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DUNGEON HIKER 大型改変 で小型キャラクターが大暴れの予感


はじめに


これは簡単だけど奥深いミニチュアゲームを目指して制作中の『DUNGEON HIKER』 の記事です。
過去のエントリーをまとめたマガジンはこちら


DUNGEON HIKER はハイキングの様に子供でも手軽に遊べるミニチュアゲームとなる事を目指して作成しています。今回の記事は大型改変した 0.8.6.2版 を2024年9月11日にリリースしたので振り返りを兼ねてリリース告知を兼ねた振り返りです。

DUNGEON HIKER のルールブックはこのエントリーと itch で配信されています。

DUNGEON HIKER 0.8.6.2版

・日本語版フルバージョン

・日本語版折り本バージョン

・英語版(itch のページ)


折り本の作り方はこちらがおススメ


さあ、はじめましょう。

DUNGEON HIKER の目指す特長は下記の通り
・ダイスプレイスメントで行為の成否判定でなくて何をするのか動作を決めるゲームメカニクス
・物語りが生まれるシナリオメカニクス
・ダンジョン折り紙を使ったミニチュアゲーム

これらを用いて手軽で楽しいゲームの完成を目指しています。

これまで8ページの簡易版のみを配信していましたが今回からフルバージョンの配布も開始しました。これでキャラクターメイクをして遊ぶ事が出来る様になりました。

変えてみた


0.8.2版での反省点は下記の通り。
・アクションダイスとスキルダイスの効果の組み合わせが難しい
・「こども向け」(5歳児以上(親子でのプレイ))にはもっと割り切ってシンプルにしないと難しい
・「シナリオ」の進行をユーザーが選べる仕組みは複雑で楽しみ難い
・キャラクターメイクなど愛着が湧く仕組みが欲しい

これらはJ☆Pコンベンションや海外の方からのテストプレイのフィードバックのおかげです。感謝申し上げます。


今回の大型アップデートで変えた点は下記の通り
・アクションダイスとスキルダイスの組み合わせは止めてシンプルにしました。
・「こども向け」は「大人向け」を完成させてから考える事にしました。
・「シナリオ」は横に広げないで階層をクリアして行くタイプに切り替えました。
・キャラクターメイク要素を追加
・みそ汁ブシャー(ひじき)様からペーパーミニチュアの利用の承諾を得てフルセット版ルールに入れてミニチュアを持っていなくても直ぐに遊べる様にしました。みそ汁ブシャー(ひじき)様のご協力に感謝します。


変更は先ずはゲームメカニクスのダイスプレイスメントの見直しから始めました。

ダイスプレイスメントの改善

変更前:
 ・アクションダイスは移動だけ、攻撃だけとダイス目で出来る事が限定されて、移動出来ないストレスがあった。
 ・スキルダイスはアクションダイスの行動に効果を上乗せするタイプが複雑かつアクションダイスの結果次第では使えない事がストレスになっていた。


変更後:
・アクションダイスはシンプルな行動のみ、必ず移動出来る様にしてプレイするテンポを上げる事が出来ました。
・スキルダイスは派手な演出としてアクションダイスとの組合せ不要で使える様にした、ただし必要とする達成値を設定して「選べる」要素を残しました。

変更の効果と課題

・スピードアップでテンポは上がったがダンジョン折り紙1枚では盤面が狭くなってしまった。

・スキルが生み出す大ダメージでよりデッドリーになった反面、救済策に手軽さが求めらる事になった。

シナリオメカニクスによる解決


ゲームメカニクスの課題が判った所でゲームメカニクスを改変するのではなくシナリオメカニクスで解決する事を目指しました。


盤面が狭くなる課題

・イベントで使うダンジョン折り紙の枚数を2枚に増やして解決する
 ・無駄に時間を掛けたくない弱い相手は1枚のままとしてすぐにイベントが終わる様に配慮

デッドリー過ぎる課題

・これは後述するシナリオのイベント種別に交渉と護衛、支援を加えて物語りが生まれる工夫する予定だったので、単純に救済策(復活のお守り)を報酬として出してライフが0になっても心配が減る様に配慮しました。これにより「復活のお守り」を提供する唯一の手段だった魔法の重要性も軽減されました。(復活のお守りはライフが0になると希望すればライフをMAXまで回復してくれるキャラクター間共有の便利アイテム)
・緊張感を高めるために一番強い相手の強さを増して報酬で余裕がある状態にならないイベントを用意しました。実はここが一番難しくて、ゲームとして簡単になり過ぎないが「工夫次第でクリア出来る」余地を残す配慮は大変でした。今も実はバランスが取れていないかもしれません。

報酬として復活のお守りを設定

これでゲームメカニクスの課題を解決する方針が決まりました。

シナリオメカニクスの作成


次にゲームメカニクスの課題を解決する前提でシナリオメカニクスを再検討開始です。

先ずはシナリオメカニクスを再検討するにあたり最初に捨てた案を材料に再考する事にしました。

最初は「一本道のダンジョンハックはプレイヤーに選択が少なく面白みが少ないのでは?物語が生まれないのでは?」とあえて他のシナリオメカニクスを考案しましたが、テストプレイのフィードバックでミニチュアゲームに遊び慣れていない家族からプレイヤーはよくある一本道のダンジョンハックの方がイベントクリアに集中出来て達成感も感じ易いと意見を貰い取り入れました。

