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大羊春秋~羊務執筆者党史~ 第27回

この「大羊春秋」(だいようしゅんじゅう)とは、私 前多昭彦が主宰していた同人誌サークル「羊務執筆者党」(ようむしっぴつしゃとう・略称SSP)の活動を振り返る「回顧録」です。

GELBE SONNE 7・その3

予想に反して大量の在庫を抱えたうえ、「勇者特急マイトガイン」放映終了による題材のタイムリー性消失から焦躁感に駆られた私は、一刻も早く在庫を無くすべく、同人誌即売会の参加申込みと商業誌の同人誌紹介コーナーへの掲載依頼を急ぎます。

その結果、以下の同人誌即売会に参加しました(委託も含みます)。
  ※《》内は搬入または委託部数
◎[委託]「クラブ1993・2」'94.1.16(日)/秦野市文化会館
  S氏の遊園地《20》12部 ※M本の独自サークル。

◎[委託]「COMIC CITY in 東京・晴海28」'94.1.30(日)/東京国際見本市会場
  夢屋花乃屋《19》〈完売〉

◎[委託]「セーラームーンオンリー即売会(仮)」'94.2.11(金)/足立区産業振興館
  えん《20》16部
   ※M本とあかつきにゃおみによるサークル(男性向ジャンルに非ず)。
東京都足立区の北千住駅近くの会場で行われた同人誌即売会です。私は様子を見に一般参加しました。このイベントでは「高橋留美子総合F.C. U&R」の会長Kさんと、ほぼ7年振りに再会するというドラマがありました。

◎「COMIC CITY in 横浜」'94.3.27(日)/パシフィコ横浜
  《122》22部
配置場所は「099C」、売り子はM本と私です。当日の朝はM本の車で向かい、帰りはK藤が合流しました。私の地元である横浜で開催ということもあり参加しましたが、正直言って全体的に盛況ではありませんでした。「パシフィコ横浜」へ行ったのは、今のところこの同人誌即売会が最初で最後です。

◎「COMIC CITY in 東京・晴海32」'94.4.10(日)/東京国際見本市会場・東館&南館
  《120》25部
配置場所は「エ-29b」、売り子はA藤と私、記録にはK藤が応援と記されています。「SSP」の右隣が岩崎たつやの個人サークル「御祝堂」でした。勿論、初対面でしたが、いろいろと多くの話したのを憶えています。映画やアニメなどをみることに貪欲な彼に私は感心したと同時に影響を受けました。

【Super Comic City 3】
・開催日:平成6(1994)年5月5日(木)
・会場:東京都中央区晴海「東京国際見本市会場」
・配置場所:「ネ-2a」(新館1階)
・売り子:A見・T中・真慧多昭彦(筆者)
  《280》89部
委託頒布の詳細は次の通り。
・御祝堂(ネ-69a)《20》11部
・サークル優雅(ニ-7a」)《10部》6部  ※K藤の個人サークル。

◎[委託]「クラブ1993・3」'94.5.15(日)/秦野市文化会館
  S氏の遊園地《?》2部

【コミックマーケット46】
・開催日:平成6(1994)年8月7日(日)・8日(月)
・会場:東京都中央区晴海「東京国際見本市会場」
・配置場所:8日「ヌ-43b」(新館1階)
・売り子:T中・真慧多昭彦・(応援)大島洸一
  《240》123部
委託頒布の詳細は次の通り。
・握手0.5秒PRESENTS(H-31a)《100》34部

◎[委託]「クラブ1993・4」'94.8.?(日)/秦野市文化会館
  S氏の遊園地《10》1部

◎「COMIC LOVERS 1」'94.9.4(日)/東京文具共和会館
  《25》22部
配置場所は「①」、売り子は私のみです。
11時の開場後しばらくしてからだったと思います。
「どもども」とにこやかに挨拶をしながらI上がやってきたのです。これには私は面喰らいました。
「調子はどう?」という旨を尋ねられたので、私はアニメ「天地無用!魎皇鬼」の砂沙美のセリフを流用して「(スペースに)誰も来ないよう」と答えました。後日、彼は私のこの返答は印象に残ったと語ったのを憶えています。
「SSP」から彼に追放を宣言した訳ではなく、自然消滅的に交流を絶っただけですから、自分がとった行動に問題意識が無かったのではないかと思われ、そのため何事も無かったかのように訪れてきたのでしょう。
結局この後、彼とは済し崩し的に言わば“国交回復”となったのですが、彼に対し毅然とした態度をとれない私に、A見は怒り半分呆れ半分という模様でした。
当時、私は『GELBE SONNE 7』での失策の後ろめたさから、「SSP」内での孤立感を感じていました。I上と関係改善は明らかにその影響があったのです。

