インドネシア2023 【15年前と変わったこと変わらないこと】
2009年2月にジャカルタを離れ、2023年8月にバンドンに来るまで14年半あいだが開いたわけですが、変わったなと実感することが多いです。
インドネシアに入国し約1か月が経過したところで、変わったこと、そうはいっても変わっていないことをまとめてみました。
昔と変わったこと
■ インドネシア人がお金持ちになったことで変わった
物乞いが減った。
以前は信号で車が止まると小さな子供や年寄が車に近づいてきて窓を拭いたり、空の紙コップを近づけてくることがよくありました。今は道端に座っているくらいで、活発な物乞いはほとんど見ません。歌を歌ったりギターを弾いてお金をもらおうとする人はいます。
怪しい客引きが減った。
昔であれば空港に着いたら白タクの連中が群がって来たり、偽物の時計を売っている人間が近づいて来たりしたものでしたが、全く静かなものでした。
中流階級の出現
一人あたりGDPが4000ドルを超えると消費社会の始まりと言われており、インドネシアは5000ドル近いため、完全に都市部は消費が拡大しています。
ショッピングモールがそこら中にできている。ブランドショップがやたらとある。そして学生もアディダスやらニューバランス、アシックスのくつを履いているし、バッグもスポーツブランドもの。
やたらとコンビニがある。
日本食がそこら中にある。日本食ブーム。日本食スーパー「パパイヤ」がインドネシア人であふれかえっている。
習い事やスポーツジムといった教育や自己啓発マーケットが拡大している。モールの中にヤマハとかスポーツクラブがあり、子供を連れた母親たちが集う様子はまるで日本にいるかのよう。
みんなスマホを持っている。学生はタブレットも持っている。しかも結構iPhone、iPad派がいる。
昔は赤ちゃんはカインゲンドンという抱っこ紐でぶら下げていたのにほとんどいなくなり、代わりにベビーカーを押している庶民がたくさんいる。
ペット屋が増えた。犬を飼っている人も増えているのではないかと思われ、かつ犬のイメージもよくなっている。犬を飼っているクラスメートがいて、女子たちが「かわいいー」と言っていたので、わたしは「これはAnjinだな」と犬=インドネシア語でAnjinという知識をひけらかしました。すると、「Makoto、Anjinというのは悪い意味で使うのは知っているか?」と聞かれました。たぶん友達の犬のことをAnjinと言ってはいけないと言いたかったのだろうと思います。インドネシア人は悪態をつくときに相手に「Anjin!」この犬畜生め、という感じで使い、これ以上のひどい言葉はないくらいの最大の侮辱言葉らしいです。
歯の矯正をしている学生をちらほら見る。これ高いですからね。見た目に金をかけるというのは華僑の金持ちだけだったのが、今や中流層にも浸透しているようです。
インドネシア人の体格がよくなった気がする。
昔はインドネシアは治安が悪いと言っても大したことはない、インドネシア人は痩せこけて小さく弱弱しいから大丈夫だと言われていたものでした。
今の学生を見ると全体的に立派な体格になっています。おそらく栄養豊かになったためと思われます。
■ インドネシアが成熟したことで変わった
停電がなくなった。
昔は電力不足で本当にしょっちゅう停電していました。高級コンドやオフィスビルは自家発電装置を備えていましたので、停電しても最低限冷蔵庫やエレベーターは動くとか、電気はつくので問題ありませんでしたが、店や倉庫の冷蔵庫はそうはいかず、アイスクリームがとけたり、牛乳がくさってヨーグルトのようになる現象が多発していました。
今のところ停電らしきものは1回だけあり、授業中に授業で使うパソコンが落ち、電気が消えましたが、数秒で復帰しました。
モール、ホテル、ビルの手荷物検査がなくなった。
昔はジェマイスラミアというテロ組織があり、都市部で自爆テロをよく起こしていたため、建物に入る前は荷物を開けさせられたり、X線装置を通させられたりしたものですが、今は全くなくなっています。
名前が長くなった?
