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【BL二次小説(R18)】 卒業旅行④
翌朝。
部屋を出てメイン棟へ朝食に向かう一行。
公園のような自然の中を横切る。
福「朝陽の照り方が日本と全く違う。空気が澄んでいるんだな」
荒「メインの建屋へ行くのに一旦外を歩くっての、なんかイイなァ」
新「見ろよ!リスがいるぜ!あんなにたくさん!かっわいいなぁ!」
東「フフフ」
喜んでいる面々を見て、東堂は満足げだった。
朝食はカフェテリアだ。
メイン料理をキッチンで注文し、パンやフルーツ、サラダ、シリアル等はセルフである。
新「すっげぇ種類豊富!パンとコーヒーだけのヨーロッパとは真逆だな!」
東「欧州のコンチネンタル式とアメリカン式では基本概念が異なる。好きなだけ食うがいい」
福「オムレツの具の種類が多過ぎて選びきれん」
東「遠慮するな。“ウエスタン”と注文すればハムもトマトもチーズも全部入れてくれる」
荒「オイ!朝っぱらからステーキ焼いてるぜ!スゲェな!食おうかな!」
東「モーニングステーキだ。良い意味で常識を覆す自由の国を満喫するがいい」
各々好きな物を注文し、トレイをいっぱいにして席に着く。
新「最高かよこのフレンチトースト!何枚でもイケるぜ!」
福「これは果たしてオムレツなのか。全くフワトロじゃない。しかし、ものすごく旨い」
荒「ステーキがデカ過ぎて皿からはみ出てやがる!ベイクドポテトも皿から溢れてンぞ!豪快過ぎだろ!」
東「怒るか喜ぶかどっちかにしろ荒北」
東堂はキッチンでは注文せず、セルフのハムやチーズや野菜をパンに乗せてオリジナルのサンドイッチを作っている。
新「おお~。これこれ。憧れの瓶に入ってるやつ」
新開がテーブルに備え付けてあるケチャップの瓶を手に取る。
ハッシュドポテトにかけようと逆さにするが、出て来ない。
荒「オイ、気を付けろよ」
瓶の底をトントンと叩いていると……。
ドバッ!
大量のケチャップが皿に飛び出してしまった。
新「あ」
荒「テメ!だから言っただろ!」
ポテトが見えないほどケチャップで埋まってしまった。
東堂はそれをニヤニヤして見ている。
新「あうぅ」
荒「しょーがねェなァ!」
福「オレも手伝ってやろう」
荒北と福富が新開の皿のケチャップを、スプーンですくってくれている。
そして自分達のポテトやオムレツにつけて食べた。
荒「ン?」
福「ム?」
新「お?」
一口食べて驚く面々。
荒「旨めェ!」
福「なんだこのケチャップは!」
新「日本のケチャップと全然違う!」
東「フフフ……」
東堂が前髪をかき上げながら不敵に笑った。
東「隼人がドバッと出してしまったが、実はそれが正解なのだ。こちらではケチャップを浸るほど付けて食べる。瓶はすぐに空になる」
ダン!
荒「つーかヨ!なんでケチャップごときがこんなに旨めェんだヨ!」
荒北がテーブルを叩いて叫ぶ。
東「素材自体がとにかく何でも旨いのだ。気候や風土が全く違うからな。だからたいして加工せずともそのまま満足出来る」
福「食い物の旨い国は全てが良く見えてしまうな」
新「日本食が最高だと思っていたのに、これじゃあ帰国出来ねぇよ」
東「まぁまぁ結論を急ぐな隼人よ。トータルで見ればやはり日本食が世界一だとそのうちわかる」
福「しかし東堂。このリンゴなんだが……」
福富が半分にカットしたリンゴを示す。
福「日本のリンゴは甘い方が偉いが、このリンゴは凄まじく酸っぱい。しかも硬い。だが……ものすごく旨いんだ。日本は間違っているのか?」
それを聞いて東堂はニヤリと笑った。