ザワークラウトは広義的な意味での社会変革だと教わった 【つくり手であること】
今朝、とあるオンラインサロンにお呼びいただきました。生き方や暮らし方、家計のことなどをテーマに、今まさに生き方を変えようと動き出した方々の質問に答えたり、他のゲストの方の意見に感銘を受けたりしたことで、zoomから退出した後も、自分が生き方をシフトした頃のことを思い返しました。
同時に、フリーランスになりたての頃にお仕事を依頼してくれた方々のお顔を思い出して、当時の未熟さを謝りたい気持ちと、何よりも信頼してくれた感謝で感無量になったりして。
自分も改めて、誰かの再出発や決意は、素直に応援する人でいたいと思いました。
フリーランスになった後、メディアの立ち上げ時からお世話になっているのが「発酵ライフを楽しむhaccola(ハッコラ)」です。
事あるごとに思い出すあの日
ハッコラではこれまで、数え切れないくらい素晴らしい出会いや学びの機会をいただいたのですが、毎年、春〜夏にかけて思い出すのがこの取材です。
サンダー キャッツ、という名前を聞いて目がキラーンと反応する人は、いわゆる「発酵食マニア」。それも古今東西、世界共通のタグかもしれません。
とはいえ日本国内ではまだ知らない方も多いと思うので、初めて聞いたという方のために簡単にお伝えすると、サンダーさんはニューヨーク在住のフードライターで活動家。20年以上に渡りザワークラウトをつくるワークショップを世界中で開いていることから、"サンダークラウト"とも呼ばれているほど。ザワークラウトなど発酵食品が好きな人にとっては、ザワークラウトといえばサンダーさん、と連想できる存在です。
(↓このおひげの方がサンダーさん。インスタアカウントも sandorkraut/ サンダークラウトになってますね)
すでに連呼してますが、ザワークラウトとは、キャベツを乳酸発酵させたもの。ヨーロッパなどのホットドッグ屋さんでソーセージの上にこんもり乗せてくれたり、コーンビーフやチーズと一緒にホットサンドの具になった「ルーベンサンドイッチ」には欠かせません。
ザワークラウトが自己表現になる理由
ザワークラウトのつくり方をワークショップや書籍を通して伝えているサンダーさんですが、わたしが彼のファンでいる理由は、そのフリースタイルさにあります。
2017年、上記ハッコラの取材でお話しした際も、何度も「自由な作り方でいい」と繰り返していました。
「キャベツの切り方は別に、千切りにこだわらずバラバラだっていい」
「キャベツじゃなくても、カブや人参やビーツなど好きな素材でいい」
「塩だけでもいいし、ハーブやスパイスを使いたかったら好きに楽しんで」
基本的なザワークラウトの作り方として、塩の量はキャベツの重量の2〜3パーセントですが、サンダーさんはそれも
「実はあまり正確に計ったことがない」
と言っていました。理由は、季節によって体が欲する塩加減が違ったり、キャベツそのものの水分量も個体差があるから、と。言われてみれば確かにそうですよね。
またそのとき、「味噌も20年以上自分で作ってるけど、大豆を使ったことの方が少ない」とも言っていて、
「ぼくは日本のみんなほど、味噌は大豆であるべき、という認識がないので自由にいろんな豆を使うよ」
と教えてくれました。「だからみんなも自分らしいザワークラウトを作って」と目をキラキラさせながら話してくれたことをよく覚えています。各自が自由な組み合わせで好きに作ることが大事なんだよ、と。
上記の記事末でも紹介しましたが、ザワークラウトを通して自由な感性を応援するサンダーさんが最後に話してくれたことが、もっとも印象的だったので、下記に引用します。
「英語におけるfermentation(発酵)は元々、ラテン語の「沸騰する」という意味から派生した英語で、発酵そのものの他に、political ferment(政治的混乱)やsocial ferment(社会的混乱)などといった言い回しがあります。
沸騰から派生したのは、発酵時に起こる泡や盛り上がる様子が当てはまるからだと考えられます。つまり、人がエキサイトし、人から人へ伝わることこそが「発酵」の意味だと言えるのです。
そうしたことから私自身は、発酵食を日常的に取り入れるライフスタイルは”社会変革を起こすエンジンになる”と考えています。」
つまり、自らの手を動かして感性のままにザワークラウトを仕込む人が増えると、キャベツがぷくぷくと乳酸発酵するかのごとく、そうした人たちの集合体である社会そのものが変容する、という信念を強くもって行動していたのです。
余談ですがサンダーさんはHIVポジティブであるため、免疫力を保つための投薬も欠かせないそうですが、薬だけはなく、食べ物から健康であろうと努めているとも話していました。
食と社会と健康。このループを自らの暮らしを通して体現しながら、周りにも伝えてくれている。これぞ、アクティビストのあり方ではないでしょうか。
どうですか、しびれるでしょ?
