「子どもの思考力を育てる秘訣」No.23
おわりに
算数、そして思考力上達のためのトレーニングは、アスリートの方たちが凄まじい練習というものを通じることによるその成果の中で大記録に向かって突き進む姿とまったく同じテーマです。また、芸術と同じということも書かせていただきました。芸術家は自分の作品を世に問うときに「これでもか」「これでもか」ととことん追求する姿勢を絶対に崩しません。妥協を許さないといいます。
特に芸術とは「作品」という結果を残す必要があります。「これでもか」「これでもか」と徹底的に作品を突き詰めていくのです。そのようなトレーニングが思考力のルーティン化です。ルーティン化するために何度も何度もやり直さなければなりません。やり直すということは一度は失敗だったわけです。でも失敗したのには必ず理由があったはずです。その理由を次に同じ失敗をしないという誓いの下に次の展開に繋げていくことをやり直すこととすれば、思考力をもっともっとレベルアップするには「工夫に基づく練習のルーティン化」が必要十分条件となるというのが私の結論であります。
考える力の源泉は「もっと」「もっと」という飽くなき探究心、すなわち「さらなる面白さ」を求める姿の中にしっかりと根ざしているものでありましょう。
最後に「思考力の錬成」とは何かと考えてみますと、繰り返しの反省点に立った練習、これが同じ失敗を二度としないで次の新しいステージに繋げていくという「知恵」の連鎖に繋がることになると確信するものであります。