【観劇レポ】ミュージカル『刀剣乱舞』 髭切膝丸 双騎出陣2019
宝塚と並んでチケットが全然取れないというウワサの刀剣乱舞のミュージカルを見てきました。初・刀剣乱舞。初・2.5次元舞台。
『刀剣乱舞』とは
刀剣乱舞は日本刀の名刀を男性に擬人化(ゲーム上では「付喪神」という設定)した「刀剣男士」を収集・強化し、日本の歴史上の合戦場に出没する敵を討伐していく刀剣育成シミュレーションゲーム。(ウィキペディアより)
もともとはゲームが始まりで、その後ミュージカルや映画など実写化が進んだそう。そして、刀剣乱舞の舞台にはミュージカルとライブが存在するらしく、なぜそのような作品なのかというと、かつて戦場で活躍していた刀たち。それぞれに血気盛んで勝負をつけたがるが、幸か不幸か彼らが人として目覚めた現代は刀の登場する場所はなく...。では、現代の天下一とは? アイドルではないかと目を付けたのが製作者の巧妙。乱立するアイドル戦場に刀剣男士が打ってでてという流れのおかげで古の刀が擬人化し、きらびやかな衣装で歌って舞い踊るというなかなかに斬新な構図が出来上がったようです。なんだかもうめちゃめちゃなのですがいいんです面白ければ。いまでは紅白歌合戦にも出演するほどの人気ぶりです。
『髭切膝丸 双騎出陣2019』
さて。刀剣乱舞全体についてのにわか知識のお披露目はこのあたりにして、僥倖にも手に入ったチケットで観劇してきた『髭切膝丸 双騎出陣2019』の話を。
主演:髭切役 三浦宏樹、 膝丸役 高野洸
出演:加納幸和(花組芝居)
2020年の再演が決まっているのでネタバレになりそうなことは割愛しますが、双騎出陣は髭切と膝丸という兄弟刀が出演する日本三大仇討ちの一つである曽我物語をベースにした作品でした。
髭切役、膝丸役のお二人は曽我物語における曽我兄弟を演じており、なぜそれが双騎(髭切、膝丸は兄弟刀なので二振り揃うとこう呼ぶらしい)で演じられるのかというと、この二振りの刀がこの曽我物語に登場するからのようです。おそらく解釈としては、曽我兄弟の仇討ちに使われたのがこの兄弟刀ということ。
「ものが語るゆえに物語」という口上から始まるこの物語はおそらく曽我兄弟の仇討ちに立ち会った刀の視点で述懐しているものなのでしょう。
一幕。
主演の二人は父を亡くした幼子から仇討ちを遂げる青年までの時の流れを見事に演じ切り、母として僧房として二人を導く役に花組芝居の加納さんがまた見事。舞台上の役としてだけでなく役者としても作品と二人の若者を引っ張り作品の屋台骨を支えていたと印象を受けました。人選が抜群でした。すべての空気を支配する彼の演技は本当に圧巻。。。
加納さんの整えた舞台で若手の二人が大きく羽ばたいたという印象でした。
演技、殺陣、踊り、歌、すべてそれぞれでもトップを目指せるのではないかという高いレベルの才能を持つ髭切、膝丸役のお二人。
息をするのもはばかられるほどの緊張感と震えが止まらないほど鋭く心をえぐる悲しみ。詳しく書けませんが、あるシーンでの舞が美しすぎて、哀しすぎて、今でも瞼の裏に焼き付いています。
(個人的にはこの一幕のステージングと振付を本山新之助さんと共に担当していたのがDAZZLEで、DAZZLEらしさの感じられる振付演出であったことも思い入れ深いシーンになった一因でした)
二幕。
先ほどまでの重苦しい空気はどこへやら。突如始まったライブにあっけにとられ、しばらく経ってからようやく呆けた顔をしていたことに気づくという(笑。
そう。これが刀剣乱舞の見せ場の一つである現代の天下をかけた合戦。
ライブエンターテイメント。
どうやらここで彼らは曽我兄弟ではなく本来の刀そのものに戻ったようです。コンクールで入賞したこともある髭切のバレエや膝丸のブレイクそれぞれの魅力をふんだんに取り入れたダンスパフォーマンスに見ほれます。次々と幅広く踊り歌われる曲の数々。衣装替えもたくさん。
そして、実は着席した時から気になっていたものの正体がわかりました。そう。周りの方々がお持ちだった手作りの(とてもハイレベルな)うちわやペンライトがここにきて大活躍。ジャニーズのライブなのかなと思うアイテムたちの出番は一幕では全くなく(深刻すぎてそんなテンションじゃないぞと思っていたのです)何に使われるのかと戦々恐々としていましたが、実際のライブの時に客席に双騎カラーの黄色と黄緑があふれる光景はとてもきれいでした。
そして、双騎のファンたちはとてもマナーが行き届いていて、おそらくかなりの時間をかけたであろううちわを見せびらかすこともなく胸のあたりに保ったまま、そして座ったまま素敵な笑顔でライブを楽しんでいらっしゃいました。
最後に髭切、膝丸のお二人からネタバレ禁止のアナウンスとあいさつがあって二時間にわたる刀ミュ(刀剣乱舞ミュージカル)が終了。
一幕と二幕のギャップに驚いたものの、なんとなく思っていた2.5次元舞台というものに対する先入観が打ち壊された作品でした。素晴らしかった。そして最近の若者は2次元キャラの実写化に耐えられるビジュアル、スタイルですね。すごすぎる。
チケットは常に激戦とのことですが2020年に再演があるとのことでより多くの人の目に触れてほしいと思います。