寛容な社会へ
現代の日本社会は「不寛容な社会」と言われています。
公共施設などのハード面では、平成18年に制定されたバリアフリー法(高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律)が制定されたこともあり、整備が進んでいます。
東京都の例では、平成26年度末、都内鉄道駅のバリアフリー化の進捗状況は、
エレベーター等による段差解消の整備状況 整備率91.5%
視覚障害者誘導ブロックの整備状況 整備率99.2%
地下鉄駅での視覚障害者の転落事故を契機として、駅のホームドアの設置も進んできています。
他方、ソフト面、心のバリアフリーの促進という面はどうでしょうか。やや古い番組になりますが、2016年6月11日のNHKスペシャル「私たちのこれから 不寛容社会」と同番組での世論調査「データでみる不寛容社会」では、
今の日本社会について、どう思いますか?
41%が、他人の過ちや欠点を許せる寛容な社会
46%が、他人の過ちや欠点を許せない不寛容な社会
心にゆとりをもちにくい社会だ、62%がそう思う
自分のことばかり考えている人が多い、71%がそう思う
公益社団法人埼玉県視覚障害者福祉協会が2014年に行った視覚障害者の外出に関するアンケートでは、
外出移動時に危険や恐怖にさらされたことがある人が112人中、75人が「ある」と回答し、47人が厳しい言葉をかけられるなどの対人トラブルを回答しています。
内閣府が行った平成18年度障害者の社会参加促進等に関する国際比較調査では、日本、ドイツ、アメリカの3カ国における国民の障害に対する意識調査を行っています。この中で、障害のある人はない人と同じような生活を行っているか、という問いかけに対して、日本では4人に3人が「思わない」と答えているのに対し、ドイツでは、同じような生活を送っていると「思う」が8割強、アメリカは「思う」と「思わない」が拮抗した結果となっています。
私自身のアメリカ、欧州での生活経験からも、障害を持った人たちに社会で接する機会、街で見かける機会は日本より、アメリカ・欧州の方が多いと思います。そして、そのような人たちを見かけると、手助けします。
不寛容は社会のコストになってしまう、と思います。きめ細かいサービスを求める、それがないと、クレームを言う、そのクレームの対応に時間と労力がかかる、、、、。
パラリンピックについて、「アスリートから勇気をもらった」という意見を聞くことがありますが、勇気をもらうだけでなくパラリンピックが、こうした「不寛容な社会」を変えていくきっかけになって欲しいと思います。
特に、今のような状況でこそ、寛容になることで、アフターコロナの社会が寛容な社会であることを願っています。
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