【第6回】 アメリカ、イギリスにおけるエリート教育の根源
~その現地訪問によるインタビューを通じて2007~
※私が2007年にアメリカ、イギリスの学校を訪問してまとめたものです。訪問から月日が過ぎてはしまいましたが、希学園の根幹に通ずるものがここにあるので、各種データは当時のまま、文章部分に修正を加えています。
アメリカ編 Cate School
回答者:Benjamin D.William Ⅳ
Cate Schoolは八雲学園(東京都)と姉妹校であり、日本との関わりの深い学校です。今回の訪問では様々な部門の講師・職員からの説明を頂く機会があり、アメリカ西海岸ボーディングスクールの教育理念、システムなどを学ぶ事ができました。
Cate Schoolは全寮制ではありませんが、寮生が全体の8割を占めています。敷地は150エーカー、当時の生徒数は寮生・通学生を含め265名とアメリカ東海岸、イギリスで訪問した学校に比べると小規模な学校でした。
学校の特徴としては、小規模である分、講師は生徒との関わりを深く持てる事、連帯感が育つ事、自立性を高める事に力を注ぐ事ができる等の点を挙げています。また、カリキュラムが多様なため、生徒の目標に合わせて様々なクラスを提供できるのも特徴の一つです。訪問中、週3回行われているという全校集会を見学させて頂く事ができました。
集会の目的は主に学校イベントの告知であるとの事でしたが、講師にとっては全生徒とのコミュニケーションをとる重要な時間とのことです。集会はPrefectである生徒が進行を務め、全生徒が一体となる活気溢れる集会で、校長先生のお話通り、生徒と講師の深い信頼関係、生徒の学校運営に対する積極的な姿勢が見られる集会でした。このような校風の中で、自分の才能を発見し、のびのびと成長していっている様子が生徒の姿からうかがえました。
カリキュラムの最終目標は、生徒に自分で考える力、人生を通して学ぶことの楽しさを教えることです。Cate Schoolでは、生徒の持つ力を最大限に引き出すことに熱心な講師によって最高の講義が提供されているのです。
7つの一般教養科:美術・英語・外国語・歴史・人間発達(human development)・数学・科学、その他、様々なコースが用意されています。どの教科でも、生徒にじっくり考える力、情報を分析する力、口頭でも書面でも自分をしっかり表現できる力、好奇心と創造力をもって物事を観察する力を育てています。
9、10学年では、生徒は同じ必須科目を受講します。これらの科目は、生徒のしっかりした基礎学力を固めるための科目だといえます。11、12学年は各生徒の目標達成のために、様々な科目から選んで受講します。
1クラスの平均生徒数は12名。Cate Schoolでは授業外でも夕食の時間や寮内など講師と1対1で話し合う機会があります。「学習」は、学校の至る所で行われるもの、との考え方がうかがえます。
次回は校長への質問とその回答という形で、引き続きCate Schoolについて紹介します。