米国の大統領と副大統領
米国の大統領選挙まで100日を切りました。民主党のバイデン氏は副大統領候補としてハリス上院議員の起用を決めました。
もともと、副大統領は影が薄く、初代副大統領のジョン・アダムスは、副大統領職を「人間が発明したいまだかつて成し遂げた、あるいは人間の想像力が思いつくことのできる最も無意味な官職」と言ったといわれています。
トランプ政権の副大統領を即答できる人も多くないかもしれません(ペンス氏です)。バイデン氏自身もオバマ政権で副大統領に就いていましたが、当時のことを覚えている人も多くはないかもしれません。
その副大統領ですが、大統領が免職・死亡・辞職の場合には、副大統領が大統領になることが憲法で定められています。ケネディ大統領の暗殺の時には、ジョンソン副大統領が大統領を務めました。
大統領の権限承継順位は、副大統領、下院議長、上院臨時議長、国務長官、の順になっています。建国当初、閣僚のポストは4つしかなく、国務長官、財務長官、戦争長官、そして司法長官でした。この序列は今もすべての外交儀礼で採用されています。
ちなみに、国務長官は米国の国璽(国の象徴としての外交文書などの重要文書に押される印章のこと)の保管者であり、国務長官は国璽の保管者として何百枚もの書類にサインしてきました。1974年にヘンリー・キッシンジャーがニクソン大統領の辞表にサインすることになったのはこれが理由でした。
閑話休題。
今年の米国大統領選挙は、民主党の副大統領候補にハリス上院議員が起用されたことにより、これまでになく副大統領が注目を浴びることになるでしょう。
参考図書:ライス回顧録 コンドリーザ・ライス 集英社
アメリカの政治と社会 鈴木康彦 国際書院