【BL二次小説(R18)】 言えない秘密④終
その日は大学は休みだったが、お互い夜はバイトが入っているため靖友は昼前には帰って行った。
オレは自分のバイト先に電話をした。
今夜のシフトを断るためだ。
バイトを休み、その晩オレが向かった先は……靖友のアパートだった。
靖友のバイトが終わり帰宅する頃を見計らって、玄関前で待つ。
「……エ?新開?」
バイト帰りの靖友が階段を昇って来て、オレの姿に気付いて驚く。
「お帰り」
「どした?今朝まで会ってたのに。オレ何か忘れ物してたァ?……まァとりあえず入れヨ」
不思議そうな顔をして、鍵を開ける靖友。
パタン。
玄関を閉めた瞬間、靴も脱がずオレは靖友をドンと壁に押し付けて口づけした。
「……ンッ!?」
靖友はびっくりしてジタバタするが、オレは構わず唇を吸う。
そしてしばらく後、唇を離して言った。
「会いたかったんだ、おめさんに」
「……!」
デレ北は毎日会いたいと泣いて訴えていた。
オレだって毎日靖友に会いたい。
バイトなんか休んだって構わないじゃないか。
オレは靴を放り、靖友を部屋の中へ押し込んだ。
「ちょ、新開??」
戸惑う靖友の着てる物を乱暴に脱がす。
「な、なにしてンだ!ヤメロ!」
ヤメロは嘘だ。
デレ北はそう言っていた。
ドサッ!
靖友をベッドに押し倒す。
自分も着ている物を全て放り投げ、のし掛かった。
「よせって!」
嘘だ。
本気でやめて欲しいなら、蹴り上げるなり頭突きなり出来る筈だ。
「ヤダ!新開、嫌!」
嘘だ。
顔を隠そうとする腕を掴み、手首を肩の両側に押さえ付けた。
オレは首筋にキスをしつつ頭を下げていき……乳首を甘噛みした。
「ヒアッッ!!」
靖友の全身が跳ね上がった。
構わず何度も何度も噛みまくる。
「アアッ!ヤメ……!アゥあ!あハァッ!」
激しく首を横に振る靖友。
肩も腰もうねっている。
「アッ……アアーーーッ!!」
「!!」
……驚いた。
靖友がイッてしまったのだ。
「ハァ……ハァ」
靖友も、乳首だけでイッてしまったことに自分で驚いて目を見開いている。
「靖友……好きだよ。好きだ。愛してる」
「新開……」
「毎日おめさんに会いたい。毎日抱きたいんだ」
「……」
靖友の目に涙が浮かんだ。
オレはデレ北に言われた通りに靖友を抱いた。
靖友は困惑しながらも、激しく感じてくれた。
咽び泣きながら、何度も何度もイッてくれた。
オレが果てた後、ひょっとしたらぶん殴られるかも、と覚悟していたが、靖友は何も言わず抱き締めてくれた。
そして幸せそうな表情をして、オレに抱き付いたまま眠りについた。
恋人になってから何年も経つというのに、オレはやっと靖友を満足させてやることが出来た。
デレ北の助言が無かったら、そのうちフられていたかもしれない。
ゾッとする。
今度またデレ北と会う機会があれば、また本心を聞かせてもらおう。
靖友が何を望んでいるのか。
オレとどうなりたいのか。
デレ北の存在は、靖友には隠しておこう。
何がきっかけで消滅してしまうかわからないから。
靖友には言えない、オレだけの秘密だ。
愛してる、靖友。
これからもずっと ──。
おしまい