つくり手であること 02*野草の楽しみ方
小さい頃、母がせっせとドライハーブをつくっているのを見て「なぜ枯らすんだろう」と思っていました。もっというと、子どもながらに「まめによくやるなぁ」と感心してもいました。
ラベンダーなど香りのいいドライハーブをミックスして、お手製の小袋に納めたポプリをわたしの枕元にも置いてくれていましたが、今思えば、当時まだ30代で、夫(わたしの実父)が体を壊したり、姑の世話もあったり、子どもも二人いて、さらに慣れないパートに出始めたりと、必死だった母自身が癒されるために作っていたのだろうと思います。
とはいえ父の他界後、再婚して離島に越して70代になった彼女は、ついこの前も「ポプリとそば殻を合わせて枕を作るの」と電話してきたばかりなので、人の軸ってあまり変わらないのかもしれません。
一方わたし自身ですが、食や暮らしを変えてきたこの10数年の間、できる範囲ではありますが、少しずつハーブや野草も暮らしに取り入れるようになりました。そして驚くべきことに、今ではせっせと干しているのです。おそるべしDNAのなせる技...!
ポプリこそ作ってはいませんが、自分に合った使い方ができるとこんなに快適なのか、という実感もしています。これを「癒されている」というのでしょうね。
今日は野草やハーブがある暮らしのお話です。
たとえばビワの葉
以前は「ビワの葉エキスが体に良い」と学べば、できるだけたくさん取ってきて、大瓶で焼酎漬けを作ったこともあります。でも、ありがたいことに我が家は誰も持病もないし怪我も少ないので、使う機会はそれほどありませんでした。
自分の力量やリソースの限界、さらに、二人暮らしで使う頻度や量を把握して、その量よりも「ほんのちょっぴり余るくらい」がちょうど良いんだと学びました。
以来ウチでは、今のところビワ葉は乾燥させるだけです。それも手に入る量だけ。「このくらいで十分」「この使い方がちょうどいい」という感覚を体得できてからがグンと快適になりました。
最近身近な野草はこんな感じです。
ザ・薬草、ヨモギ
ヨモギは少し自然のある場所ならあちこちで生えていますね。背が高く成長しているものでも、上の方の柔らかいところに手をあてて(上の写真くらいの長さ)茎にちょっと力をかけると片手で取れます。
以前は茹でてペーストにして、ヨモギ餅やパン、ジェノベーゼなど、食べ物にしていました。もちろん今でも食べているのですが、今はもっぱらお風呂、これが最高に気に入ってます。
「よもぎ蒸し」という蒸し風呂でデトックス体験をしたことがあるでしょうか。少し違いますが、自宅のお風呂にヨモギを入れるとただのお湯よりも芯から温かくなります。
ヨモギが取れる春夏は、雨で気温が下がる日もあるし、薄着でうっかり首や足元が冷えやすかったり、気づかぬうちに体が冷えていることもあるので、お風呂でしっかり温めると、代謝があがり疲労回復が早いです。
ドクダミは葉も花も
それと先日、こんなブログを書いていろんな方から反響がありました。ドクダミの花をあつめて作る自家製の虫除けです。
これがとってもよく効くんです。自然が近い環境にいて、虫刺されのわずらわしさから解放されることは、本当に、本ぉー当に(強調)快適なことです。
ブログを公開して驚いたのは、「こんなにたくさんの人がケミカルじゃない虫除けを求めてるか」というほどの反響だったこと。その反響の良さから、普段ライターとしてお世話になっているウェブマガジンgreenz.jp でも書いてよと言ってもらい、こちらではシンプルに作り方を紹介させていただきました。こちらもよかったら合わせてどうぞ。
ドクダミ自体は、夫の実家の生垣や、近所の山肌、畑の通り道など、日常の行動範囲の中でいただいてます。白いお花は虫除け用、ハート型の葉はヨモギ同様に入浴剤です。ドクダミは都心でも生えているので、排気ガスや犬の散歩道などから外れているところのものが使いやすいでしょう。
いまの庭で取れるもの
今の家は、前にお住いだったオーナーさんが植えたものが色々あって、中にはやや古さを感じるものもあるのですが、最近それも含めて愛おしくなってきました。たぶんわたし自身が主体的に楽しめるようになり、以前はただ古くさく思えたものが、ダサかわいいと思える、みたいな。(いい意味で言っておりますよもちろん)
