【第3回】5年間の結論:多忙から不眠症になるメカニズムはこんな感じ。
前回は、一日の労働時間8時間以下で物理的にはそこまで忙しくなかった私が、「脳みその忙しさ」から不眠症になった話を書きました。
今日は、私が感じている「多忙から不眠症になるメカニズム」を言語化してみます。
いつか、不眠症に悩んでいる皆さんに「何が原因で不眠症になったのか」を順番にインタビューしていきたいなと思っているのですが、不眠症になる原因はさまざまです。私のように仕事が忙しくて不眠症になる人もいれば、大切な人を亡くした寂しさから不眠症になる人もいますし、育児、介護、離婚などのストレスから不眠症になる人もいます。
ここで書くのは、あくまで私が経験した「脳の忙しさ」から不眠症になった場合のこと。原因によって、きっと人それぞれいろいろなメカニズムがあって、皆さん、そのメカニズムの中でなんとか、数時間の浅い眠りでも得ようと格闘されているのだと思います。
私にとっての不眠のメカニズムはこんな感じです。
6時間ぐっすり眠れるベストコンディションの「ブルーゾーン」、寝つきにくかったり眠りが浅かったりする「イエローゾーン」、そして、薬を飲まないと眠れないor.薬を飲んでも眠れない不眠症の「レッドゾーン」があります。
そして、「ブルーゾーン」と「イエローゾーン」の間に、脳の興奮がこのレベルを超えると不眠になるという「閾値」があります。
イエローからブルーに戻る「手段」を持とう
理想を言えば、「閾値」を超えずにずっと「ブルーゾーン」に留まっていられたら最高です。きっと、仕事で抱える案件を今の半分に抑え続けていたら、平和な「ブルーゾーン」でつつがなく毎日を送れるでしょう。
でも、私の場合、仕事をしているとそれは不可能です。9年前に会社員を辞めてからずっと自営業なので、仕事は来た時に受けるしか他ありません。私にとって「仕事の量」は基本的にアンコントローラブルなのです。
忙しくなって時々「イエローゾーン」に突入してしまうのは仕方がない。大切なのは、「レッドゾーン」に踏み込まず、「イエローゾーン」に留まりながら、なるべく早く「ブルーゾーン」に戻ること。そのために自分のコンディションを能動的に調整する「手段」を知っておくこと、です。
2年前に入眠剤を完全に断ち切り、不眠症を克服したと言ってもいい状態になった私ですが、実は、最近かなり忙しくて「不眠気味」です。
自分が見ているプロジェクトの数が6個くらいであれば、うまく「ブルーゾーン」に留まっていられますが、8個を超えると「イエローゾーン」に足を踏み入れるようになります。今、私が抱えているプロジェクトの数は10個で、かなり危うい状態です。
8:15に娘を学校に送り出すとほぼ同時に、昼間はチャットのメッセージを打ち返し続け、オンラインMTGをはしご。夕方になると、不眠症におちいった当時のように脳みそから煙が出ている感じがして、「やばいな」と気づくことがたびたびあります。
超地味だけど、一番効く「手段」はこれ
私が持っている、イエローからブルーに戻る「手段」はこんな感じです。
❶スマホとPCのアプリ通知オンを24時間OFFにする
❷19:00になったらスマホとPCの電源をOFFにする
❸移動中にスマホを見ない(存分に景色や音楽を楽しむ)
❹土日祝日は「仕事を完全にOFF」にする
❺晩酌は20:00くらいまでに済ませる(ワイン1杯まで)
❻「夜の会食」を可能な限り避ける
❼風呂上がりのNetflixをやめて22:00過ぎには寝支度に入る
どれも、普段から睡眠の質を上げるために気をつけていることではあるのですが、自分が「イエローゾーン」にいるな、と感じた時は、かなり徹底して❶〜❼をやるように心がけています。
この7つの中で、一番効果てきめんなのはどれだと思いますか?
実は、とても地味に思える「❶:スマホとPCのアプリ通知オンを24時間OFFにする」です。
私の場合、スマホはこんな感じの設定にしています。
緊急事態に電話の着信音のみ鳴るようになっていますが、 家族にも「LINEの通知音はOFFにしてるから、急ぎの場合は電話して」と伝えています。仕事に関しては「生死に関わるような緊急事態は起きない」と割り切って、昼間は1-2時間に1回チェックすればOKとしています(以前は「即レス」を自分に課していた節がありましたが、身体と相談してやめました)。
通知音がなくなるだけで、びっくりするほど脳は穏やかになります。やってみるとよくわかるのですが、ピコーン、ピコーンというチャットの通知音は、とても脳を興奮させやすい性質を持っているようです。
不眠症の敵「夜の会食」とどう付き合うか
❶の他にもう一つ、「イエローゾーン」にいる時に特に大切なのが、「❻:『夜の会食』を可能な限り避ける」です。
ただ、これは実行するのが、とても難しい。
私の場合、娘がいて夫とスケジュールを調整する必要があるので、夜の予定は、数週間前から決まっています。その時、自分が「ブルーゾーン」にいるか「イエローゾーン」にいるかなんてわかりません。
とはいえ、「最近、忙しいな」と感じていたら、ランチに動かせる会食は、積極的にランチに移動させます。そして、やむを得ず夜に入れるとしても、可能な限り「週1回」に留めておきます。
あとは、会食の時間を短くしてもらいます。
コロナ禍以降、スタート時間を18:00に設定することが結構ふつうになったのは、不眠症の人間にとってはありがたいこと。18:00からスタートして、遅くとも22:00にはお開きとしてもらう。そして、終わったら必要経費と割り切ってタクシーを呼び、一目散に帰宅して寝支度に入ります。
とはいえ、私はもともとお酒を飲みながら仲間と話すのが大好きな人間なので、「ちゃんと飲みたい」時は、金土の夜など、仮に寝れなくても翌日そこまでつらくない日に設定します。
私が苦節7年を経て編み出してきた、イエローからブルーに帰還するための「手段」はこんな感じです。きっと不眠で悩んでいる人それぞれに「手段」があるはずなので、またそれもいつかインタビューしてみたいなと思います。
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