ちびまる子ちゃんにおけるプレゼン考
さて、今回は前回のサザエさん同様にお茶の間のアイドル「ちびまる子ちゃん」でプレゼンテーションをとらえてみたいと思います。
「ちびまる子ちゃん」も1990年からスタートして、平成アニメ長寿番組として存在しています。
サザエさんもいいけど、ちびまる子ちゃんの方が身近だな〜というニューエイジたちからの熱いリクエストをいただき、今回はちびまる子ちゃんをベースにプレゼン分析を行なってみたいと思います。
(今回も私の独断と偏見でバッサリ分析させていただいておりますので、関係者各位の皆様、ご容赦くださいませ。)
圧倒的な敗者が存在するさくら家
まる子のいるさくら家のプレゼン対戦表を早速見てみる事にしますが、圧倒的敗者がお見えになります。
皆様、ピーンときているかと思いますが、そうです。
孤高の俳諧師。おじいちゃんこと「さくら友蔵さん」です。
まずは、主人公のまる子から見てみますが、彼女が唯一全てを説き伏せることができる存在が友蔵です。それ以外は基本的に勝てる要素が全くございません。前回のサザエさん編で確認した「タラちゃん現象」が通用する術もなく、「ねぇ〜、お母さん〜。」と猫撫で声を出しても小学3年生に対して家族はそれほど甘くはありません。(チェ〜。いけず〜。)
姉は6年生ですから中学進学を目前にして大人の風格を現し、ひろしに対しても高圧的です。「私は大丈夫。」のスタンスだけですと自分の権限内でのアクションにとどまってしまいがち。もう一歩積極性も欲しいところです。
一方ひろしは「うっせ〜な〜」と酒とおならにまみれた昭和的だらしなさを全開にしつつ、「めし・風呂・寝る」をこなす理想とはかけ離れた在宅っぷり。誰からも承認が得られない勝手プレゼンの王道を行きます。
お母さんは絶えずみんなを叱りつけていますが専業主婦とはそういうものでして、しっかりとマネジメントするためには叱るのが手っ取り早く、したがって家族もその叱責に対して反抗するよりも従う方が体力も消耗しないため無駄な抵抗をしないという図式になります。したがって日々場数を踏んでいますから必然的にお母さんは一見表面的にはプレゼン力が強力であるように感じるわけです。
おばあちゃんは絶えずニコニコしながらも、キラリと光る眼鏡越しの視線に時折鋭い考察からのコメントを繰り広げます。普段から優しくて口数が少ない人が放つ一言は重みが違います。会社でもこういう「一言キラーフレーズ」を吐く方が一人はいるものですが、言葉が少ないため周りが色々と類推し、さも良いことを言ったかのような雰囲気になることもしばしば。(実は本人が思っていたことと違っているのに勝手に良いように解釈されるパターンも多かったりします。これをラッキーフレーズと言います。※当方の造語です。)
そして、さくら家最弱、みんなの心の友であるおじいちゃんこと友蔵ですが、予想を裏切らず見事に全敗を喫してしまいました。人間、歳を重ねると丸くなってきます。これまでの人生で色々あったことかと思いますが、孫が生まれ角もとれ、あえてこの全敗人生を、何度まる子に騙されようとも、はめられようとも、道化的なポジションを楽しんでいることが余生を過ごす潤滑油のような生きがいとなっています。そんな彼からは、
人生は勝ち負けじゃない。
いかに楽しむかどうかだ。
と言わんばかりの勇気をいただきます。まさに受け身のプレゼンテーション術。
ですが、実は友蔵も途中まではとても素晴らしいアプローチをされています。負けているようで実はいいところまで行っているのです。実に惜しい。
友蔵のいい所
ここでいう友蔵のいい所とは、前回のサザエさんでもあった「タラちゃん現象」と同じ「質問力の高さ」です。
年次が上がっていくと経験と反比例して新しい物や事柄に対する学習意欲が低下していく(というよりも情報が入って来なくなる)現象がおきます。
「AIってよくわかんないんだよね。」
「zoomってなに?」
と、IT業界ではごく当たり前のようなことであってもご年配の方にはテクノロジーアレルギーがある方もお見えになるはず。
そんな御仁もタラちゃんのごとく「それってどういうものなんですか?」と素直に聞ける方と「そんなことはよくわかんないけど、とにかく。。。」といって無理やり自分の過去の経験や知識に当てはめて整理する人、拒絶する人に分かれてくるわけです。
友蔵は素直にまる子に訊ねます。
「まる子や、これはどういうことかの?」
ここまでは良いのです。
残念ながら、聞く相手が悪い。
まる子に聞くがために、絶えず間違った答えを告げられたり、騙されたりしてしまい、見当違いの方向に導かれ、失墜していきます。
素直に聞く姿勢を持つところまでは良いのですが、誰に聞くかが大切なわけですね。
ということで、分析の結果さくら家では、
表向き勝ち組:お母さん
負け組:友蔵、ひろし、まる子
となりました。表向き勝ち組とは、実質的にはみんなが合意していますが心から賛同して歩みを進めているわけではないという所です。
いずれにせよ、家長が負け組にいることで一家全員で大きな失敗に遭遇するシチュエーションがよくあります。ひろしの思いつきで出かけてみたものの、
行ってみたら動物園が休園日だった
なんてよくある光景の一つ。さくら家全員で顔に縦筋が入り、全員が白目になって立ち尽くすシーンの多いこと。。。
それでも気を取り直して翌週には全員が立ち直って何事もなく日常を楽しんでいます。素敵な家族ですね。
ということで、さくら家から学べるプレゼンテーションのポイントは
・失敗しても人生が失敗したわけではない。
むしろ失敗するから人生に失敗せずにすむのだ
(プレゼンに失敗はつきもの。失敗するからこそ良いプレゼンができるようになる。)
・やっぱり質問力は重要
・けれども質問する相手を選ぶ必要がある
と導き出してみました。
とはいえ、「ちびまる子ちゃん」はさくら家だけで回っている番組ではなく、それ以上に多くのキャラクターが登場します。
次回はそのキャラクターたちとの相関も考察してみたいと思います。
後半へ続く♪