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自分フィルターを通す
長女は乳児の頃、ひたすらによく泣いた。
それはもう、寝ない子で。
起きている時は体力の限りに泣いていて、
「こっちが泣きたいよ」って日々。
赤ちゃんが泣いていようが平気で寝れる旦那さんでさえ、
夜に交代で起きるだけで
7キロ勝手に痩せた。激し目の新生児ダイエット。
まあ、驚くほどよく泣いてくれた。
その時期を乗り越えたら、
もう無敵な気がした。
だって、笑顔が可愛い。
あー。赤ちゃんってこんなに可愛いんだ。
特に好きだったのが、
赤ちゃんなのに、なにかいいことが思いつくんだろうか。
ちょっとひらめいたかのような目をきらっとさせる表情。
「いいこと思いついた」
子どものこの表情がたまらない。
ちっともいいことじゃないのも、また笑える。
大概は、やめて~って言うようなことをしだすんだ、これが。
それでも、ずっとこの顔でいて欲しいなっていつも思う。
だーれも興味がなくたって、自分の興味にまっしぐら。
自分のまんま。
いいな。いいな。
わたしは、自分が好きなことなんて、
よく分からなかった。
多分、好きと思っていたそれは、
母が喜ぶことだった。
そのまま。そのまま。
あなたのフィルターを通して、
世界を見て欲しい。
そう思って、ひたすらに、子どもの好きと一緒に走ってきた。
子どもの好きってパワーが違う。
それはもう、まっすぐに強い。
1冊の絵本を3か月くらい毎日読んで、
わたしも旦那さんも長い絵本も、
一切見ないでも唱えれるようになったり。
娘なのに、虫捕りにハマって、
週末はひたすら汗だくで虫捕り。
飼育ケースが部屋に20個以上並び、部屋中なにやらガサゴソ音が。
マニアックにオスメスとるので、
生まれてきた赤ちゃんバッタやカマキリが家を歩いているなんてことも。
発見しかない日々。
こんなに世界って面白かったんだって、
毎日の色の濃さに驚いていた。
自由研究にハマって、
1年の4か月は自由研究に捧げるような生活を、
小学校の4年生からそのまま、中学、高校と。
それも、単に好きなだけ。
大学で学びたいものや、つきたい職業とは全く関係なかった。
周りに研究者になるんでしょ?
なんて言われても「趣味~」って軽やかに。
そのまま。そのまま。あなたらしく。
結局のところ、研究ができる大学へ。
彼女は助産師になる夢を持っていた。
子どもとお母さんがとても好きだから。
でも、ちょっと実習にはキビシイ条件も。
彼女は杖ユーザーだ。
高校側から、何度も学部変更の話があっても、
「変えません。わたしがやりたいことなんで」と
言っていた娘。
わたしも一切、反対しなかった。
「できるとこまでやってみて、できなかったらその時に
一緒に一生懸命考えよう」
不安は先取りしないことにしている。
進路を変えたのは、意外にも「手放せなくなったから」
全国大会で、有識者の方々とセッションしたら、
面白過ぎたんだそう。
好きがあったおかげで、
諦めではなく、楽しみしかない道へ。
嬉しいことに、
1年生から研究室に所属できるという好条件を
大学側が作ってくださり、
好きなことへの夢中度は増すばかり。
自分のフィルターを通して、
自分の感じたままにつかみ取る。
「好き」のパワーは計り知れない。