この意見は対象者を最後は子供達にしたい狙いにも参考になり、ゲームメカニクスが独特なのでシナリオメカニクスはシンプルな方が良いと切り替えました。

シナリオを構成するイベント

次に「語りたくなる物語り」が生まれる仕組みです。ChatGPT  Plus で作成した 「DUNGEON HIKER スペシャリスト GPT」からも「罠」と「交渉」が足りないと指摘を受けていたのでこれを「物語り」が生まれる要因に利用する事にしました。DUNGEON HIKER スペシャリスト GPT のコメントはミニチュアゲームというよりもTRPGのルールをベースにコメントしていると予想して整理を進めます。

「戦闘」「交渉」「罠」… 後TRPGでありがちなシナリオはと考えて「休息」「支援」「護衛」を加える事にしました。交渉、支援、護衛の報酬を復活のお守りとして課題を解決、交渉では「復活のお守り」を提供すると交渉が有利になるとして「交渉」に取り引き要素を加える事が出来ました(交渉に失敗すると大切なアイテムを失うジレンマ)。

発生するイベントの種類と出てくる相手の強さをそれぞれ2d6 の値で発生率をコントロールする事で貴重なイベントに一喜一憂出来る様にしてプレイヤーが「物語り」を意識出来る様になりました(と期待したい…)。

ここで8ページに収める誌面の関係で「支援」を減らす事になりました。「支援」はNPCの仲間キャラクターを手伝うイベントで強いキャラクターを増やして攻略が楽になるラッキーイベントの予定だったのでもう一つの弱いキャラクターが増えるクリアが厳しい「護衛」で仲間を増やすサンプルイベントとしては良しとして減らしても問題がないと考えました。

大人向けの完成度の向上

さて、次はコレクション性を高められる様に装備などを活かすため、個性を出して楽しめるキャラクターメイクに着手です。

最初は固定のキャラクターに装備を選んで更に強くするキャラクターメイクでした。今回の大型改変を踏まえてキャラクターメイクも変える事にしました。

身体の大きさでコントロール


プレイヤーが選べるタイプは身体の大きさで選んで「種族」はお好みで決めてもらう形にしました。
これにより思い入れのある使いたいミニチュアを使い易く出来たと思います。

身体の大きさで変化する項目
・ライフと身体的なアーマー値の違い
・装備出来る数の違い
・モーションダイスの数の違い
を設定して、キャラクターの個性を出しやすくしました。もちろん魔法剣士も作れます。

装備とスキルについて


スキルは3つだけ選んでキャラクターに設定可能としました。スキルは装備した装備品が提供するスキルから選びます。

装備から3種類のスキルを選べる様にして、装備すると必ず1つはスキルを設定する必要がある様にしました。アーマー値を持つ装備はアーマー値だけを使う事が出来ません、必ずその装備からスキルを1つ選んで設定する選ぶ楽しさを入れる事にしました。

サンプルキャラクターを用意して直ぐにプレイ可能にしているので、自作する時の参考にもなると思います。

調子に乗ってどんどんバランスをとりながら装備の設定を整えていきます。この時に思ったのはキャラクターシートを作って一覧性を高めていたのが功を奏していました。

魔法の調整から小型キャラクター爆誕


当初はマイナスの効果を与える装備は有りませんでしたが大型キャラクターが「魔法」を使うと強くなり過ぎる可能性があり、バランスをとるため魔法書(グリモア)を装備するとアーマー値がライフ-2になるとして魔法使いが相手から最優先の標的になる材料を増やしました。
このために人サイズの基本のライフを3から5に増やして魔法を使わないキャラクターの生存率が上がっただけでなく、ライフ3を小型サイズに使うアイデアにも繋がる恩恵がありました。これでハーフリングぅ〜キャラクター達も大活躍出来そうで良かったです。

小型サイズはライフ減らす代わりにアクションダイスを増やしました



0.8.2版では魔法使いだけが「復活のお守り」を作れるため最優先目標にしない設定をしていましたがシナリオメカニクスの変更で「復活のお守り」の入手手段が増えて魔法使いの命が軽くなったため加える事が出来た設定です。スキルダイスの目標値による発動率を上げたのと合わせてグッと魔法を使う事のリスクが高まりました。相手の射程を意識して立ち回りを考える楽しさが増えたと思います。これは慎重に振る舞ってクリアを目指すプレイヤーにとっては痺れる設定になる事を期待しています。

小型キャラクターはFeyや物の怪、ハーフリングなど小さくて素早く動き回るイメージにして、妖精が大ダメージを相手に与えるキャラクター作成も可能にしています。小型キャラクターはライフ3ですが素早く動き回るため体型の特性としてアーマー値 ライフ+1 として小型だから弱い存在としない形でキャラクター性を出す事にしました。

サンプルの物の怪キャラクター

更に人サイズはモーションダイスが2個ですが小型サイズはモーションダイス2個+アクションダイス1個としました。これにより移動や交渉、作業の成功率が上がって小型のキャラクターを仲間に加えるメリットも生まれました。

テストプレイでもスキルダイス偏重ではなくアクションダイスが移動や罠、交渉で活きる様になって、小型サイズのAd追加はとても良い変更となりました。


さて、話が長くなってしまったので今回の大改変のエピソードはこの辺までとしたいと思います。


まとめ

  • こだわりポイントを重ね合わせるのは良くない、独立させてシンプルに

  • 完成度は作品全体で上げれば良い、一つ一つで上げないでスパライル状に各メカニクスを巡りながら改変を検証するとバランス良く作品が育つ

  • バランスをとるためのマイナス要素の受け皿は追加でプラス要素に活かすチャンス


最後までお読みいただきありがとうございました。

興味を持って頂いた方には改変された 「DUNGEON HIKER」 で遊んでいただければ嬉しいです。


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