【観劇レポ】『銀色のカーネーション』
2019.3.16-18『銀色のカーネーション』
関東大学ダンス連盟Σ 第28回連盟公演
関東大学ダンス連盟Σ(シグマ)という団体をご存知でしょうか?
大学生活におけるサークル活動と言えばひとつの大学内、もしくはいくつかの、というところ、こちらの団体は所属サークル57、所属人数約7,000人。その創立は1987年にさかのぼるという。
恥ずかしながら同級生も所属していたというのに社会人になる今までまったく知りませんでした。
もっと早く知りたかった、と思ったのは先日拝見した作品がとてもよかったから。
物語のあらすじは
一人ぼっちでさみしい少年時代を過ごした男の子は成長してロボットの研究者となり同じ研究者の女性と家族を持つ。二人には女の子が生まれ幸せに過ごすものの妻は病に倒れ亡くなってしまう。妻の余命を知ったときに二人が下した決断は、母の造形をもつアンドロイドを作り再び家族になることだった。見た目は母と同じでも中身の異なるアンドロイドに戸惑う娘。その相談先は学生時代から男性に片想いをし続けた女性であった。
それぞれの幸せとは。。。
というもの。
この物語を時々さしはさまれる映像と演技、後は言葉のないダンスで紡いでいきます。
大学生。
もう戻ることのできない時間だからこんなにまぶしいのだろうか。
中学、高校から大きく自由が広がった世界で自らの意思でダンスというものを選んだ彼ら。
ひとりひとりがセンターで主人公で光を放っていた連盟公園「銀色のカーネーション」。作り上げた彼ら、彼女らは今もこれからもなんだってできる。大学生すげえな。うらやましいぞ。
後すごいのがこのちゃんとしたパンフレット。なんと無料。
プロの振付師に振付を依頼し、会場もセットもしっかり。パンフレットまでついてチケットは2,500円なんです。採算取れているのだろうか?
存じ上げている振付師さんがわずかなので内容が偏りますが以下ダンスについて。
オープニング:
振付:DAZZLE 長谷川達也さん(Asst.金田健宏さん)
DAZZLEスタイルという独特のダンススタイルに慣れていない人をひとりも取りこぼすことなく世界観を完成させる圧倒的な演出力。踊る人々の影まで計算されつくしたといっても過言ではないほどの演出で半ば強引にダンサーのDAZZLEスタイルへの不慣れさを導き切り、その先にそれぞれの得意ジャンルになったときに個々魅力が爆発するという見事なシーン。
エンディング:
振付:梅棒 つるさん、新藤静香さん、Yu-Riさん
幸福感にあふれる振付を作らせたら彼らの右に出るものはいないのではないかという3人が今回も安定で抜群のナンバーを演出。体全体どころか細胞ひとつひとつが幸せを叫んでいるかのような。ジャズの持つ伸びやかさのさらに先に、照明が明るいだけではない、ステージ上のすべての人から発される明るい光が見えた気がした。
中盤構成について
ひとつひとつのパフォーマンスは完成度高く、すばらしいものの、HIP HOPとLOCK’Nが3曲以上続くとさすがに見ている方は胸焼けしてくるという印象が...。ダンサーの立場からするとジャンルが違うという主張になるのだけれど、ひとつの作品として見に来ている素人(一般観客の大半の人間)にとってはドンドン系という同じくくりになってしまうので曲順や構成をもう少し見直すとよかったかと。
この公演は初日はほとんど見ず知らずの約350人がたった50日間で団結し、すべての心を傾けて作り上げたそう。
本当に圧巻でした。
見終わって心にひとつ浮かんだ疑問。
人間の記憶は残念ながら上書きされてしまう。日々上書きされて都合のよいように改竄されていく。つまり、目の前に圧倒的な現実があると、それが過去の思い出まで侵食していく。幸せな思いでを上書きされてしまいかねない、そんな現実を選んだ彼らは幸せだったのだろうか。
そして、
タイトルの「銀色のカーネーション」にはどういう意味があったのだろう。
カーネーションの花言葉は「無垢で深い愛」。白いカーネーションは「私の愛は生きています」
さて、銀色は?
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University students’ dance union Sigma performed dance stage “Silver Carnation”.
About 5 minutes dance numbers tell a story in turn.
It was energetic and shining like professional performance.
They are fabulous !
I think they can do everything now and future with this experiences.
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