ぼくのお日さま
映画館をでると、まだ夏だけれど冷たくて、すこしあたたかい空気を肌に感じたような気がした
眩しくて、美しくて、愛おしくて、痛い
そんな映画だった
主人公のふたりがとにかくまっすぐで、そのまっすぐさが愛おしくて、でもすこし羨ましくなった
わたしは昔スポーツをやっていて、この映画はフィギュアスケートだけれど、似たような競技だったので特に昔の自分と重なった部分があった
この映画の主人公とおなじ中学生くらいの時はあと先考えずに行動することができて、今みたいにあれこれと無駄に考えてしまうことはなかったように思う
特にタクヤが技を成功することができてコーチと一緒に飛び跳ねて喜ぶシーン、はっとした
わたしもああやって一生懸命練習して、やっと技ができるようになって、でもあのように誰かと一緒に喜ぶというようなことはなかったなと思う タクヤと自分が重なった瞬間、ずれた部分を認識して寂しくなった
野外のスケートリンクで3人が音楽をのって無邪気に遊ぶシーンも自分の競技人生にはなかったもので羨ましくて でも感情としては3人が愛おしい方が勝っていて よく分からなくなって気づいたら涙が零れていた
彼らの心とリンクするようにまっしろで眩しい映像が美しかった やっぱり冬の映画が好きだ
雪に反射する太陽の光
薄着のこどものあたたかさ
春に近づくにつれて日が長くなってゆく
スクリーンを通して感じた温度が、今も私の心を灯している
最後のさくらのスケートシーンが凄く好き
スケート靴の刃が氷を削る音と「月の光」だけが響くしんとしたリンク
窓から差し込むさまざまな色の光
うっとりと、映像の中に溶けてしまいそうだった