大羊春秋~羊務執筆者党史~ 第21回
この「大羊春秋」(だいようしゅんじゅう)とは、私 前多昭彦が主宰していた同人誌サークル「羊務執筆者党」(ようむしっぴつしゃとう・略称SSP)の活動を振り返る「回顧録」です。
四面楚歌 -第参号-
私が『GELBE SONNE 5』(ゲルベゾンネ ヒュンフ)の編集後記で、『GELBE SONNE』シリーズの休止宣言を発したことから、別冊扱いの『四面楚歌』を発行する案が党内に上がります。
提案者はI上で、そこにM本が乗りこの2人が主導となり製作が進められました。
この本の企画がいつ頃立ち上がったかは不明です。
辰巳出版発行の成人向漫画雑誌『ペンギンクラブ』(B5判・中綴じ)の平成4(1992)年5月号(Vol.69)の「同人誌DATA」に『GELBE SONNE 5』が掲載された際、「夏に別冊の、『四面楚歌 -第参号-』を発行予定。」と紹介文末にありますから、平成4(1992)年2月にはもう計画が進行していたと思われます。
『四面楚歌 -第参号-』の詳細は次の通り。
◎入稿日:※不明
◎発行日:平成4(1992)年5月27日(日)
◎B5判・60頁・本文用紙70kg・無線綴じ・400部印刷(見本誌8部)
◎頒価600円
◎表紙:コート紙・フルカラー
◎ジャンル:男性向
◎内容(ほぼ掲載順)
・表紙イラスト/七條 乱雄斎
・中表紙イラスト/あかつき にゃおみ
・アニパロ漫画「Time Lag Blues」(8頁)七條 乱雄斎
・「INTRODUCNG WRITERS」(全4頁)※各頁カット/あかつき にゃおみ
・パロディ漫画「HAPP Y TALK」(7頁)AKUSYU 0.5 SECOND
・アニパロ漫画「虫の息」(4頁)江田島 平八
・パロディ漫画「おなっておなって60分」(4頁)左野 まさと
・アニパロイラスト/七條 乱雄斎(5点)
・アニパロイラスト/竜鬼 神(2点)
・アニパロイラスト/処奈他(4点)
・アニパロ漫画「御約束漫画」(15頁)七條 乱雄斎
・「編集後記」(1頁)
・表紙4イラスト/七條 乱雄斎
本誌も監督市川崑ことA藤の厚意でタイトルなどの写植を使用しています。
相変わらず男性向同人誌ということで迷惑がかからないように、印刷所名の実名公表を避けて「中京大定府印刷」と記載しています。
実は本誌の入稿に同行した記憶が私にはありません。そのためどこの印刷所を利用したのか分からず、また、領収証も私の元にないため入稿日が不明です。
発行が5月27日となっていますが、これはI上の趣味で旧海軍記念日と同日にしたもので、実際の納品日はいつだったのか不明です。
◎あかつきにゃおみ
『GELBE SONNE 5』においての青梅財団作画室、つまりM本の実妹です。
◎左野まさと
M本の知人という縁で寄稿した人でした。
◎竜鬼神
どの本かはもはや分かりませんが通信頒布の申込み時、便箋の余白に描かれていたイラストが良かったので、I上の要望で本誌の原稿を依頼しました。私が交渉の窓口になりましたが、必ずしも絵を描く人全てが同人誌の執筆に適しているのではないのを知った一件でした。
◎処奈他
『GELBE SONNE 5』における神家処奈他です。
通信頒布は初頒布を予定していた「コミックマーケット42」に先行して行われました。
本誌のために私が製作した通頒案内ペーパー『SCHAFS NACHRICHTEN Vol.14』が残されていますが、これまで「SSP」の通頒に申し込んだ人が送付対象でした。
新たに商業誌の掲載依頼は、少なくとも私は行っていません。
初陣、つまり初頒布は「コミックマーケット42」です。
【コミックマーケット42】
◎開催日:平成4(1992)年8月15日(土)・16日(日)
◎会場:東京都中央区晴海「東京国際見本市会場」
◎配置場所:16日「ク-51a」(新館1階)
売り子はI上、M本、A藤そして私なのですが、コミケのサークル入場証は1サークル3枚、つまり3名なのに4名が記録されているのはどういうことでしょう? 不思議ですね。他に招待者として処奈他ことT中の名が記録にありますが、これもどういうものだったのか分かりません。
頒布結果は224部でした。
搬入部数は230部なっており、あとの170部については不明です。
『SCHAFS NACHRICHTEN Vol.14』による事前の通頒で170部も申込みがあったとは思えません。
「SSP」はその後の「コミックマーケット43」には参加していませんし、「コミックレヴォリューション」といった他の同人誌即売会にも参加していません。いったいどういう方法で残部を頒布したのやら、全くもって謎です。
前述の通り、『四面楚歌 -第参号-』は飽くまでもI上とM本主導で製作されたため、私がやったことといえば竜鬼神ことK川への原稿依頼といった外交と、通頒処理、「コミケ42」の売り子のみです。
よって本誌に関する資料がほとんどなく、また、憶えていることも少ないので、この「第21回」の執筆(入力?)は題材がなくて困りました。
自分が主宰するサークルで、自分が直接タッチしていない本が存在するというのは奇異と言えるでしょう。
そのため、「SSP」初のフルカラー表紙であるにもかかわらず、正直言うとこの本はあまり思い入れがありません。
逆に自分主導の製作ではないため、一描き手として気楽に原稿を描いて楽しめば良かったのに、それをしなかったというのは残念極まりないですね。
本誌製作時私は24歳、いったい何を考えていたのでしょう。もう30年以上前のことなので憶えていません。
《第21回「四面楚歌 -第参号-」おわり》
※文中敬称略
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