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積極財政派は、覚悟をもって裏金議員たちを見捨てないといけない

▼はじめに

自民党のいわゆる裏金議員たちを擁護する人たちがいます。

その理由は様々です。

「わが統一教会の推しの子だから!」とか、「わが高市早苗センセの仲間だから!」とか、いろいろです。

まとめるとこんな感じです。

「裏金議員の多くは保守派議員であるから落としてはいけない」
「貴重な積極財政派だから落としてはいけない」

そこで今回は、↑の理屈が、なぜ間違っているかを説明します。

こうした理由で裏金議員を救ってしまうと、逆に日本の経済政策は皆さんの期待とは逆方向に悪化します。

つまり、積極財政政策が実現する可能性がさらに下がります。

ええ?! どうして?!
自民党内に積極財政派が増えれば、積極財政に近づくはずじゃないか!

と思った方、申し訳ないです。その考えは完全に間違っていますので、ここで説明いたします。


▼ザイム真理教とか財務省派とかいわれる現自民党の経済政策

一部の保守派やれいわ新選組のような小政党の間では、現在の日本の経済政策は財務省にコントロールされていると批判されています。

積極的に政府がカネをだして需要を作らないとダメなのに、プライマリーバランス黒字化なんて言って帳簿のプラマイを合わせることをやろうとして、節約=緊縮財政をやっている、というわけです。

景気が悪いときにはカネを回さないといけない。だけど景気が悪いからそれをする余裕が民間に無い。だから政府がカネを出してまずは経済の大車輪を動かす初動となれ、というのが彼ら「積極財政派」の考え方です。

私もこれには一理あると思っています。すぐにでもやるべきでしょう。

▼裏金議員=積極財政派 という悩ましい現実

しかし積極財政派の議員は少数派です。れいわ新選組のように党内全員がこの政策を理解して推進する政党はほぼなく、自民党も立憲民主党も、党内の少数派として散在するのが現状です。

そして自民党内の場合は、安倍派=裏金議員=積極財政派 という図式がほぼ成り立っている状況です(もちろん全員ではなくおおむね、程度のイメージ)。

なので積極財政派の識者の中には、「裏金問題をことさらとりあげず、政策で判断して投票してくれ」と訴える人も少なくありません。

▼裏金問題に目をつぶって、彼らを選ぶべきなのか

↑に関してですが、実はこれはダメです。そんなことをしても日本が積極財政に転じる可能性は増えません。なので彼らを救っても無駄です。

なぜなのか。

結論からいえば、このような投票行動を皆が行うと、その後に起きるのは「偽装積極財政派が増えるだけ」だからです。

当たり前です。

「裏金作りのような悪いことをしていても、積極財政を唱えていれば当選できる」

このような前例を作れば、自民党の中で、今後も悪いことを平気でするような倫理観のない輩がこぞって「偽装積極財政派」にジョブチェンジして、選挙のたびに「積極財政で日本を復活させよう!」と言い始めることになります。

▼偽装積極財政派は、むしろ積極財政を進めたくない

これも当たり前です。

積極財政政策を本当に始めてしまったら、この「勝利の方程式」が使えなくなるからです。

「もうすぐやるやる」と言い続け、票とカネを引っ張り続けるのは、詐欺師の常とう手段です。

グラビアアイドルが、ひとたび裸になってしまえばもう人気は落ちるだけなので、乳首だけは見せずにチラチラ露出を繰り返すのと同じです。

「もうすぐやってくれるかも!」
「あと一回だけ期待する」
「裏金問題も今回だけは目をつぶる」

やりそうでやらないほうが、彼らにとってお得なのです。

▼安倍派には悪しき前例しかない

私がなぜここまで断言できるかと言えば、安倍派には過去に同じ手口で国民をだました前例があるからです。

それは第二次安倍政権以降、彼らが意図的に「偽装保守」を大増殖させた問題です。

民主党政権が終わり、安倍晋三氏が再登場した時、彼の周りには「ニセ保守」「偽装保守」「ビジネス保守」が大発生しました。

安倍氏が、自分の親衛隊としてそうしたコア層を配置するために積極的に支援、採用したからです。

当時は保守っぽいことを言っていれば本が売れるし、PVは上がるし、SNSのフォロワーも増える。政治家ならば「岩盤保守層」(ようするにネトウヨとカルト保守のこと)票が稼げるし、カネにもなるし、当選できる。

だからインチキ保守が政界、メディア業界、ウェブに溢れました。

しかしそうした輩の多くが「保守のふりをした統一教会」「保守のふりをしたレイシスト」「保守のふりをしたビジネス詐欺師」だったことは、いまや多くの人に納得してもらえることと思います。

