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その道具が、2021年に役立ちますように

今年買ってよかったもの、と言えるかどうか。はっきり言って分からない。むしろ、「まさか、こんなものを買うなんて。人生って分からんなあ」というのが本音である。

今年買って良かったものだと、私には言い切れない。けれど、夫にとっては「最高の買い物をしたよ!!!!!」と、目を輝かせている。

その品物は「魚群探知機」である。

どこのご家庭にも、一家に一台あると便利! みたいな家電じゃない。むしろ、自宅にあるよ! という家庭の方がごく少数に違いない。

夫は大の釣り好きで、釣り以外の趣味はないと言ってもいいくらいだ。普段の会話でも釣りの話を一方的にしてくるし、釣り仲間のウッチーから電話がかかってきたら1時間以上話していることもザラにある。

そんな夫が、2019年から2020年の初めにかけて、二級小型船舶免許を取得した。その様子を書いたnoteがこちら。

紆余曲折を経て、夫は無事に試験に合格した。二級小型船舶免許を片手に、いそいそと釣りに出かけてはボートをレンタルし、釣りを楽しんでいた。

もっとも、今年は感染症の問題もあって、思うように釣りはできなかった。夫のしている釣りは、湖にボートを出航しておこなっている。昨年までは船の免許を持っている釣り仲間とスケジュールを合わせて行っていたけれど、今年は免許を取得した。自分でボートの運転もできるし、一人で行ったほうがいいと前々から言っていたため、ほとんど誰かと接触することもない。

それでも、外出自粛だったり、職場のルールなどもあって、頻繁には出かけられなかった。

数回しか釣りに行けないとなると、「いかにうまく魚を釣るか?」と、夫は思案し始めた。

釣り道具の見直しだったり、いろんな条件などの研究。狙っている魚を釣りに行っているドキュメンタリー番組を何度も何度も見直して、釣り名人はどこで釣りをしているかポイントを探る、ということもやっていた。

そうして、そのうちのひとつが「精度の良い魚群探知機の入手」があった。

船宿にボートをレンタルするのだけれど、そのとき一緒に魚群探知機(略して魚探)もレンタルしていた。しかし、その魚探が精度があまり良くないらしく、「魚探に惑わされるんだよなあ」と、釣果が芳しくなかった日にはぶちぶち文句を言っていた。

そうして、夫は「こうなったら魚探を買うか……」と、少しずつ決意を固めて行った。緊急事態宣言が発令されたころのことである。

そのころから、もうほとんど毎日「うーん、こっちの機種は高いかなあ? どう思う?」とか、「これは手頃だけれど、画面が小さいから見えにくそうだし……。どう思う?」と、わたしに話しかけてくる。

わたしにとって、魚探は本当にどうでも良い、むしろ不用品なので「好きにすれば良いじゃん。わたしに聞かないでよ!」と、イライラしつつ返事をしていた。冷たいと思われるかもしれない。けれど、顔を合わせるたびに、ほぼ毎日「魚探のことなんだけど、相談に乗ってくれない?」と言われ続けると、まあうんざりする。

魚探がどんなものかわかりにくいと思うけれど、GPS機能搭載のカーナビみたいな物だ。カーナビの水中バージョン。液晶パネルがあって、それに水中の様子(海底とか、魚の反応とか)をGPSで捉えて映像を映している、のだとおもう。高性能のものは高価格。

買いたいけど、どうしようか? 夫は悩み続けていた。おそらく悩むことが楽しかったんだろうなあと思う。カメラ好きの人が「今度買うレンズを迷ってる」みたいなことと似ているのかもしれない。安い買い物じゃない、でも欲しいものはたくさんあって、でも(今のところ)ひとつしか選べない……。ある意味片思い中なのだから、きっと楽しいに決まってる。

ただ、その片思いに、半年以上付き合わされ、わたしは結構うんざりしていた。「もう、好きなの買いなよ! 金額は気にせずに!」と言い放ったこともある。夫が欲しいタイプは高ければ良い、というわけでもないらしい。

ぐずぐずぐずぐず、悩みに悩んで、ようやくこの12月に夫は決断をした。

購入した魚群探知機は、外国製(GARMIN社のもの)で、取扱説明書などは英語で書かれている。夫は英語が苦手なため「これって、どういう意味だと思う?」などと、操作方法を聞いてくる。わたしだって英語をすらすら読めるわけじゃないのに……。

まだ釣りのシーズンが来ていないので、今のうちに設定とか、操作に慣れておかなくっちゃと、夫はいそいそと魚探をいじっている。あるときなんかは「お風呂の湯船でテストしてみても良いかなあ?」などと言い出したので、それは止めた。そもそも水深とかのレベルじゃないし、意味ないんじゃない? というと納得してくれた。

魚探を買うか、買わないかのお悩み相談は終了したものの、今度は「持ち運びをするケースの問題」だとか、「魚探の操作が複雑すぎる問題」などが持ち上がっており、逐一相談されている。ただ、相談内容がバラエティに富んでいるのでまだうんざりはしない。

まあ、何にせよ夫が楽しそうで何よりだ。2020年、よい買い物をした。2021年に役立ててもらいたい。

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