僕の好きな先生
【日々はあっちゅーま】
#21,もっちゃり先生
小学校の３年生と４年生の時の先生は、望月先生っていう男の先生で、もっちゃり先生ってみんなで呼んでた。
メガネかけてて、いつも冗談ばかり言ってる面白い先生で、あんまり怒ったりしないから僕は好きだった。
３年生の時に、藍染工場に社会科見学に行った後に作文を書くことになって。
僕はその頃、ズッコケ三人組っていうシリーズの本が好きでいつも読んでたから、ズッコケ三人組みたいな文章の書き方で作文書いたら、もっちゃり先生にすごく褒められた。
みんなの前に立たされて。
「大体、作文書くときは、私は〇〇に行きました。って書きはじめる人が多いんだけど。前田くんの作文は物語の始まりみたいな書き出しで凄く良い。」って褒めてくれて。
何だかすっかり照れてしまったけど嬉しかった。
後、３年生の時は仲良しのまっちゃんと同じクラスだったからいつも遊んでた。
でもまっちゃんはクラスでは乱暴者で。
ある日授業参観の日に、お父さんお母さんがみんな授業を見にきて。
まっちゃんも張り切って「はいはい！」って手をあげたから、もっちゃり先生が「はい、松島くん」って指したんだけれども、答えが間違ってて。「じゃあ別の人」って先生が言ったら。まっちゃん「テメェ！」って大声出して怒ってしまった。
もっちゃり先生も、後ろのお父さんお母さんたちも苦笑いしてた。
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別の日、給食の後の掃除の時間に、クラスの友達の事が気に食わなくて、まっちゃんまた怒ってしまって、胸ぐらをギュって掴んでた時があった。
僕はその時、何とかしなきゃって思ったんだけど、どうやって止めていいのかやり方がわからなかったから、ニャーニャーってわざと猫の真似をしながら、まっちゃんの背中をポリポリ掻いた。
そしたら怒ったまっちゃんは友達じゃなくて僕のことをパンチして、そのまま背中をポカポカやってきた。
掃除の時間だったけど、もっちゃり先生が慌てて止めにやってきて、保健室に連れてかれたら背中が内出血してますねぇ。って言われてしばらく横になって休んでた。
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まっちゃんはその後謝ってくれたし、気にしないで一緒に遊んだりしてたけど。
何日かしてもっちゃり先生は、僕が友達のことを庇ってわざと身代わりになったんだ、って気づいたみたいで、わざわざ僕のお母さんとお父さんがやってる喫茶店にコーヒーを飲みにいって、その事を話して褒めてくれた。
先生が帰った後、お母さんが「もっちゃり先生はいい先生だねぇ」って言ってた。僕もそう思った。
後、クラスメイトに杉浦さんっていう女の子がいて、いつも勉強できる子で、優しくて。クラスの金魚の世話とかも一生懸命やっていて、すごく好きだった。
もっちゃり先生も、「杉浦は秀才だなぁ。」っていつも褒めていて、いいなぁ秀才っていつも思っていた。
後、男の子の方にも秀才がいて、中野くんっていって、サッカーの習い事してるから運動ができて、勉強もできて、将来の夢は何ですか？って聞かれた時に、「僕の夢は国家公務員になる事です。」って言ってて。
その頃の僕の夢は忍者になる事で、漫画の忍たま乱太郎が大好きで、お父さんお母さんにお願いして、忍たま乱太郎ファンクラブに入れてもらったら手帳が届いて、やったぁ！って思ってた時だったから、「国家公務員になりたい」っていう中野くんの答えにはびっくりしてしまった。
杉浦さんと中野くんが２人揃って日直の当番の時は、秀才コンビっていう感じがして羨ましかった。
僕も杉浦さんと日直やりたいなぁっていつも思ってた。
そんな僕の気持ちが分かってたのかどうかは知らないけれども。
終業式の日、もっちゃり先生が一人ずつみんなを呼んで「杉浦さんは勉強頑張ってたな」とか「松島くんは体育５だぞ」って言いながら通信簿を渡している中で。
もっちゃり先生小さな声で「ここだけの話、前田くんは天才だからな、先生楽しみにしてるぞ。」って通信簿を渡してくれて。
僕は面と向かってそんな事言われた事なかったからびっくりしてしまって、慌てて通信簿を受け取って席に戻った。
その後もずっとドキドキしながら家に帰った。
それからしばらくして、もっちゃり先生は別のクラスの担任になって、僕も春野小学校卒業して、大人になったのだけれども。
そんなもっちゃり先生の影響で、僕は今でも自分の事を天才だって（心の半分くらいは）信じれていて。
信じて絵本を描いていて。
だから僕も、あの時もっちゃり先生に言われて嬉しかった事を、子どもたちにはちゃんと伝えようと思って、今日もやっているんだ。
おしまい
【子どもの時代の別のエピソードはこちらから】
【今日も絵本を描いてます】
『まちがえたって大丈夫、まちがえたって構わない』
間違いだらけの絵本作家が描く、クスッと笑えるシュール絵本。
まえだゆうきの絵本を読んで、エッセイを応援しよう！！
ありがとうございます^^
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