕方ありません。

意地でその日の内に直してやろうと思いましたが、思いの他疲れていて、途中で集中力が切れました。
翌日の土曜に終えました。

5.今回間に合わなかった学生

年末までに提出できなかった生徒は、2次提出の締め切りに出せば4月卒業を狙えます。できない場合10月卒業になります。

2回目の締め切りは2月末と聞きました。
わたしのクラスは30名の内10名弱が2次提出狙いで、他のクラスと比べ少ないです。優秀なクラスみたいです。
他のクラスは半分近くが遅らせています。

はっきりしたことはわかっていませんが、遅らせると学費の一部を払わないといけないという噂があります。
1セメスターの学費は2500万ルピア(25万円)で、この半分または半分近くじゃないかと言われています。10万円くらいですね。

学費を払わせる根拠は、次のセメスターまで論文の作成サポートを指導教授がするため、形の上では授業をしているに等しいということです。

6.まとめ

今回論文を書いたり書き直しをしてみて、アカデミックの世界は合わないと実感しました。
論文を読んだり書いたりするのは楽しいのですが、フォーマットにとてもうるさく、わたしにはそれがどうでもいい事に感じてしまうのです。
アカデミックの世界はそういう世界で、みなそのやり方に従ってこれまでやってきたのだから仕方ないですね。
理解もできます。

アカデミックの世界は好きですし、これからも論文を読んだり勉強し続けると思いますが、あくまでも余暇としてです。

この世界の住民にはなれません。相手も迷惑だと思います。


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