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表現とはいかにして面白くなるのか(思考)
とある本を聞いていたら(オーディオブック)作家の表現の「ここがすごい」というのがあったので大変勉強になった。この写真は参考だが、これを見て説明する時の違いを考えてみたい。
さて、画像のようなビールを表現しようとしたとき、どのような表現が考えられるだろうか(黒ビールかは問わない)。中国の学生に接して分かったことは、中国語の書き方としては大きな枠組みと国を中心に考えていくことである。
中国の学生が書きそうな文章(例)
①ビールは世界で飲まれている飲料である。大麦や小麦から作られるビールは世界で製造され、各国でオリジナルのビールが作られている。中国では、青島ビールが非常に有名で、世界で「青島ビール」が飲まれている。中国の食卓には欠かせない青島ビールが世界各地で飲まれるよう、これから更に努力していかなければならない。
といった具合だろうか。(ご指摘大歓迎。また、他国の学生はどのように書くのかも興味がありますので、教えていただけたら幸いです。)
これを批判するということはできない。各国にはそれぞれの書き方があり、考え方がある。ただし、日本語の作文である時には指導をしていく。
どのように指導をするのかというと、個人的な感想や経験などを入れるよう伝えるが、マイナス概念を入れることに抵抗感があるらしく(肯定的なことしか書かない)、「苦い」、「まずい」といった文章はまず書けない(書ける学生はかなり優秀だと判断できる)。
日本風に書くとしたら、知り合いの先生が最近Facebookで書かれていたのだが、「心の動き」を強調していく。それをふまえ、「家族」などを組み合わせると以下のようになるだろうか。
日本風作文(小説っぽく)
②ビールは人々に幸せを運ぶ飲み物である。私の父は帰宅時、汗をたくさんかいて帰ってくる。母はそんな父を毎日お風呂に連れていくのがお決まりになっている。私はといえば、料理を机に並べ父の好きなグラスが冷凍庫に入っているかを確認する。枝豆はその後にゆで始めると父が風呂から出てくる時とぴったりになることを発見したのは内緒である。風呂から出てきた父はタコのようなゆで上がった顔で私の頭をなでてくれる。ボディーソープの良いにおいが漂ってくる。父はタオルを首に巻いたまま、冷蔵庫からお気に入りの350ml黒ビールを取り出し、冷凍庫からグラスを取り出す。そんな父を私と母はこっそり見ながらほほ笑んでいる。父が席に着いて、さっそくビールを開けると「プシュ」という心地よいが部屋に響く、すぐグラスに注がれ、泡が立つ。父がグラスを口に近づけ、一気にあおる。そして、「ぷはっ」という声が出てくる。そして、私たちみんなが笑顔になるのだった。
普通の作文になるのだったら、
③ビールには人々の思い出が詰まっている。私にとっては父との思い出である。仕事帰りの父はいつも疲れた顔をしていた。しかし、キンキンに冷えたビールを手にし、飲む時、父は笑顔になる。そんな魔法の飲み物だと子どもの時は思っていた。大学生になって、初めて飲んだビールはただ「苦い」だけの印象だった。魔法が「苦い」だけの飲み物に格下げした。それからしばらく経って帰省したときに父は笑顔でグラスを私に渡した。それを飲んでみると「苦い」から「うまい」に変わった。そこで気づくことができた。ただビールを飲むだけでなく、誰かと一緒に飲むことで、私の、相手の人生のピースになるのだ。この「うまい」思い出を私は一生忘れないだろう。
となるのだろうか(ご指摘大歓迎)。
さて紹介されていた小説家の人は、このビールを
④今日はビールがどんどん進む。プール25m×25mも問題なく飲めるだろうと思った。
という「プール25m×25m」数的表現をビールにつなげてくる。こうしたセンスは意識しないとできないだろう。それが出てくる、つなげていけるのはさすがである。
私ならどう表現するのだろうか。
⑤琥珀色に染まった液体が体内にしみこむ時、私の血液は小躍りして脈打つだろう。気づけば液体はカラになり、そこには白色のクリームがガラスに付いているだけである。
などだろうか。皆様ならどう表現するのか、非常に気になる。