今年は玄関前のバラで、ローズウォーターをつくり、クエン酸でリンスにして、ヘアケアすることに一時どハマりしました。
こちらはペパーミント。
よく洗って、料理やおやつに飾ったり、お湯を注いでミントティーや、製氷機に納めてアイスキューブにしたり、あとカクテルのモヒートもミント入れ放題にできます。コンブチャという発酵飲料にも入れておけばミントフレーバーになります。今年は梅シロップにも少し入れてみたら、さわやかな甘みになりました。ミントもこのまま逆さに干してドライにしておくと長持ちします。ただのお水に入れておくだけでもミントウォーターが作れるので、気分転換に良いです。
こちらはラベンダー。初夏の時期に新芽がでるイングリッシュラベンダーという品種だと思います。ドライにしてスワッグやリースをつくって家を飾ったり、誰かの贈り物のリボンに添えたり。王道ですが、さすが古来の薬草、マジカルな力も感じてやっぱり好きだな、と思うのです。
とはいえ。
ドライハーブもしばらくすると色のあせ方に悲しみというか寂しさというか、ダーク感が出てきます。私はそう感じたときはもう、ありがとうと言って手放すようにしています。
実はここまで書いたすべてが
実はここまで書いてきたものすべて我が家の入浴剤でもありました。ビワ葉、ヨモギ、ドクダミ葉、ローズ、ミント、ラベンダー、この他にもスギナや柿の葉、大根の葉、柚子、大葉、藍など、大量にある季節の植物はお風呂に使う。これがじんわりと暮らしの満足度を高めてくれています。
野草の効果効能を含む民間療法については、人によって信じるものがそれぞれだと思います。また、人間なので意見が変わることだってありますよね。私は今のところ、自分が良い感じたものを好きに続けているのが快適で、今はこの野草風呂がお気に入りなのでした。
ちなみに、お世話になっている東洋医学の先生たちも「免疫アップに一番コスパが良いのは入浴」と言う方が多いですね。ある先生は、患者さんの入浴前後の数値を計測し、その効果に驚いたと言ってました。今のところ「血管が健康」と言っていただいた私も、今のうちから長めに湯船に浸る習慣づけを勧めてくれたほどです。バスタブ、せっかくなら活用しましょうね。
最後に、ここまでお読みくださり野草風呂に興味を持った方のために少しだけ、野草に関することを記しておきます。
●野草を摘むときは
場所によっては、茂った木陰に毛虫などがいるかもしれないので十分注意されてください。採りたいものが視界に入ると、思いのほか近視眼的になってしまいます(たまにニュースになる、山菜採りに行って山で迷子になる方の気持ちがわかります)もちろん、私有地に入り込まないことや、必要以上に取りすぎないなどの基本事項もご注意されてくださいね。
また、野草は枯れ気味のものよりも、勢いのある葉や花を選びましょう。
●洗うときは
大きめのボウルなどに水を張り、全体をざぶんと浸してしばらくすると、葉の陰にいた小さな虫などが逃げ出てきます。数回お水を変えながらしっかりきれいにしておきましょう。
●お風呂に使うときは
フレッシュのままでもいいし、使うのが少し先になりそうな時は干しておくと便利です。量は大体で大丈夫ですが、ウチでは広げた両手にこんもり持てるくらいが1回分です。(下記写真はある日のフレッシュミント風呂。ハッカオイルを1〜2滴垂らして使うと清涼感マックスに)
手ぬぐいやサラシなどで包むか、キッチンネットみたいなものがあればそれでもOKです。(※注:こうした不織布のアイテムはマイクロプラスチックとなって海洋汚染につながる可能性があるため、捨てる時に必ず分別することと、袋の状態にハサミを入れて、万が一海洋汚染になった場合も動物がハマらないようにしています。そして過去に買い込んだストックがなくなったら使うのをやめるつもりです)
この後は、包んだ野草ごと小鍋に入れてひたひたに水を張り、煮出します。適度にグツグツしたらOK、きっとお湯が茶色くなっているはずで、それぞ野草のエキスです。(もしも飲み切れずに賞味期限がきたハーブティーや野草茶などがたくさんある方も同じやり方で入浴剤にできます)鍋ごとお風呂場に運び、お湯も野草もまるごと浴槽に入れちゃいましょう。あとは存分に野草風呂をお楽しみください。
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