◎[委託]「TENASSEN」'94.9.25(日)/東京国際見本市会場
  ルノホート《29》21部
「TENASSEN」(テナッセン)とは高河ゆんとタイアップ? して「TENASSEN実行委員会」により開催されていた、規模(募集サークル数)2千~3千のオールジャンル同人誌即売会です。神奈川県相模原市にある「三心印刷」が実行委員会の母体だったと記憶しています。高河ゆんがメインライターの『手捺染』という公式同人誌も発行していました。
いつ頃まで行われていたのかネットで検索して調べてみたところ、私が検索下手なこともあり詳細は分かりませんでしたが、平成8(1996)年10月5日に東京ビッグサイトで開催の「TENASSEN 9 & コミックテクノ」(募集サークル数3000)まで確認できました。
ちなみに、「手捺染」とはこの即売会による造語ではなく、布地の染色技法の一種です。

以上、初頒布の「コミックマーケット45」を除いた頒布は、12の同人誌即売会に参加し(委託含む)、403部という結果でした。

実はこの年の4月下旬にもう一つ同人誌即売会に参加するはずでした。
その前日、A藤と武蔵小杉の居酒屋で飲んだのですが、酒が入って気が大きくなったのか(私は下戸なので少量です)、明日の即売会参加をやめると言い出し、サークル入場券を破って居酒屋の厠に流してしまったのです。
そして、帰宅後、手伝いでサークル入場をする予定だったK藤に電話をかけ、一方的に明日の即売会参加は取り止めになったと伝えました。
後日、K藤から釣銭など用意して準備していたのに、一方的にドタキャンとはどういうことだ、と厳しく注意されました。
今振り返ると、これは若気の至りでは済まされない、同情の余地が無い酷い振舞です。何故このような行動をしたのか今となっては分からずもやもやします。

通信頒布については次の通りです。
◎通頒案内ペーパー『SCHAFS NACHRICHTEN Vol.16』'94.2.4(金)発行
   ・287部送付
   ・申込み数114件
   ・頒布数120部(2部申込み6件)

◎キャンディータイム海賊版5月号増刊『COMICホットシェイク』
  ※富士見出版発行の成人向漫画雑誌(B5判・中綴じ)
   ・申込み数56件
   ・頒布数56部

◎『コミック ポプリクラブ6月号』
  ※大洋書房発行の成人向漫画雑誌(B5判・中綴じ)
   ・申込み数20件
   ・頒布数20部

◎白夜書房刊『メガストア6月号』
   ・申込み数200件
   ・頒布数205部(2部申込み5件)

◎『ペンギンクラブ山賊版8月号』
  ※辰巳出版発行の成人向漫画雑誌(B5判・中綴じ)
   ・問合せ数72件
   ・申込み数39件
   ・頒布数39部

以上、通信頒布での頒布数は440部です。
掲載誌は全て私の手元にありましたが廃棄してしまいました。これはちょっと早計だったかなと思っています。
『GELBE SONNE 7』(ゲルベゾンネ ジーベン)に対する書評がどのようなものだったのか気になります。

本誌に限らず、「SSP」の通信頒布は掲載誌の選定、出版社への見本誌の送付、案内ペーパーの製作とその発送、本の発送など全て私独りで行っていました。
他のメンバーと作業を分担すればいいのに…… という声が聞こえてきそうですが、実は正直に言ってしまうと、複数の人で処理できるように作業を細分化し段取りを考えるのはそれなりに面倒で、ならば独りで行った方が楽なのです。マイペースで気楽にできますから。あと私はコツコツやる単純作業が好きなこともあり、通頒事務が苦だと思ったことはありませんし、これはサークル主宰者の義務だとも思っていました。

平成6(1994)年10月のある日、私の元へ1通の手紙が届きます。
その手紙は『GELBE SONNE 7』を買い取らせてほしいという内容で、読んだ私は非常に不審に思いました。勿論こんな申し出は初めてです。
「同人誌を買い取るとはどういうことだろう?」
新手の詐欺か、もしかしたら今で言う反社会的勢力の犯罪の一端か……
申し出たのは、後年、私も大いに利用した秋葉原の「株式会社メッセサンオー」でした。
その後、秋葉原にある様々な店舗で同人誌の頒布が盛んになりますが、それはこの年の「メッセサンオー」が嚆矢のようです。
買取価格は即売会頒価8割でした。本誌は700円なので560円です。
部数は100部で、確か私は宅配便ではなく自分で店へ持って行ったと思います。記録に平成6(1994)年10月28日(金)の日付がありますから、おそらくこの日に持ち込んだのでしょう。
「メッセサンオー」のページが「Wikipedia」にあります。

最終的に『GELBE SONNE 7』は「印刷部数1500部+見本誌42部」で、総頒布数は1472部という記録が残っています。

「いけない妄想(ひとり寝の夜のヒミツ)」より。
「私がNo.1」より。
「マイトのシュミ」より。

《第27回「GELBE SONNE 7・その3」おわり》

※文中敬称略

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