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ニヤーズィー・ムスリー『詩集』(1)

色々あって更新が滞ってしまったけど、また新しい気持ちではじめるつもりで、わたしの敬愛するムスリーの『詩集』から、ランダムに引いたところを訳します。


25番


親愛なる御方の美しいお顔を見ては

わたしは呼ぼう、友よ、友よ。

ひとつひとつの心になり給う貴方を

わたしは呼ぼう、友よ、友よ。


貴方の愛に満たされて

禁欲の道で過ちを犯し

絶えず愛の酒の虜になって

わたしは呼ぼう、友よ、友よ。


マスジドで、酒場で

家で、廃墟で

カーバ神殿で、偶像崇拝者たちの寺院で

わたしは呼ぼう、友よ、友よ。


流れる水のように止めどなく

山から山へとわたしはかけ廻る。

病める者も健やかなる者も驚くことだろう。

わたしは呼ぼう、友よ、友よ。


わたしはこの世界に訪れた異邦人、

薔薇にとっての小夜啼鳥。

己に悲嘆の傷を与え続けて

わたしは呼ぼう、友よ、友よ。


現世の悲しみから身を引いて

皆無へと翼を広げ

常に愛で以て、飛び翔けて

わたしは呼ぼう、友よ、友よ。


探しているものは内に在り

内に、そして外に在る。

それを知る時、それはもうわたしの中に。

わたしは呼ぼう、友よ、友よ。


わたしは至るだろう、絶対存在に

本源に、あるいは、それに付帯するあらゆるものに

すべてのもののうちから、真理たる貴方を見出だして

わたしは呼ぼう、友よ、友よ。


その状態、そして進行は

霊魂の始原から終焉まで続くものではない。

だがこの苦悩は決して癒されない。

わたしは呼ぼう、友よ、友よ。


常に顕れ出でる友の顔、

それから目を離すことができようか。

舌から言葉は出でずとも

わたしは呼ぼう、友よ、友よ。


邪な心が海になれば

鳥籠がバラバラに砕け散れば

この声が途絶えるまで

わたしは呼ぼう、友よ、友よ。


天空のごとく回っていよう。

過ぎゆく日々のごとく巡っていよう。

円環と共に戯れて

わたしは呼ぼう、友よ、友よ。


地上にいても、天空にあっても

死者であれ、生者であれ

すべての場所で、すべての時に

わたしは呼ぼう、友よ、友よ。


わたしは来たのだ、友の故郷より

その薔薇の香りに誘われ

ニヤーズィー(希求する者)の心から

わたしは呼ぼう、友よ、友よ。





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