「withコロナ」時代の子育て
学校や塾を頼りにしない
2021年1月、再び首都圏で緊急事態宣言が発令されます。今回、学校が完全に休校にはならないようですが、その一方で、子供が今まで通り登校しても感染症対策として問題ないなのか、それで本当に緊急事態として意味をなしているのか、この点に疑問を抱く意見もあります。
そう思うと、今後、部分的かもしれませんが、子供たちには自宅待機を求められることもあるかもしれません。そうすれば、以前同様、PCやタブレットを使って子供たちが自宅で学べるように学校側が計画をたてることでしょう。
タブレットが各家庭にひとつ支給されている地域もすでにあるようですから、デジタル機器がなくて、教育機会が得られないという問題はクリアされるのかもしれません。とはいっても、デジタル機器支給されている地域も半数を超えておらず、まだまだ予算の点でも課題が残ります。
ですが、それ以上に問題なのは、デジタル機器をどのように活用すれば、子供の能力を伸ばすことができるのかということについて、教育機関があまりにも考えがないことだと僕は思います。
僕たちは知っておく必要があります。
結局のところ、学校や塾はあまり頼りにならないということを。
昨年の小学校の休校中、学校から課題が出されたところがありました。漢字一〇回練習、計算プリント、夏休みの宿題のようでしたが、明らかにそれらのほとんどが学習指導要領のカリキュラムを消化するための課題でした。あるいは、まったく課題が出ないで、指導を家庭に任せる学校もありました。
また、この期間にオンライン配信授業をおこなう塾がありました。リアルタイムで子供から反応が返ってくるから、この形式を採用していたようです。ただ、授業料金は変わりません。しかも、問題演習中はお互い黙ったまま。オンラインでつながってはいますが、これならひとりでもできるのでは? とも感じます。
こんな「『ひとりでもできる』オンライン授業なら、この授業動画を一人ひとりの生徒にバラ売りしたほうがいいのではないか?」と僕は思いました。
そのうえで動画を観たあと、生徒各自に塾側があらかじめ用意した問題演習をしてもらいます。
生徒が問題演習をすべて滞ることなく終えることはあり得ないので、演習後、できなかった問題についてオンラインで講師に質問をします。そうすれば生徒は自分が何が原因でつまずいているのかがしっかり理解できますし、ピンポイントで講師の指導を受けられるので、非常に効率的です。
「新型の伝染病の蔓延」という緊急事態だったとはいえ、子供たちのことを主にして考えれば、ほかに良い方法があったはずです。もっと子供の能力を伸ばす提案があってもよかったのではないでしょうか。
自宅学習を充実させる
残念ですが、多くの教育機関は、子供の能力を伸ばすことより、自分たち組織の利益を優先しているのだと僕は思います。
もちろんそれは当たり前といえば当たり前です。企業なら収益がなければ、成り立ちません。僕が提案したようなやり方はコストがかかって仕方がありません。
また、学校も学習指導要領を守らなければなりません。個人の判断で授業をおこなうのも難しいのです。
彼らは運営していくためにそうせざるをえなかったのです。どれだけ学校や塾を頼りにしようが、最終的にはみなさん自身で子供を守らざるをえないのです。
たしかに、国でも、学校のデジタル環境を整え、オンライン学習を積極的に導入していこうという動きがあります。これによって、どんな状況にも柔軟に対応しながら、子供たちが教育を受けられるようになるかもしれません。(*中央公論の記事『コロナを機に問う学校の「当たり前」』に詳しい(2020年9月))
しかし、この新たな提案は国から地方議会、教育委員会、学校と議論がすすめられるうちに、結局答えが出るまでにかなりの時間がかかることになります。これでは、実際教育機関でオンライン学習が広まるころに、いま現場で困っている子供たちが大人になってしまっているでしょう。
せっかく設備が整っている時代に、いまの子供たちはその恩恵を受けないまま育ってしまう。そんなことでいいのでしょうか。
やはり子供たちの教育環境は、各家庭で整えるしかありません。
そんなこといったって、専門家に頼らないで、自宅学習だけで受験勉強できるのだろうか? きっとそう思われるかもしれません。
しかし、いまはスマホやパソコンなどデジタル機器もすばらしい教材として活躍してくれます。
僕が家庭教師をしている中三の受験生は、昨年の休校期間中、オンラインで受験計画だけ一緒に考えて、あとは自力で学習していました。
その結果、学校にも塾にも家庭教師にも習わずに、数学一年分の予習をすませることに成功しました。
うまくいけば、自宅学習だけでも効率的に勉強することが可能です。
それに、コロナ禍がこの先どうなるかもわからないし、自然災害だって起こるかもしれません。
どんなアクシデントや災害が起こっても、自宅で子供が学べるように、家庭内の学習環境をもっと整えるべきだと思うのです。
僕が書いた『子供がぐんぐん伸びる「オンライン学習」活用術』では、そうした教育における現状を各家庭が打開できる方法論をまとめました。
もしよかったら手にとっていだけると幸いです。