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最難関中合格の秘訣 親の役割・塾の役割

(27回)
Ⅴ.最難関中合格の秘訣

[5] 完璧な塾は存在しない!
 近年、塾事情は様変わりしました。以前は、子どもにべったりと張り付き、知育はもちろん、徳育まで含めて家庭や学校でできないことを補完し、子どもの成長に寄り添ったものが塾でした。
 ところがここ二十数年来、特に首都圏を中心に、塾が「お手軽感覚」を打ち出すようになっています。「週3日でいいから来てください」という感覚です。しかし、最難関中学に合格するためには週3日で足りないことを親は重々承知しています。すると何が起きたかというと、二つ、三つと塾をかけ持ちする子どもが増えてきたのです。今日は集団指導塾、明日は個別指導塾、明後日は家庭教師というケースも珍しくありません。塾の側も「この子の不得意なところは個別指導塾で学習しないとダメですね」と言うことさえあると聞きます。
 いくつか塾をかけ持つのが常態化してきた中で、どの塾をどう選ぶかは親の選択に委ねられるようになりました。しかし、それぞれの塾のポリシーやカリキュラムをきちんと把握でき、わが子に一番ふさわしい塾を選べる親がどれだけいるでしょうか。迷いが迷いを生んで、塾から塾へと移り歩くケースも増えています。いま子どもが通っている塾に、たとえ一つでも欠点があると、それを次の塾に求める、もしくは複数の塾で完璧を目指そうとします。
 けれども残念ながら完璧な塾などあり得ません。一つ塾を決め、足りないところがあれば親が補っていく姿勢が大切なのです。地方ではさほど塾の種類がないため、かえって一つの塾に通い、そこのポリシーに沿って子どもが育っていくことが可能ですが、大都市圏では塾がひしめいていますから、「いいとこどり」ができるような錯覚に陥るのです。
 複数の塾に通わせても、それぞれポリシーや考え方が違うのですから、子どもは混乱するだけです。例えば希学園は理事長の私からして「克己心」と書いた鉢巻きを締めて教壇に立っており、「自分の怠け心に打ち克つのが受験である、すなわち受験とは自分との戦いなのだ!」というポリシーを持っています。もし明日、違う塾に行くのなら、当然ポリシーも異なるでしょう。それは子どもにとって苦痛なことなのです。これでは崇高な最難関中合格に繋がる目的を達成する以前に子どもは疲弊してしまいます。そのような塾通いをさせることにより、親も疲弊してしまうのではないでしょうか。

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