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わたしがMBAの授業をするとしたら、こんな授業をやってみたい
完全に妄想モードに入ります。
インドネシア人の若者の特性、彼らの知的レベル、やる気、身に着けてほしい知識を考えてみて、こんな感じの授業にしたらいいんじゃないかという案を出してみます。
わたしは日本人ですしビジネスマンですので、時間を守る、規律を守るにこだわるのを特徴にしたいと思っています。
また、暗記型、詰込み型ではなく、答えに至るまでのロジックを大切にして、答えはいくつもあることを前提にした考え方を学ぶ授業をしたいです。
科目はなんでもいいですが、Decision making, Strategyとかですね。
隔日で朝1番にミニクイズを実施する
これは遅刻防止策です。やっている先生がいて、その先生は毎回やってましたが、ちゃんとくる生徒が確実に増えました。
成績評価でミニクイズの配点を高めにし、15%程度にしたいと思います。
点数よりも受けた数で評価をし、半分しか受けなかった生徒は落第点になる50点しかつきません。一度も受けなければ0点です。
15%の配分なので、半分だとしても7%程度の影響です。
毎朝出席を取る
これも遅刻防止です。遅刻をはっきりと記録しておき、3回遅刻したら1回欠席扱いにするルールにします。2回目をしたとき、次の遅刻で1回欠席になると通知しておきます。
バンドン工科大学は出席率が8割を下回ると、原則単位を与えないルールがあり、わたしのクラスではC評価になった生徒がいました。
Cは日本でいう可で落第ではありません。
ビジネスの世界で遅刻が許されないことの説明を最初にしっかりやります。
わたしは君たちに時間を守ることの大切さを学んでほしいのだ、ということです。
プロジェクトをチームで回していくときに、一人参加が遅れると他の人の時間を無駄にすることになります。
また、担当を受け持ち次の工程に回していくときに、遅刻のせいでそのパートがボトルネックになりかねません。次の工程の人たちの時間を無駄にします。
その人が天才的な能力の持ち主であれば、他の部分で遅刻のマイナスを補える可能性はありますが、並みの人間であれば時間厳守の癖をしっかり身に着けないとビジネスの世界では生きていけません。
ランダムに当て、ケースの要約をさせる
次の授業までに読んでおく教科書のページを指定しておき、その範囲に載っているケース、または事前に読むように配布するケースをクラスで説明させます。
これをやると読むようになると思っています。
これはボーナス点で、加点評価になります。つまりすべてが完璧だった生徒は110点とかになるわけです。クイズが足りないとか出席が足りない生徒はここで挽回できます。
ボーナスですから失敗したとしてもマイナスにならないということです。
休みや遅刻で発表のチャンスを失った場合は、残念ながら得点を得られません。
ケースの質疑応答を行う
これは全員参加です。わたしから質問を投げかけて答えてもらいます。
なぜこの問題は起きたのか、対応は正しかったのか、間違えだったのか、本来どうすべきだったのか、なぜこのようなミスをしたのか、など本人が自分が同じ立場だったらどうするかを考える訓練をします。
ケース要約担当にまずは当てて、答えられないとか難しい場合に、他のクラスメイトが助け船を出していく感じです。
わたしがアメリカのロースクールで経験した契約法の授業です。ソクラテスメソッドと言われているやり方です。先生の知識が相当に幅広く多くの引き出しを持っていないとできないのですが、これはやりたいですね。
今この会社はどうなっている?という話もしたいです。
生徒にネットで調べさせて、みんなの前で伝えてもらうやり方です。これも加算点扱いです。
ケースで成功例とされている会社が10年経つと大失敗しているとかよくあるんです。
これはやりすぎると複雑になって混乱するので、毎回はやりません。それだけやる専門の授業ならすごくおもしろいと思いますけどね。
まずはケースを理解し、そこから導き出されるパターンをフレームワークにして理解します。
ゲストスピーカーは失敗談を語れる人
今は成功している人がどうやって成功したか話を聞くのは面白いのですが、わたしは数多くの失敗を重ねて諦めず続けた結果が成功、というパターンの方が圧倒的に多いと実感しています。
なので、学生たちが社会に出て経験するのはチャレンジと失敗の方が多いはずなんです。優秀な人間であればあるほどチャレンジの機会を与えてもらえるし、挑戦するからです。
どういう仮説を元に取り組んだ。どの部分で見込み違いがあり失敗した。本来どうしておけばよかったと考えているのか。どうやって乗り越えたのか。聞きたいのはそういう話です。
ベンチャーキャピタル時代も、成功した話はもちろん面白かったですが、失敗投資の話が一番勉強になりました。
プロ野球の野村監督の名言「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」の通り、失敗には必ず原因、理由があり、パターン化しやすいのです。
もちろん呼ぶのは成功した人なんですけど、失敗した経験をメインに話してもらうようにお願いすると思います。
対談形式にするかもしれません。プレゼンで綺麗にまとめるより、対談の方が面白い話が出てきやすいです。
グループワークはプレゼンにし、全員発表して順位をつける
同じテーマでグループワークを行い、プレゼンしてもらいます。
なるべく条件が似通っているのに答えが異なるようなテーマがいいですね。
なぜそう考えたのか、どういう前提条件にしたのか等の、答えに至るまでのプロセスについて議論したいです。
正解はなく、いかに深く考えられているか、ロジックを構築できているかで順位が決まります。
わたしはこれが正解ですという授業が嫌いなんです。経営においては、まったく実用価値がないとさえ思っています。
テストは持ち帰りOK
そのかわりよくある1週間とかはないです。
24時間以内に提出です。
オープンブックで、インターネットで調べてもよい。
ただし、生徒同士で相談するのは禁止です。回答の文章が類似している場合は減点対象になります。
インドネシア人は助け合いの精神が強いので、すぐに協力してしまうんです。実際の仕事においては素晴らしいと思うのですが、テストは本人の理解度を確認するためのものなので、協力はできないようにします。
以上です。
もう一つ、考えを深掘りしていくプロセスの授業ってないのかな?とも思っています。物事を多面的に見るとか、本質的な部分を探して追求していくやり方とかです。
どうやって考えたらいいのか自体が分からない、という人が意外に多そうな気がしています。
いろいろなやり方があって、その人に合う合わないがあるから難しいのかもしれません。わたしの感覚は読書が近いんです。
読書をしない人にはわたしのやり方を伝えられなかったり、同じようにできないと言われてしまうかもしれないなと思ったりします。
あとは考えることが好きじゃない人もいますからね。どっちでもいいから答えをくれ、その通りやるからというタイプです。
なかなか難しいです。