1週間キャンプ
日々はあっちゅーま
#28, 1週間キャンプ
高校生の頃の僕は学校が大好きで、休みの日もわざわざ電車に乗って学校に遊びに行くぐらい熱心な生徒だった。
学校では大体いつも、ベランダで音楽聴きながらギターの練習したり。
友達をはめる為の落とし穴掘ったり。
マンホールの蓋を開けて地下を探検したり。
全力でかくれんぼしたり。
(他のクラスの授業にこっそり紛れ込む作戦で優勝。食券ゲットした)
パイ投げして全身クリームまみれになったり。
毎日、日が暮れるまで遊んでいた。
その内、とうとう家に帰るのが面倒くさくなってきて。
ある日、
『もう学校に住めばいいじゃないか』
という結論に辿り着いた。
その頃の僕は、ロッカーの中に寝袋とテントを常備していたから、放課後さっそく友達を集めてこう宣言した。
■ 来週から1週間、僕はずっと学校のそばの河でキャンプをします。
■ 僕の家(テント)に遊びに来たい人はいつでもどうぞ。
■ その代わり家から何か1品、食材を持ってくる事。
そうして夏の間僕は、毎日河から通学する事になったんだ。
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『1週間キャンプ』1日目(月)
放課後、さっそくテントの設営をする。
場所は学校から歩いて10分くらいに流れている名栗川。
友達と一緒にテントを立てて荷物を放り込む。
近くから大きめの石を集めてきて組み合わせ、石垣のようにしてかまども作った。
そうのこうのしている内に友達が集まってきたので、ここでお待ちかねの「本日の食材チェック」
一人一人、持ち寄った食材を発表していく。
『持ち寄った食材の一例』
■ ジップロックに入った米
(これはマジナイス!米がなければ何も始まらない)
■ カレーのルー
(これもナイスプレー!これで今夜はカレーに決まり)
■ おせんべい
(痒い所に手が届くチョイス。食後に食べましょう)
■ レトルトのスパゲティーナポリタンソース
(レトルトで保続が効くところが◎)
そんな感じで、基本的に皆、気が利いた一品を持ってきてくれたけど、
こういう企画をやると、笑いを取りに行くためにわざとネタに走る奴もちらほら出てくる。
■ ホタテの貝柱の缶詰
(いや、美味いよ。美味いけど、どのタイミングで食べるのそれ?)
■ 永谷園のごはんですよ
(いや、確かにご飯は進むけど…ていうか、半分空いてるし。絶対家の台所から取ってきたでしょ!)
■ プレイステーションソフト「仮面ライダー」
(てか河にゲームないし!電気ないし!食材じゃないし!)
そんなこんなで食材チェックも終わり、気を取り直してカレー作りに取り掛かろうと思ったところで、調味料も、油もない事が判明。
野菜も全然足りない。
仕方がないので、学校に一旦戻って、家庭科の先生から調味料をもらう事にする。
ついでに食堂に行って、学食のおばちゃんにキャンプのこと話したら、余った野菜も分けてもらった。
ラッキー!
『今回のキャンプで学んだ事』
準備はなくとも人生何とかなるものである。
さて、食材が揃ったところで火起こしに入る。
中学、高校と、飽きるほど野宿をしていた僕等は、火起こしだけはなぜか手慣れていて。
小さな小枝をピラミッド状に積み上げたところに、読みかけの週刊少年ジャンプで種火を作り、だんだんと大きな木に燃え移らせていく。
大きな木に火が燃え移れば後は一安心。
野菜を切って、カレーの準備に取り掛かる。
燃えたての木は火力が強すぎるので、ちょっと火が収まってから炒め始めるのがコツ。
やっぱり焚き火が始まるとキャンプ感が出てくるね。
焚き火で飯盒(はんごう)で炊いた米も、香ばしくてそれだけで美味しい。
キャンプ1日目の夕食はなかなか豪勢に出来上がった。
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普段、夜の河で泳ぐ機会も無いので、寝る前に河に潜ったら魚たちが寝ていて、手でつついても平気なぐらいだった!
最悪、おかずが無くなったら魚を食えばいいことが判明、
やった〜!
夜中、焚き火を囲んで寝ていたら、河辺でホタルが光り出して結構びっくりした。
夏だな〜。
(1日目のメンバーは7人)
『1週間キャンプ』2日目(火)
朝起きたら目と鼻の先に学校があった。
当たり前といえば当たり前だけど、あまりの快適さに感動。
まだ、誰も登校してこないうちに学校の水道で体を洗って、歯も磨いて、服も洗って、クラスのベランダに干しておく。
授業が終わったらすぐに河へ向かい、木陰でゴロゴロしながら過ごす。
家に帰らなくていいと思うと気が楽だ。
そうのこうのしている内に今日のゲストたちが食材を持って遊びに来た。
『本日の食材』
■ マルちゃんの焼きそばの麺
(こういうチョイスが出来る人、本当尊敬する。今日の献立は焼きそばで決まり!)
■ 玉ねぎ
(焼きそばに入れましょう!)
■ ベーコン
(これも焼きそばに入れようかな?)
■ 焼き鳥
(焼き鳥屋でバイトしている友達のナベちゃんが、廃棄の焼き鳥持ってきてくれた!)
■ グミ
(まぁ、これはおやつに食べましょう)
■ ハーモニカ
(そうそうこれが無いと…って)
誰!?
ハーモニカ持ってきた奴!