ザワークラウト、つくりたくなるでしょ?
サンダー・キャッツ直伝。ザワークラウトの作り方
ネット上には数多くのレシピがありますが、ちょっと心配ならベーシックな作り方からトライしてみるといいかもしれません。最近思いつきでやってみたらおいしかったレシピと一緒にご紹介します。
\サンダー・キャッツ直伝。ザワークラウトの作り方/
<材料と用意するもの>
・キャベツ 約1キロ
・塩 20g
・1リットル容量の保存瓶
<作り方>
1)キャベツを刻み、大きめのボウルに入れる
2)塩を加えてよく揉む
3)出てきた水分ごと瓶に隙間なく詰める
4)常温で夏は2~3日、冬5~7日ほど酸味が出るので好みの味になったら完成。以降の保存は冷蔵庫へ。
(補足)
* 漬け込むときにスパイスはハーブを使うと風味が出る。キャラウェイシード、粒胡椒、ディル、月桂樹などは手頃。
* キャベツの他、カブ、タマネギ、人参、芽キャベツなどもおいしくできる
* 瓶に入れるときは隙間なく、すりこぎ等を使いながらでもぎゅっぎゅっと押し入れると水分が出る(最終的には全てのキャベツが水分に浸かること)
* 重石または、蓋の内側にキャベツの芯や外葉を挟み込んで固定すると良い
(↓塩もみして瓶に詰めたら、外葉をラップみたいに上に敷き、硬い芯を挟んでから蓋をすると、重石を使わなくても刻みキャベツ全体が水分に浸かる)
(↓もしくはビニール袋に入れた重石をしてから蓋をするなど。月桂樹と唐辛子とイタリアンパセリと共に。)
翌日くらいからプクプクと発酵の泡が出てきます。特に夏場などは1日に1〜2回は蓋を開けてガス抜きをしながらが良いかもしれません。
最近我が家で仕込んだバッジは、すでに外気がだいぶ暖かいのか、発酵が早くて活発。あと詰めすぎたせいと、瓶のパッキンが古くなっていたせいもあって、しゅわしゅわと水分が漏れ始めたのでボウルの中に入れて発酵させました。
今回はたまたま、おいしくて立派なキャベツが手に入ったときに仕込んだのですが、畑にも自宅にもハーブやスパイスがなく、思いつきで大好きなカレーフレーク「菜ばカリー」を大さじ1/2くらい混ぜ込んでみました。
だってサンダーさんは好きに作っていいって言ってたもーん、と誰に向けたわけでもない理由づけを心でつぶやきながらのカレーザワークラウトです。
いやこれ大変、めっちゃうまい!思いつきとはいえ大正解!!もしかして天才なのでは...?と食べる度に自己満足に浸っています(ぜんぜん別に天才じゃなかった、ググると前からカレー使ってる人はたくさんいます笑)
サンドイッチの具はもちろん、葉野菜と一緒にサラダにしたり、油っぽいおかずの横に添えたり、サラダうどんの具にしたり、もしくは他の野菜が少なかったときに炒めちゃってもいい。ザワークラウト・マスター、サンダーさんの教え通り、こしてフリースタイルに楽しめることがとっても嬉しいです。
社会を変容させたい方はぜひ、ザワークラウトを仕込んでみましょう。
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映画監督松井久子が編集長となり、生き方、暮し、アート、映画、表現等について4人のプロが書くコラムと、映画づくり、ライティング、YOGA等の…
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