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2018年12月の記事一覧

掌編 「静夜」

掌編 「静夜」

 緑色のことを、青いと言うことがあるけれど、ぼくはその言い回しが意外と好きだったりする。
 血の気の冷めたのを青い顔と言ったり、まだまだ未熟であるのを、青い奴と表現するのも、くすりと笑いを誘う感じがして好きだ。けど、緑がかった青色は、そんなに好きじゃない……。
 ぼくの好きな人が、夜明け色の青が好きだから。
 夜遅く、彼女から連絡があり、ぼくらは二人で星を見に行った。何と言ったか、流星群の近付いて

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短編 「私、あなたを好きで好きで好きで、愛しているから、あなた私を愛してくれますか?」

短編 「私、あなたを好きで好きで好きで、愛しているから、あなた私を愛してくれますか?」

1.

 ××くんを妊娠させたい。
 男の子ってレイプされると死んじゃう生き物だから、なるべくやさしく乱暴してあげて、私が君のこと愛してるよって、伝えたい時に殴られるんだって学習させて、痛みを感じるたびに、私の愛を感じられるように、××くんの脳の中の神経配列を組み替えちゃいたい。
 できることなら、××くんの頭の中に手を突っ込んで、よだれと涙をだらだら垂らしながら、あうあうとあえいでいる唇にそっと

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掌編 「私のはだし」

 人に舐められるのと、犬に舐められるのは違う。犬の舌はどれだけ温く、ざらざらとしていても、あくまで健全で、そこに親愛以上のものが入り込む余地はない。却って、その健康さにエロスを感じる人がいても、エロスを受け取るのは、犬のはつらつさから来る、その健やかさなのだから、やっぱり犬の舌は家庭的な温かさだ。
 同棲して、もう三年になる彼は、私が靴下を履くのを嫌がる。外へ出かける時は勿論、家にいる時でさえも、

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掌編 「嫌い・嫌い・嫌い」

掌編 「嫌い・嫌い・嫌い」

 ぼくが兵役に就いていた時、小銃の暴発で鼻を失くした女を見た。その時、彼女はぼくの右隣にいて、普段とは違う、耳慣れない爆発音を聞いた。何をするのにも鈍く、さえない容姿だったので、周りは当然、彼女が問題を起こしたと思った。
 兵隊の訓練といっても、血を見るのに慣れていないぼくらは、女の顔から血が噴き出すのを見て、ひどくうろたえてしまい、むしろ、暴発に巻き込まれた彼女の方が冷静だった。
 彼女は自分の

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掌編 「一方通行ジェラシー」

掌編 「一方通行ジェラシー」

 桃子の寝顔を見ていた。夜が更けていくのを感じても、彼女の枕元から動くことが出来なかった。きまじめに閉じた口や、すっかり気の抜けた眉、頬の柔らかな産毛。
 彼女は時折寝息を止めて、それからゆっくりと息を吐き出す。手を当てた胸がたっぷりと時間をかけて下がっていくのを、呼吸するのも忘れて、じっと見守る。たった数秒、時計の秒針が四、五回鳴るほどの間、ぼくが見つめる世界は桃子一人だけだった。いつか太陽が昇

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