わたしの記憶では、昔は1ワードか2ワードがほとんどでした。インドネシアには苗字がないのも理由でした。
ところが、授業でクラスメートの名前を見てびっくり。1ワードはおろか2ワードも稀です。3ワード、4ワードが当たり前のようになっています。若い世代のせいなのか、所得が上の家庭のせいなのか、原因はまだ調べていません。
ぼろいバス、車、バイクが減った。
昔は黒煙を吐きながらあえぐように進むバスが大量にいて、高速道路ではしょっちゅう故障したらしい車が煙を吐いて止まっていたものですが、今は本当に見ません。
今ではインドネシアのバスは日本のバスと同等か、観光バスや都市部を結ぶ長距離バスは日本よりも新しくて良いくらいです。
アンコタ(乗合バス)の車は相変わらずぼろいのと、大型トラックにまだ黒煙系が残っているくらいです。
インフラが立派になった。
スカルノハッタ空港は昔は薄暗く怪しい感じだったのに、今やチャンギ空港やスワンナプーム空港に負けないレベルです。高速道路も増えていますし、何より都市に高架道路ができてバイパス代わりになり渋滞緩和に繋げています。
■ 世の中の変化
技術の進歩による変化が見られます
ブルーバード(タクシー)が激減し、代わりにGrabとGojekのバイクタクシーが増えた。
支払いをQRコードでやる若者が圧倒的に増えた。
ネットカフェ(オンラインゲームセンター)を見ない。代わりに普通のカフェやファストフードなどフリーWiFiを提供する場所が増えました。2004年、2005年あたりはネットカフェで3人Skype電話をやると回線が落ちると言われた時代で、そこから急速にインターネット環境が整っていくのを目の当たりにしました。それでも当時はフリーWiFiなど考えられない時代でした。
アイデンティティーの確立
女性のジルバブ=ヒジャブ(耳が見えないように布でほっかむりする)率が高まった。
ビールの小売りライセンスが厳しくなり売っている場所が限られる。
本屋(グラメディア)に大規模なコーラン販売コーナーができている。
挨拶の冒頭の言葉が、変わった。昔はBapak bapak, Ibu ibu, (Ladies and gentlemen)でスタートしていたのに、今はアッサラームアライクンと呼びかけ、そのあとも明らかにアラビア語らしい言葉が続き、それを受けてこちら側もアラビア語でワアライクンサラームと返すようになりました。
日本製品の影響力低下
車でいえば、ヒュンダイ(韓国)、五菱(中国)をけっこう目にします。
食品でいえば日本食に負けないくらい韓国食品が売られています。
韓流の影響もかなりある感じがします(音楽だけでなく、女性のファッションや化粧など)。
スマホは完全に中韓勢がとっていて、家電製品もサムソン、LGが強い感じがします。町中で2回に1回はコリアンか?と言われます。昔は10回に1回くらいでした。
変わらないこと
コンビニが増えたのに、いまだに小さい道端の小店がたくさんある。しかも値段はコンビニよりも高い。寮の裏手の道には100メートルに3軒ほど同じコンセプトの間口2メートルほどの小店があります。わたしの仮説ですが、おそらく究極の怠け者たちが、1メートルでも買い物に行く距離を短くしたいと思っているのではないでしょうか。
さらにご近所付き合いもあるのかもしれませんね。カキリマ(屋台)はそのまま変わらずそこら中にある。学生たちもしょっちゅう屋台で買い食いしている。
道端の青空Bengkel(ベンケル:簡易修理所)はそのまま。車やバイクの空気を入れたり、簡単な故障を直すのにみなが立ち寄っている。
お金が汚い。ボロボロのお札だらけで、財布に入れたくなくなり、こっちでは財布を持たずに裸銭をポケットに入れています。悪貨は良貨を駆逐するの言葉さながらに、ババ抜きのように汚い紙幣を先に使っていきます。
道がぼろぼろ。特に歩道が穴ぼこだらけで、でこぼこのまま放置されている。
信号があるべきところになく、おじさんが勝手に車を誘導している。
昔からありました。なんの権限もないただのおじさんが交通整理をして小銭をもらっています。全員が渡すわけではないし、もらっても10円くらいのはずなので、いっても数百円の収入にしかならないはずです。着ぐるみの偽物感が半端ない。モールや広場、時には路上など、暑い国にも関わらず着ぐるみが出没します。
ディズニー系の着ぐるみや昔だとドラえもんもいたんですが、顔が不気味なんですよ。注意深い子供であればちょっと怪しいやつがいると警戒するくらいです。
うちの子供もドラえもんに近寄らなかったです。
具体的にどんな偽物感かというと、バランスがおかしい(頭が通常より小さい、ようは体形が普通の人間に近い)、目がおかしいとかです。あと薄汚れています。クマのぷーさんやピカチュウなんて労働者感がにじみ出ちゃってますからね。
みなさん意識していない方が多いと思いますが、ドラえもんもミッキーマウスも実はみな寄り目なんです。真ん中かつ若干下の方に黒目が寄っていますので、機会があれば見てみてください。
ところがインドネシアでは、黒目が寄っていないで、極端にいうと真ん中に黒目が位置しているんです。そうすると、なんか瞳孔が開いてイっちゃっている目になるんですよ。トイレ(大)がびしょ濡れ。水でお尻を洗うためでしょうが、びしょ濡れになっていることがいまだに多い印象です。
子供の遊びは相変わらず凧揚げ。あと強風の中バトミントン。日本みたいにゲームをしているインドネシア人の子供は見ません。日本は大人でも通勤電車でゲームをしている人がたくさんいますが、インドネシアでは稀です。寮のインドネシア人大学生が大騒ぎしながらゲームをしていたくらいです。
インドネシア人の笑顔。豊かになってもこれは変わりません。かつて微笑みの国と言われたタイが豊かになるにつれ笑顔を失っていったのと対照的に、インドネシア人はいまだに笑顔です。個人的には一番うれしいところです。