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大羊春秋~羊務執筆者党史~ 第32回

この「大羊春秋」(だいようしゅんじゅう)とは、私 前多昭彦が主宰していた同人誌サークル「羊務執筆者党」(ようむしっぴつしゃとう・略称SSP)の活動を振り返る「回顧録」です。

GELBE SONNE 6(3版)

第2版の頒布が好調なのを受け、すぐに第3版が発行されました。

詳細は次の通り。

『GELBE SONNE 6』(3版)の表紙と裏表紙。

『GELBE SONNE 6 姫ちゃんのおませなひみつ』(3版)
◎入稿日:平成7(1995)年5月12日(金)  ※領収証の日付による。
◎発行日:平成7(1995)年5月27日(土)
◎B5判・52頁・本文用紙90kg・無線綴じ・400部印刷(見本誌18部)
◎頒価600円
◎表紙:コート紙・フルカラー
◎ジャンル:男性向
内容については第2版と同じなので省略します。
本誌では裏表紙(表紙4)右下に表記のサークル名の書体を、毛書体から丸ゴシック体に変更しました。これが唯一の変更点です。

この第3版でも表紙はデータ入稿でした。前述の変更点以外は色データなどは同じ、印刷所も同じ「日光企画」なのにもかかわらず、どういう訳か表紙の色調が第2版より濃くなっています。
まだ印刷所側にもデータ入稿のノウハウが確立されておらず、手探りの点があったのが窺えます。

第3版の頒布は次の通りです。

【コミックキャッスル VOL.5】
◎開催日:平成7(1995)年6月18日(日)
◎会場:東京都豊島区池袋「サンシャイン文化センター ワールドインポートマート」
◎配置場所:「炎のフィールド E-16a」
◎売り子:T中・真衛多昭彦(筆者)

搬入数は40部で頒布結果は17部でした。

当日は委託頒布も行っています。 ※《》内は委託部数
◎夢屋花乃屋(H-21a)《10》7部

同人誌即売会での頒布は以上です。
この「コミックキャッスル」とは、平成6(1994)年3月に設立された「ブロッコリー」主催のオールジャンルの同人誌即売会です。同年6月に第1回が開催され、平成11(1999)年6月の開催回まで行われています(回数は不明)。この他にいわゆる“コスプレ・ダンパ”の「コスパ」も主催していました。
また、平成8(1996)年7月にはキャラクターグッズ販売店「ゲーマーズ」を開店しています。
なお、設立者の木谷高明が「ブロッコリー」の経営一切から身を引いたあと、平成19(2007)年5月に設立したのが「ブシロード」です。

第3版でも「新宿書店」などでの委託頒布が行われました。
〔〕内の日付は納品日かと思われます。
◎新宿書店〔平成7(1995)年6月18日(水)〕
※委託価格420円(店頭頒価600円)
  ・平成7(1995)年6月=60部(開始)
  ・平成7(1995)年7月=22部
  ・平成7(1995)年8月=15部(終了)
※1995.7.28[80部]回収
※1995.8.18[10部]回収
※6月の委託頒布開始日(納品した日)は不明です。

◎L.L.PALACE〔平成7(1995)年6月6日(火)〕
※当店のみ委託ではなく買取
※当時、東京渋谷の道玄坂に店舗がありそこでの頒布用。
  ・買取価格420円(店頭頒価600円)
  ・買取部数30部

◎タイヨー〔平成7(1995)年6月14日(水)〕
※「株式会社大洋図書」が展開しているアダルトグッズ店。
※毎月20日の締日に請求書を発行しなければならなかった。
  ・委託価格420円(店頭頒価600円)
  ・委託部数50部 ※1995.11.?[4部]回収

◎個人委託〔平成7(1995)年6月15日(木)〕
前出のサポートNETを間借りさせてもらっていた草の根BBSのシスオペのNが、独自に参加する即売会などで頒布したいとのことで委託したもの。I上経由で送付。
  ・委託価格420円
  ・委託部数70部 ※1997.8.4[11部]回収

◎コミックとらのあな〔平成7(1995)年7月28日(金)〕
  ・委託価格450円(店頭頒価?円)
  ・委託部数100部 〈完売〉

最終的に『GELBE SONNE 6 姫ちゃんのおませなひみつ』の「第3版」は「印刷部数400部+見本誌18部」で、総頒布数は369部という記録が残っています。

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当時、「コミックキャッスル VOL.5」での売り子をI上にも依頼したところ、当日は夜から漫画家のMさん宅に泊り込むアシスタントの仕事があり、それに向けて体力を温存しなければならないので、売り子は引受けられないという答えが返ってきました。
「コミックキャッスル」終了後、新宿駅南口の近所にあった「ゼニス」というカラオケ店で、前出の漫画家Mさんをお招きして「SSP」のメンバーでカラオケをやることになっていました。I上はこれには参加しカラオケ終了後、そのままMさん宅へ向かうという段取りでした。
T中と私が会場から集合場所である新宿駅南口へ向かうと、既にI上が到着していたのですが、何故か大きめの手提げ紙袋持っています。なんと、アシスタント作業に備え体力温存をするために私の売り子依頼を断ったのにもかかわらず、彼はその時間に秋葉原へ行って買い物を楽しんでいたのです。
当然、私は不愉快になりなしたが、「またかよ」という感じで怒ってもしょうがないので黙っていました。

しかし、話はこれで終わりではありません。カラオケ終了後(食事もしたかもしれません)、I上はMさん宅へ行かず、疲れたからと私たちと一緒に帰ってしまいました。つまり仕事のドタキャンです。
後日、Mさんから伺いましたが、I上のこの行動に怒りを通り越して呆れていました。依頼したアシスタントはI上独りだったため、独りで全作業をこなさねばならず大変だったそうです。
彼の振舞は相変わらずこういった有り様でした。

実は『GELBE SONNE 6』再版の動機には暗いものもありました。
それはM本の排除です。
M本とは前年4月に同人誌即売会への搬入をめぐるトラブルが生じて以来、交流はぎくしゃくしたものになっていました。また、実妹と運営する自サークルの活動を優先するようになり、「SSP」とは疎遠になりつつあったことも私には不満でした。
さらに、「第29回『GELBE SONNE 8〈前編〉』」で述べました、私の原理原則にこだわり「物事はこうでなくてはならない」という融通が利かない堅い考え方から、彼の同人誌活動のスタイルを快く思わず反感を抱いていたのです。
これらの事柄から生じた言わば“恨み”が原因で行った排除でした。

奥付連絡先をM本宅から総裁府(私の所)へ変えるのは事務の点で当然として、目次に記された編集スタッフからの削除、編集後記の彼のコメントは『GELBE SONNE 9』の広告に差し替えました。
陰湿でみっもないことをしたものです。

M本には非常に申し訳無いことをしました。
私のこの振舞にショックを受けたかもしれません。
今世紀に入って彼との関係修復を幾度か試みましたが、まさに「覆水盆に返らず」で全て不調に終わりました。

「ポコ太の決心」より。
LEONEのイラストから差し替えられた『GELBE SONNE 9』の案内。

《第32回「GELBE SONNE 6(3版)」おわり》

※文中敬称略

ご意見・ご感想・ご質問がありましたらお気軽にコメント欄へお寄せください。

次回、「第33回『GELBE SONNE 9〈前編〉』」は1月1日投稿予定です。