私はチャンネル桜という保守系の番組でキャスターを務める中で、こうした「偽保守」にまわりのまともな人たちが騙されていくのを、悔しい思いで見てきました。

どんなにこういう(典型的な詐欺師、プロパガンダの)ロジックだと主張しても、あいつらはインチキだと主張しても、当時はだれも聞いてくれませんでした。ひとえに私の力不足です。

そして日本はどんどんダメになっていきました。私は情けない思いと無力感にさいなまれました。

▼だけど裏金議員にも本当の積極財政派だっているはずだよ

確かにそうでしょう。しかしそれでも、裏金問題に関わった議員は全員落選でいいのです。

「悪いことをしたら責任を取る」

この当たり前のルールに例外を設けたら、必ずその業界は「偽装」「エセ」「盛って話す」風潮になり、倫理は崩壊します。政治界がそうなったら(実際安倍政権時代にそうなりました)、中長期的には私たち国民にとっていいことはありません。

▼そもそも役に立っていない自民党内の積極財政派

ここからは誰も言わない言いたくない事ですが、そもそも自民党にいくら積極財政派が増えても、ほとんど意味なんてないのです。

彼らは過去10年以上も党内で「良識ある積極財政派」としてふるまってきましたが、現実を見てください。

自民党は結局、そんな政策はカケラも採用しなかったし、財務省のいいなりだったし、日本経済は悪化の一途です。

▼党内の異論がつゆほども影響を与えられない自民党というシステム

その理由は、現在の自民党が麻生太郎のように財務省に命運を握られた重鎮に支配されたシステムになっているからです。麻生派はいぜん多数派であり、彼らとガチンコで戦う根性のある人はいません。

岸田文雄だけはいつか寝首をかいてやろうと考えているとは思いますが、彼のホンネが積極財政かどうかはまだわかりません。今は財務省のかわいいワンチャンに見えますが、ただの芝居かもしれませんし、そうじゃないかもしれません。

▼自民党内で50人増えても影響力はほとんどゼロ

自民党は、おそらく今回の衆院選で200人くらいに議席を減らすと思いますが、そこに50人の積極財政派がいたとしても(そんなに増えることはないと思いますが)、母数が大きい政党なのでこのように、ほとんど党の方針に影響を与えることが出来ないのです。

まして重鎮が財務省とべったりの人たちなのですからなおさらです。

そして何より、安倍派には「偽装保守派」「偽装積極財政派」が多い。そういう過去の実例があるので、期待するだけ無駄だと私は思っています。

▼むしろ増えるべきは野党側の積極財政派

一方で、野党に50人の積極財政派のグループができたら、これは相当なインパクトになります。

自民党の党内に50人の積極財政派がいても何も変わりませんが、たとえばれいわ新選組のような武闘集団が50人になったら、これは激震といっていいほどの変化を招く可能性が高いです(←これはれいわを支持しろという意味ではなく、あくまでわかりやすいたとえ話として出しています、彼らが一番ラジカルで、皆さんも想像しやすいと思うので)。

そもそも与党内の積極財政派にはろくな発信力がありません。そりゃそうです、党の方針に表立って反発できる立場にないし、いざ国会に行けば党議拘束で「緊縮財政」に賛成するしかないのですから。もともと説得力も迫力もないのです。

しかし、50人規模の積極財政政党が野党の武闘集団として暴れまわれば、発信力と影響力が違ってきます。メディアも取り上げざるを得ず、一般の有権者にも「そういう経済政策の選択肢があるんだあ」と周知されることになるでしょう。

その先もまだまだ長い道のりですが、まずは人々に周知させないと始まりません。消費税廃止もインボイス廃止も、なぜそれが今の日本に必要なのか、いきなり議論を始めても多くの人には理解が難しいでしょうから、周知から始めるこのプロセスはやむを得ない選択です。

▼おわりに

私は、自民党内に積極財政派を増やしても無駄だと結論付けています。この10年、実際に無駄でしたし、彼らは結果を出せませんでした。投票とは、未来ではなく過去の結果をみてするものですので、その意味では彼らに投票する意欲は相当下がってしかるべきです。

まして彼らの多くは今回、裏金問題という許すことのできない悪事を働いていたことがバレました。とんでもない裏切り行為です。

彼らは最低でも5年、おそらくもっと以前から、この悪事を続けてきたことがほぼ明らかです。

代議士本人も「これは悪いことだ」とわかってやっていたのは間違いありません。安倍派における裏金問題は、一度の間違いや、単なる記載忘れ(不記載)ではないのです。確信的、組織的、継続的な悪事なのです。

こういうことをする人間は信用できません。また、繰り返しますが、彼らは結果も出していません。

信用もできず、結果も出せない人間に、権力を与える必要性を感じません。

よって、「遠慮なく、心配なく、自民党の裏金議員は落としていい」というのが最終的な結論となります。

積極財政派の裏金議員のみなさん、永遠にさようなら。
あとは私たちにお任せください。

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