【第11回】不眠フレンズ座談会③:旅行中に眠れないの、結構つらくない?
不眠症の人がゆるやかに横に繋がるといいな、ということで前回から試しに始めてみた「不眠フレンズ座談会」。第3回目のテーマは「普段の生活どうしてる?」です。
特に、盛り上がった「旅行にまつわること」はたっぷり取り上げていこうと思います。いつもと違う寝具で、いつもと違う生活リズムで眠るしかない旅先。楽しみたいのに睡眠不足で身体はつらい…。そんな不眠症あるあるを前回と同じメンバーで話し合ってみました。
実は、旅行を100%楽しめたことない
ねこ:不眠座談会、なんか楽しいね。やっぱり、こういうの話してわかり合える仲間いなかったんだなあ、って。
ひつじ:うん、今日話してること、ほとんど全部初めて人に話したことばっかりだもん。不眠のこと話題にしたことなかったみたい。
ねこ:ここまでいろいろ話してきたけど、今回は不眠症を抱えながら普段の生活をどうやりくりしてるかを聞いていきたいな。特に、家族とか友達とか、「相手に合わせなきゃいけないような場面」について。
ばく:あー、そういう点だとやっぱり「旅行」が不眠症の人にはいろいろつらい条件が揃ってるなーと思う。
ひつじ:そうだねえ、旅行は結構つらい。
ねこ:わかる…不眠症になってから、実は旅行を100%楽しめたことない。
ばく:そうなんだよねえ、だって旅行には眠れない条件がいっぱいあるんだもん。ホテルの部屋って換気悪くて二酸化炭素濃度高いし、寝具はいつもと違うし、めバチねこさんみたいに子どもがいたら、興奮して遅くまで騒いでたりするだろうし。寝つくには相当ハードル高いでしょ。
ねこ:旅行中ってだいたい眠れてないから、身体のコンディションがよくなくて、2日目からずっとつらい(笑)。このあいだ、奇跡的に旅行先で初日からぐっすり眠れた時があって、「眠れると、旅行ってこんなに楽しいんだ!!」って感動したの覚えてる。美味しいもの食べて、行きたいところに行って、旅行って最高って!
ひつじ:めめめ、めぇー(ふふふ)。
修学旅行の相部屋はつらかった…
ひつじ:そういえば、話してるうちに思い出したんだけど、高校の修学旅行からダメだった。眠れなかった。
ねこ:にゃー(へー!)。
ひつじ:修学旅行だから、やっぱり結構な大部屋だったの。それで、私、部屋の隅っこにバリケードを築き上げて、一人スペース作ってそこで寝てた(笑)。友達から「ギョロめぇが狂った!」ってからかわれながら。
ねこ:大部屋は論外として、ツインルームでさえ私は無理だなあ。眠れない。家族3人で旅行に行くと、だいたい広めのツインルームにエキストラベッドを入れるか、トリプルルームになるから薬飲まないと無理。
ばく:「旅行」って、それ以外にも隠れた「眠れない要素」がたくさんある気がするな。だいたい旅行先っていつもより、夜ごはんをたくさん食べたりお酒をたくさん飲んだりするじゃない? そういう食の観点でも、不眠の要素が結構あるんじゃないかな。
ねこ:私の場合だと、「段取りを考えちゃう」っていうのがあるかも。特に人と一緒の旅行だと、「何時の電車に間に合うように、何時に起きて、あれを忘れないようにしなきゃ、これを予約しとかなきゃ」とか、そういうことを頭の片隅で常に考えて、脳が過活動になっちゃう。
ばく:不眠症の人が旅行を楽しむ方法、見つけたいね。
ねこ:見つけたい。「不眠症の人専用のホテルチェーン」とか作ってほしい(笑)。
誰かと同じベッドで寝るなんてありえない
ねこ:旅行以外だとどう?