すると、友達の元ちゃんがすかさずハーモニカを手に取って、ぷわぁ〜と吹き出した。
おっ、なかなかやるじゃん!
と思って元ちゃんの顔を見ると、ハーモニカ吹く顔がめちゃめちゃ変顔。
一同爆笑。
こういう所できっちり笑いを取りにいける奴って、本当凄いと思った。
あと、友達の変顔で素直に爆笑出来るのって、高校生の特権だよな〜って、エッセイ書いてて今になってしみじみと思った。
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何はともあれ、元ちゃんのハーモニカでテンション上がったので、教室のロッカーからギターを持ってきて、夜はかわるがわるセッションをして遊んだ。
これはこれでキャンプって感じがしていい感じ。
今日もたくさん友達が遊びに来たので、テントの中は荷物でいっぱい。
みんなで段ボール敷いて、焚き火を囲みながら寝た。
(2日目のメンバーは9人)
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『1週間キャンプ』3日目(水)
流石に連日野宿だと疲れがとれない。
寝不足で頭がぼーっとするので、さりげなく保健室のベッドで昼寝をさせてもらって体力を回復させる。
毎日河で泳いでいるのにも飽きてきたので、友達とビニール袋で熱気球を作って遊ぶ。
ビニール袋の下に、オイルを染み込ませたティッシュをくくりつけておいて、火で燃やして飛ばすのだ。
何回かやってみて、ちょっとふわふわした感じがしたけど、あんまり高くは飛ばなかった。
3日目にして食事の準備が面倒くさくなってきたので、ベーコンと、チャーハンの素を鍋に入れて米を炊いたら中々美味かった。
みんなで夜焚き火しながらゴロゴロしていると、担任の先生が食料の差し入れを持ってきてくれた。
袋の中身はアイスとお菓子がたくさん。
先生も泊まってく?
と聞くと、「泊まるはずあるか!」と笑って帰って行った。
今思い返せば、先生は先生で、心配で見回りに来てくれていたんだなぁ。
(3日目のメンバーは4人)
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『1週間キャンプ』4日目(木)
4日目にして野宿疲れの壁を突破する。
逆に体がピンピンしてきた感じ。
昼前に調理室に寄ったら、中学生が実習でソーキそば作ってて、一緒に食べさせてもらう。
(学校は、中高一貫校でした)
ラッキー。
代わりに河に遊びに来てもいいよと宣伝しておく。
今日はナベちゃんとライブを観に行く約束だったので、久しぶりに電車に乗って都内に出かける。
ライブはライブで楽しかったけれど、ずっと河で生活しているせいか都会の喧騒に違和感を感じた。
早く河に帰りたい。
都内まで来たんだから素直に自宅に帰ればいいものを、わざわざ終電で河へと帰る。
河に戻ると、友達が勝手にテントの中で寝ていた。
半分フリースポット化している私のテント。
みんな自由だな〜。
友達起こして、夜中の2時に河で泳いだ。
(4日目のメンバーは3人)
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『1週間キャンプ』5日目(金)
今日はキャンプ最終日なので焼肉をやろう。
という話になった。
昼休みに、募金箱を手に持って、
「焼肉やりたいから募金下さい」と校内を回ったら、
みんな50円とか100円入れてくれて、3000円くらいになった。
放課後、自転車を漕いで肉屋に行き、有り金はたいて肉を買った。
(3キロ買えた)
焼肉やってたら、昨日調理実習をしていた中学生も遊びに来たので、快く肉を分けてあげる。
(流石に中学生なので終電で家に帰した)
焼肉たらふく食べた後は、心残りの無いように、ひたすらに泳いだり、学校のグラウンドで鬼ごっこしたりしてたけど。
夜中の2時頃に、あまりの眠気と疲れでみんな不機嫌になってきたので、諦めて寝る事にした。
(5日目のメンバーは5人)
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『1週間キャンプ』片付け(土)
明け方、雨が顔に当たる感触で起床。
突然の雨に大慌てで飛び起き、片付けを始める。
テントをたたみ、かまどを壊し、ゴミをまとめて、学校のロッカーにキャンプ道具をしまった。
全身ずぶ濡れの疲れと、1週間分の野宿の疲れがドッと出てきて、体がゾンビのように重い。
眠い目を擦りながら、電車に乗って家に帰った。
やっとの思いで家に帰ってきて玄関ドアを開けたら、お母さんがいて
「あら、もう帰ってきたの?あと1週間ぐらい行っててよかったのに」
と冗談で言っていた。
久しぶりにゆっくりお風呂に入り、焚き火の匂いを落として、ベッドに潜りこんで爆睡。
起きたら次の日の夕方だった。
以上、家に帰るのが面倒くさいと思って始めた1週間キャンプだったけど。
終わってみての月並みな感想は。
やっぱり、家の布団は最高。
これに尽きるね!
おしまい
まえだゆうきの絵本を読んで、一緒に、元気モリモリになろう!!
(ついでに前田の事も応援しよう!!)
【あらすじ】
絵本の前のみんな!「じゃんけんどうじょう」は知っているか?
遠く離れた山奥で、今日もじゃんけんを極める為、修行を積む者たちがいる…。
さぁ、勝負の世界に旅立とう!
強者たちを打ち倒し、じゃんけんチャンピョンの座に輝くのは一体誰だ!?
【おまけ:1週間キャンプの時の日記】
次回エッセイもお楽しみに!