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茜あゆむ
2018年11月16日 21:49
泉の水はこんこんと湧き出し、陽を浴びて、七色に光る。 静かな午後、水路を辿り、家へと帰る私は、街のブルーベリータルトを二つ、贅沢して、軽い足取りで森の道を歩いていた。読みかけの本と一杯の紅茶が、この昼下がりを満たしてくれる。 水路では、持ち主を失くした笹船が堰を越えて、街へと下る。大航海の大冒険、波瀾を横目に、勇者の旅立ちを私は見送る。マストのない小舟でも、森の奥から、おだやかな風が背中を押