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「定時だから、バス降りて」その価値観は、誰を幸せにしているのか?

こんにちは、
社会人大学生のまどかです。
今日は、昨年のイギリス旅行中のエピソードをシェアしながら、
日本と海外の労働観の違いについてお話ししたいと思います。



「わたし、定時なので。あなたたちをここで降ろしますから自分で帰って。」


昨年、イギリスに旅行に行った私は、
ロンドンからのバスツアーに参加しました🚌

ストーンヘンジとウィンザー城とバースという観光スポットを巡るバスツアー。

しかしですね、道路が大渋滞🚗

帰りの時刻がめちゃくちゃ押したんですね。
このままでは予定通りにゴール出来ない状況になりました。

そんなとき、バスガイドさんがマイクを手に取り、こう言いました。

「このままだと私たちの定時が過ぎちゃいます。近くの駅までは送るので、そこからは各自で帰ってください」


え?マジで?
と一瞬固まりました。


でも、周りを見てみると、
他の観光客たちは「まあ、しょうがないね」って感じで、
普通に受け入れてました。

アナウンスにもびっくりしたけど、
そんなアナウンスに苦情もなく、すんなり受け入れてる様子にびっくり。
2度びっくり。😳😳

特に欧米系の人たちは慣れた様子で、
「じゃあこの駅からこうやってホテルに帰ろう」と、
次の行動をサクッと考え始めるんです。

さすが、ストライキで鉄道が動かない、みたいなことを
しょっちゅう経験している彼ら。

日本だったら、絶対にクレームが飛び交うような状況ですよね。
これが文化の違いなんだなあと痛感しました。


でね、日本だったらありえないなあと思ったんだけど、
なぜ日本だったらあり得ないのかを考えてみたんですよ。

どうやら
「社会的規範」と「文化的価値観」がポイントになりそうだなと考えました。


◾️私たちの中にある「無意識のルール」


日本では、どうしても
「労働者はお客様に尽くすべき」という考え方が強いですよね。
「サービス業なんだからお客様の要望には応えるのが当たり前」
「お客様のためなら残業も仕方ない」
といった無言のルールが、
知らず知らずのうちに私たちの行動を縛っているように思います。

でも、これって本当に幸せにつながっているんでしょうか?
実は誰かにとって無理や負担になっているだけではないでしょうか?


1. 社会的規範
社会的規範って、要は
その社会で「こうあるべき」っていう無言のルールみたいなもの。

ここで、心理学者ソロモン・アッシュの同調実験をご紹介します。


この実験では、
自分ひとりでは正しい答えを出せていたのに、
集団の中にいるときは、その集団に合わせて
いとも簡単に自分の答えを変えてしまうこと。
正しいかどうかは重要ではなくて
周りがどうか、ということが重要だとすること
が分かりました。

よく、組織に属する人が意見を聞かれた時に
「私個人としては〇〇と思うけど、立場上△△としか言えない」
みたいなこともありますよね。
(私も仕事中よく使う😓)

これは集団の中で生き延びるには必要な考え方で
決して悪いものではないと思います。


日本では、
「労働者はお客様のために尽くすべき」という規範がとても強く
「労働者の権利は守られるべき」という規範が薄いので、
「定時だからバス降りて」と言われた時に
「ありえねえ」って思ってしまったんですね。


でも、イギリスみたいに「定時で終わるのは当然」という規範があると、
労働者は気兼ねなく仕事を切り上げられる、というか
気兼ねするという概念がない。し、
お客側の立場としては、むしろ
自分たちのせいで超過勤務を強いているという事実の方が苦痛だったりするわけです。


2. 文化的価値観
文化心理学者のホフステードが提唱した文化次元理論(6次元モデル)では、
国によって「個人主義」と「集団主義」の価値観が違うって話が出てきます。

イギリスは個人主義の色が強くて、
労働者の権利や選択を尊重する文化があります。
バス運転手が定時を守るのも、その一つなんです。
一方、日本は集団主義が強くて、全体の調和を優先するから、
個人の権利が後回しにされがちです。



この体験を通じて、私の中で一つの問いが生まれました。
私たちの中にある「働く人はこうあるべきだ」という無意識のルールは、
誰をどれだけ幸せにしているのか。
誰かに無理をさせていないだろうか。
自分に無理をさせていないだろうか。


たとえば、サービス業の店員さんや、
毎日定時を過ぎても働いている誰かを見て、
「そこまで頑張らなくてもいいんじゃない?」と思ったことはありませんか?
でも同時に、私たちもお客様として
その「頑張り」を当たり前のように受け入れてしまっているかもしれません。



自分の中の「無意識のルール」を見直す


たった一人が「欧米風に働こう」と思っても、
社会全体でその風潮が広まらない限り、変化は生まれません。
でも、まずは
私たちの労働スタイルは当たり前のものではなく
集団主義の強い文化圏にいるからそうなっているだけだ

ということを意識して
一人ひとりが「自分の中の労働観」を見つめ直し、
「誰のために働いているのか」
「どんな働き方が自分や周りを幸せにするのか」
を考えることが、その一歩につながるのではないでしょうか。

参考までに、フィンランド人の働き方について書かれたこの本、
面白かったので共有します。

「フィンランド人はなぜ午後4時に仕事が終わるのか」 https://amzn.to/4gW3X4h



色々と、フィンランドの労働事情や、
いかに効率よく仕事しているかが書かれているのですが
なぜ午後4時に仕事が終わるのか、
に対するアンサーを超ざっくり言うと、
客より労働者の権利の方が守られて当然、という共通認識があるから
これに尽きると思いました。
こういうのって一個人の努力ではなく、風土によるものなんですよね。
じゃあ日本人の私たちは為す術がないのか?
そんなことはありません。
自分でもできることを、ぜひ本の中から探してみてください。

※こちらの書籍はアフィリエイトリンクを含んでいます。

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