ひつじ:私、今は一人暮らしなんだけど、ちょっと前まで同居人がいて。やっぱり起きちゃうんだよね、小さな物音で。だから、一緒に寝るなんて絶対に無理で、寝室は別だし、同じベッドでなんてありえない。
ねこ:わかる!誰かと一緒に寝るのなんて、絶対に無理。うちも夫とは寝室は別だし、子どもが生まれても一緒に寝たことない。いつも一人で寝てる。
ひつじ:あとは間取りにも気をつけてるかな。同居人がいる時は、その人の寝室が自分の寝室の隣にならないようにしてた。たとえば、2LDKだったら、寝室→LDK→寝室って感じで、リビング・ダイニングを挟んで寝室が2つ取れるような間取りを選ぶの。
あと、物件選びの観点では、言うまでもなく防音のためRC(鉄筋コンクリート)はマスト。
ねこ:安眠のためのRC(笑)。間取りは大事。真夜中にドアを閉める音とか、本当にちょっとした音で目が覚めちゃうもんね。
ひつじ:そうなのー! リビング・ダイニングを挟んでても、深夜に同居人の彼が食事して物音を立てると、それで目が覚めちゃって、あとはもうケンカ。彼にしてみれば、めちゃくちゃ気を遣って物音を立てないようにしてるわけだから「なんでそんなに怒られなきゃいけないの!?」ってなるし、私は私で「次の日の仕事に響くから、ほんとやめてくれない!?」って腹が立つし。そういうこと、よくあったなー。
ねこ:うちも夫は昔からすごく気を遣ってると思う。飲んで遅く帰ってきたら、隣の寝室のドア閉めるにも、トイレ行くにも、何するにも。「悪いなあ」とは思うんだけど、睡眠は何にも代え難い。
ひつじ:私の場合は、それで今はもう一人暮らし。その方が、不眠症の人としては気が楽だよね。
生活音におすすめの耳栓
ばく:そういえば、二人の話を聞いてて思い出したけど、そういう生活音対策にいいガジェットあるよ。実は、最近うちの上の階の人間が、夜中0時頃からドラムの練習を始めるというマジでドン引きな事態が起きていて…。
ねこ:人間、やばいね。
ばく:それで購入したイアプラグ(耳栓)がこれ。4000円くらいするんだけど、結構よくて。これつけてたらドラム練習されても眠れる。
ひつじ:ドラム練習されても眠れる!それはすごそう。
ねこ:音対策としては、ベッドの頭の方をドアや共用スペースの方に置かないようにしてるかな。ほんの数メートルでも、なんか違う気がする。「気がする」が結構安眠には大事で(笑)。
不眠症の人に一番かけてはいけない言葉
ねこ:やっぱり、家族とか同居人とどう折り合いをつけていくかは難しいよね。
ひつじ:難しい。なんかちょっとした言葉でイラッとしちゃったりする。
ねこ:わかる。悪気はないというか、むしろよかれと思ってかけてくれてる言葉なんだけど。たとえば、「大丈夫、眠れなくても死なないよ」とかね。
ばく:それ、ひどい。眠れなくて死にそうなのに(笑)。
ねこ:そう、こっちはこのままずっと眠れないなら死んだ方が楽なんじゃないか、くらいに思ってるんだけど…。
ばく:あとは「気にしすぎよ」とか「(眠れないと思っていても、途中で意識を失って)案外眠れてるものだよ」とか、ね。
ねこ:「(眠れないって言うけど)口開けて寝てたよ」って、家族から言われたことある。確かに2時間くらいは眠れてたのかもしれないけど、その2時間以外はずっとつらかったのに…。
ばく:それは考えうる限り、一番不眠症の人にかけちゃいけない言葉…。
まずは「当事者の主観」を受け止めてほしい
ばく:やっぱり、睡眠の問題ってあくまで、当事者の主観だと思うんだよね。
たとえば、不眠症の人が「昨日は2時間しか眠れなかった」って言えば、その言葉のまま「そうだったんだね」って受け取ってあげるべきだと思う。時々お医者さんでも「いや、実は記憶のないタイミングで眠れてるものなんですよ」とかって言う人がいるけど、それは心情を汲み取らなさすぎる発言じゃないかな。
ひつじ:自分の意識としては「眠れてない」から(笑)。
ばく:今、医療の現場では、「不眠症は投薬ではなくて生活指導で改善していきましょう」っていう大きな流れがあると思うの。でも、そこで患者さんに言われることって、「睡眠に対する考え方を変えてみましょう」とか「眠れなかったら、布団から出て意識を切り替えましょう」とか、だいたいイラッとする内容が多い気がする。
ひつじ:それができれば苦労しない、って思っちゃう。
ねこ:ほんとだねえ、不眠症の人が何に苦しんでるかわかってないかも…。
ばく:不眠症の人が不眠症の話題を持ち出せないのは、話しても理解されなかったり、傷つくような反応をされたりする経験があるからじゃないかな。
ひつじ:それはあるかも。自分よりもっとつらい人はいるだろうから、自分程度で不眠症っていいのかって感覚もあったし。こうして他の人と話せてよかったな。
「眠れないこと」を話題にしやすくなりますように
ちょっと試しにやってみた不眠フレンズ座談会、いかがでしたか?
ご協力いただいた「めバキばく(仮名)」さんと「ギョロめぇ(仮名)」さんに感謝です。お二人とも数年来の知人で、私たnoteやその他の媒体で不眠症について書いていたのを見つけて「実は私も…」とメッセージをくださいました。
メッセージをいただくまでは、一緒に仕事をしたり、プロジェクトで関わったりいてもまったく不眠症で苦しんでいたとは気づかず…
「え!そうだったの!?」と驚きました。
と、同時に「早く言ってよ!」とも思いました。
でも、日常会話の中で「眠れないこと」が話題になる場面なんてまずないので仕方ないですよね。「最近、よく眠れてる?」がありふれた挨拶になる時代は来ないにしろ、もう少し気楽に「眠れないこと」を話題にできるようになればいいなあと願っています。
来週からは、また私自身が不眠症を克服するまでの記録に戻ります。