【仕事回】「資産ドック」の案内にモヤった
ある日、帰宅すると
ある大手の不動産会社から、こんなDMが届いていた。
私がもやっとしたのは
「資産ドック」という言葉のチョイス。
不動産屋から「資産ドック」を勧められて
なぜもやっとしたのかを分解してみました。
そして、
仕事をする時、どんなスタンスでお客様と対峙したら良いのか。
今回の件が戒めになっていると感じたので
それについて書いていきます✍️
「資産ドック」の何にモヤったか
①医療と資産が同列で語られている点
身体の状態をチェックして今後の健康に役立てるための検査を
「人間ドック」というけれど、
それに準えて作られた造語だというのが一目見て分かる。
医療って、
病気を治すもの。
マイナスを±0にするもの。
だけど
資産って一般的には
持っていると強いもの。
+要素が強いよね。
ベクトル違うよね。
あえて医療で使われている用語を用いて
不安を煽っている印象を受けた。
本来、オーナーの意思で
自由に処分できるものを
「そのままじゃマズくない?(病気じゃない?)」
と他人様に言われているような
気がしてしまった。
②中立な立場での提案ではない点
調べてみたら、「資産ドック」というワードは
この送付元の不動産会社で使われている単語であって
広く一般に認知されている言葉ではないっぽい。(良かった)
不動産会社の提案なんだから
不動産会社の利益ありきで
話が進むのでは、
と思ってしまうよね。
医者みたいに、困った時に助けてくれる存在なのかと思いきや
不動産の営業されるんかい
っていう、落胆。
ちなみに似たような言葉で
「財産ドック」を標榜している
資産コンサルの合弁会社があった。
ここはコンサル会社なので
中立的な立場で助言をくれそう
という印象を持てる気がする。
③それがCMではなくDMだった点
同じような手法を取っているものとして、
「過払金はありませんか?」と呼びかける司法書士法人の
CMがあるけれど、これは特に気に障らない。
このビジネスモデルって、
さも慈善事業のように
「あなたの過払金を取り戻します」
と標榜しているけど
そこで手数料を取ることでマネタイズしているんだよね。
これはテレビのCMという形で
不特定多数に呼び掛けているから
自分に関係あると思った人だけが
アクション起こせばいい。
でも、今回の冊子は
宛名を記載したDMで届いている。
そしてこう言われるのである。
「資産ドック、どうですか。」
そしてそれは、こう感じるのである。
「あなたの資産管理状況、それじゃまずくない?」
登記簿は公開情報だから仕方ないし
うちだけではなく沢山の家庭に
送られているものではあるけれど、
名指しなのがなんとなく
気持ち悪いなあと思ってしまった。
仕事にどう生かすか
最近思うこと:自称「コンサル営業」への違和感
今回のモヤっとは、まとめると
医者の顔して不動産の営業をされていること
に尽きるわけですが。
最近、コンサルファームの営業ではないのに
「コンサル営業」「ソリューション営業」
って名乗る人(会社)、
多くないですか?
(かくいう私も名乗っていたこと、ありました・・・笑)
「単に商品を売りつけるのではなく、顧客の課題を解決した上で、
自社の利益も立てているんだからコンサル営業だろう」
という主張は分かるんだけども、
そもそも顧客の課題を解決しない営業なんて、
営業じゃなくて、ただの押し売りじゃない?
課題を解決できる自信がないなら商品売らないで欲しいし、
ましてや別の仮面を被ってまで営業して欲しくない。
でも、自分も不動産営業時代は同じようなことを
していたかもしれない。
オーナー様から、賃貸不動産を
サブリースという形で借り上げて、
賃貸経営を任せてもらう仕事をしていた時期がありました。
「オーナー様からお預かりした不動産資産を
私たちが運用することで利益最大化しますよ」
「それってオーナー様のためですよ」
そんな顔をしていたかもしれない。
もちろんそれは、嘘ではない。
でも、不動産会社の営業という立場だから
その立場でしか行動できないのである。
あくまで会社の利益ありき、なのである。
大前提、
慈善事業でもなければ、
コンサルティングを依頼されたわけでもなく
不動産営業として関わっている。
なのに
別の仮面を被りながら会話していたかもしれない。
そうでもしないと、
お客様と対峙できなかったのは、
自分の課題解決力や
自分が活用できる会社のリソースに
自信が無かったからなのかもしれない。
でも、不安に駆られて別の仮面を被ってくる人と
営業として堂々と立ち振るまう人と、
どちらに気持ちよく、自分の資産を任せたいと思うだろうか。
今回のDMは、
かつての自分に鏡を向けられた気持ちになり
はっとさせられました。
うその仮面を被ることなく、
本来の価値を信じて堂々と営業することこそが、
仕事に向き合う正しいスタンスだなと感じた
そんなお話でした。